翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

映画『しあわせの隠れ場所』は『赤毛のアン』の現代版

サンドラ・ブロックアルコール依存症を演じた『28DAYS』がとてもおもしろかったので、他の出演作も観たくなりました。
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そこで、評判の高い『幸せの隠れ場所』のDVDをレンタルしてみました。サンドラ・ブロックはこの作品でアカデミー賞ゴールデングローブ賞を受賞しています。

テネシー州メンフィスの裕福な一家が、ほぼホームレス状態の黒人の少年マイケル・オアーを引き取り、やがてその子は一流のアメリカンフットボール選手になっていくというストーリー。サンドラ・ブロックは一家の母親リー・アンを演じています。

実話に基づく映画ですが、脚色が加えられています。

映画では、寒い雨の夜に傘もささずに半袖のシャツで体育館へと歩くマイケルを見るに見かねて自宅に連れ帰ったリー・アンが彼のアメフトの才能を見い出すのですが、実際は彼らが出会う前にマイケルはアメフトで活躍していました。

南部ということもあり、白人家庭が黒人の少年を引き取ることには、社会的な抵抗があるようです。
リー・アンは友人からこんなことを言われます。

I think, what you're doing is so great. To open up your home to him.
Honey, you're changing that boy's life.
(あなたのやっていることは立派だと思う。自宅に迎え入れるなんて。
あなたは、あの子の人生を変えている。)

リー・アンは毅然と答えます。
No. He's changing mine.
(違う。彼が私の人生を変えている。)

このシーンで、「これは『赤毛のアン』だ!」と思ったのです。
農場の手伝いをする男の子の孤児を引き取るはずが、女の子のアンが来てしまい、マシュウはそのまま引き取ろうとしますが、マリラは孤児院に帰そうとします。

What good would she be to us?(あの子が私たちに、何をしてくれるというの?)というマリラに、マシュウはWe might be some good for her.(私たちのほうが、あの子に何かしてあげられるかも)と答えます。

赤毛のアン』では「コルデリアと呼んでほしい」「アンと呼ぶのなら、eのついたアンと呼んでください」と名前にこだわりがありましたが、マイケルも通称の「ビッグ・マイク」ではなく、「マイケルと呼んでください」とリー・アンに頼みます。おそらく「ビッグ・マイク」には、図体の大きさをからかうニュアンスがあるのでしょう。

ある日、特別な頼みごとのあるマイケルは、リー・アンを改まって「ミセス・チューイ」と呼びます。
リー・アンの反応。

I hear "Mrs Tuohy", I look over my shoulder for my mother-in-law.
Call me Leigh Anne or Mama, or almost anything else.
(ミセス・チューイなんて聞いたら、姑がいるんじゃないかと探してしまった。
リー・アンか、ママか、何でもいいから別の名前で呼んで。)

赤毛のアン』でもマリラをどう呼ぶかで話し合いがあります。
「ミス・クスバート」と呼ばれるのに慣れていないので神経にさわる、ただマリラと呼べばいいというマリラに対し、「マリラおばさんて呼びたい、親戚におばさんが一人もいないから、そう呼べば身内みたいな気がする」とアン。
現実的なマリラは「私はあんたのおばさんじゃないんだから、そんな呼び方は感心しない」とはねつけます。

その点、二人の子供を育てているリー・アンは大らかで清濁併せ呑むタイプらしく「ママ」も呼び方の選択肢に入れています。

アメリカ人は『赤毛のアン』なんて知らないと小倉千賀子の本にありましたが、この映画の脚本家は読んでいるじゃないか。そんな想像も広がりました。
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欧米風の建物が並ぶ伊東のマリンタウン。潮風を感じながら伊豆の地ビールを飲むのは最高です。