翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

ユハナ君に学ぶ英語表現

フィンランド人のユハナ君と話していると、話題がどんどん広がっていきます。これは、上手な人とテニスのラリーをやるようなものです。こちらのブロークンな英語を汲み取り、打ち返しやすいところに話を持っていってくれるからです。

ユハナ君はタンペレ大学で学び、金融機関でフィンランド語を英語に翻訳する仕事をしています。
「あまり創造的じゃないけどね」と彼は自嘲しますけれど、外国語である英語を自在に操れるようになるには、かなり専門的な勉強をしてきたはずです。

アキ・カウリスマキフィンランド語で小津安二郎について語る動画の英文字幕を見てもらいました。字幕は文字数の制限があるため、省略されていることが多いからです。
何回も繰り返し再生しながら、英文をチェックするユハナ君。まるで仕事みたいに真剣にやってもらって恐縮しました。
「1976年ロンドン、兄に『東京物語』を見せられた場所はフィルム・インスティチュートとなっているけれど、フィルム・ライブラリーのほうが近いかな」「小津を最も尊敬するのは、人生にとって大切なものを描くときに、決して殺人や暴力を用いなかったこと。正確には殺人、暴力行為、銃の発砲」といった具合。

「文学への夢をあきらめて、レッド・ケトル(赤いヤカン)を探し始めることにした…。レッド・ケトル?」とユハナ君。ここぞとばかりに説明します。
「小津は当初、白黒でずっと撮っていて、カラー映画を監督し始めた時に、色彩を確認するために赤いヤカンを使ったことに由来している。映画への情熱の象徴だと思う」

フィンランド人にカウリスマキの語りの解説をするのも変ですが、おそらく宮崎アニメについてはユハナ君のほうが私より知識があるはずです。生まれた国とは関係なく、自分の好きな外国のものを楽しめて、その国の人と語れるとは、なんておもしろい時代なんでしょう。

ユハナ君の英語表現力は、カウチサーフィンのプロフィールにもいかんなく発揮されています。
ヘルシンキで彼は、ホストとなって多くの旅人を泊めていますが、カウチの説明もユーモアたっぷり。

I'm easy-going and don't have too strict rules, just don't leave a mess behind and don't keep the neighbours up at night and we'll be fine. Clarification: "not keeping the neighbours up at night" doesn't mean you have to be mute, just no wild parties or band practice at night, and don't bring your angry pet elephant over.
僕は大らかなタイプで、厳しいルールはない。ただ、出発するときに部屋を散らかしたままにせず、夜、近所を騒がせなければ大丈夫。「夜、近所を騒がせない」とは、押し黙っていろという意味じゃなくて、夜にワイルドなパーティを開いたりバンドの練習をするなということ。そして、怒り狂ったペットのゾウを連れてこないこと。

People of all races and cultures welcome. I don't confuse CS with a dating site, so if you happen to be a single female don't worry about it. (This should be obvious, but in some cities there have been some issues about this with new users getting the idea of the site all wrong, so there you go.)
すべての民族、文化の人を歓迎。僕はカウチサーフィンを出会い系と混同していないから、一人旅の女性も心配無用。(これは明らかであるはずなんだけど、いくつかの都市では問題が起こり、カウチサーファー初心者に誤解を与えているようだから、あえて書いている。)

ユハナ君に比べると、私のプロフィールはユーモアのかけらもなく、感じが悪いと思えてきました。
サーファーを厳選するために、はっきり厳しく書いたほうがいいというアドバイスがあったので、こんなふうに書いています。

「私にカウチリクエストを送るなら、なぜ私のところに泊まりたいか、具体的な理由を書くこと。コピー(誰に対しても同じ文面)のリクエストを受け取ったら、コピーの拒絶文を送るので、時間の無駄。正直に言って、ホスト体験のないサーファーは受け入れたくないけれど、場合によりけり」

しかも、すべての国の人を歓迎するユハナ君に対し、私は「フィンランドについて学んでいるので、できればフィンランドの人と会いたい」と限定しています。
しかし、よく読まれていないのか、けっこうな数のリクエストが送られてきます。リクエストの文面だけでなく、プロフィールも隅々まで読んで受け入れるか断るかを決めます。

ユハナ君は、再来年の2015年にまた日本に来ると言います。私はそれまでにフィンランドに行けるでしょうか。
東京かヘルシンキ、どちらになるとしても再会が楽しみです。


フィンランドでは、英語が普通に通じるので、旅行中に困ることはありません。