翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

ICHING(イーチン)

易占では、六つの爻の陰陽の配置を元に之卦、互卦、錯卦などさまざまな角度から考察します。卦辞、爻辞だけに頼ることはないのですが、前提として目を通します。

しかし、易経は古代中国の書ですから、漢文を読み下すのは容易なことではありません。学生時代に漢文をもっと学んでおけばよかったと悔やみつつ、現代日本語訳に頼っています。翻訳は、どうしても訳者のバイアスが入るので、複数の書をチェックしますが、それなら英語で書かれた易の本も読んでみようという気になりました。

まず、ユングに易を伝授した中国学者リファルト・ヴィルヘルム。原書はドイツ語ですが、それを英語に訳した「THE ICHING」が出版されています。
2冊目は、ジョセフ・マーフィーの「Secrets of the I Ching」。
そして、アメリカの作家は、ストーリー展開に詰まった時に易を立てるという話を聞いていたのですが、「The Writer’s ICHING」という本も見つけました。

たとえば、風沢中孚(ふうたくちゅうふ)の二爻。
鳴鶴在陰
其子和之
我有好爵
吾興爾靡之

「親鶴が岩陰で鳴けば、子の鶴も声を合わせる。おいしい酒が入った爵(さかずき)をもっていれば、人とわかちあって楽しむ」という意味で、とても美しい爻辞です。

ヴィルヘルムの本では、風沢中孚を「Inner Truth」とし、二爻はこう訳してしています。
A crane calling in the shade.
Its young answers it.
I have a good goblet.
I will share it with you.

英文学者であり、数々の老子の著作を出している詩人の加島祥造氏は、朝日新聞のインタビューでこう述べています。
「60歳近くで漢詩を英語にした本に出くわしたんです。始めは白楽天の英訳版でね。漢詩ってこんなにおもしろいものかと感じた。それからしばらくして老子の英訳本を見つけたんです。老子が、ぼくがぼんやり感じていた思想を実にはっきり、深いところから語っていた」

英語で易経を読むことで、また見えてくるものが必ずあるはずです。