翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

フランス人の中二病、パナマ人の百人一首

私が教えている日本語学校は、日本語を身につけて仕事をしたいというより、アニメや漫画、ゲームで日本に興味を持ったという学生が大半です。

作文のクラスでは、共通のテーマについて、それぞれにレベルに応じて書くことにしています。自己紹介から始まり、自分の家族、国、日記、趣味…と展開していきます。

お正月明け、年末年始に何をしたかを書くことにしました。
フランス人の学生が「書くことがない」と言います。
「どこにも行きませんでしたか、何も食べませんでしたか」と聞くと「わざわざ作文に書くような特別なことはしていない」とのこと。
じゃあ、何が書きたいのかというと、漢字に興味があるといい、ノートを見せてくれました。
「呪」「剣」「慟哭」「嘔」「唯我」といった、およそ日常会話では使いそうにない漢字がたくさん書きこまれています。好きなゲームに出てくる漢字だそうです。

こんな特殊な漢字を覚えても、実際に使う機会はあまりないでしょう。しかも、彼はむずかしい漢字はかけても、まだひらがながおぼつかない状態です。だからといって、ありきたりの日本語を教えても彼が興味を持つとは思えません。
しかたがないので、「この漢字を使って文を作ってみましょう」「やさしい言葉に言い換えてみましょう」と、彼だけの特別な課題を与えることにしました。

その隣では、パナマ人の学生が『ちはやふる』について書いています。
「私はこれが一番好きです」と、天智天皇の「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」を苦労しながら漢字を交えて書きあげました。まだ過去形も習っていないレベルのはずなのに、一気に短歌とは。
資料室に百人一首があったので、次のクラスで見せると、大感激していました。

ボブ・ディランの"I Threw It All Away"の一節が頭に浮かびました。

Love is all there is, it makes the world go around

みんな、日本への愛に満ちています。愛があるから、海を越えてやってはるばるやって来たわけです。
私も自分の世界を回すために、愛する対象を常に持っていたいものです。