翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

子育てせずに息子の成長を知る喜び

ベルギー人のエデンとの再会の喜びをしみじみと感じていたら、4年前の夏にホームステイで受け入れたフィンランド人のヘンリク君からうれしい知らせが届きました。

この秋から半年間、京都工芸繊維大学に交換留学するとのこと。

 

「応募する前に相談しようかと思ったけれど、選考からもれてがっかりさせたくなかったから、すべてが決まるまで何も言わなくてごめんなさい」とヘンリク君。

 

彼みたいに完璧な若い男の子を見たことがない。ヘンリク君のホストマザーになれたことは、私の人生の中で最も幸運なできごとの一つです。

 

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京都工芸繊維大学という選択も堅実ですばらしい。

最近は留学生の受け入れに力を入れている大学も多いので、ホームステイ中に「日本の大学に留学したら?」と勧めていたのですが、学費が高いことがネックになっていました。

彼の両親はともにMBAホルダーで国際的企業で働くグローバルエリートですが、フィンランドでは学費は一切無料です。短期の語学留学なら個人の選択だから費用を払ってもいいけれど、大学にお金を払うのは抵抗があるのでしょう。

ヘンリク君は名門アールト大学の工学部に上位5%の優秀な成績で入学。

京都工芸繊維大学は国立でアールト大学とは相互留学の協定を結んでいるので、授業料を払う必要はありません。東京の大学でないのは残念ですが、東京だけではなく、もっと広く日本を知ってほしい。京都での学生生活は彼に大きな学びをもたらすでしょう。

 

「ただひとつ残念なのは野球のシーズンから外れているので甲子園でタイガースの試合を観戦できないことだ」とヘンリク君は言いますが、京都には阪神ファンも多いし、いい友達がたくさんできることでしょう。

  

ヘンリク君はフィンランド男子の義務である兵役も早々に済ませ、ヘルシンキ発の起業イベントのボランティアとして去年の春に再来日しました。

 

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京都から東京にも来るというし、三度目の再会が果たせるでしょう。ヘンリク君の留学中に京都に行って、大学を案内してもらうのも楽しみです。

 

ヘンリク君のお母さんと会った時、「私の息子の世話をしてくれて、本当にありがとう」と感謝されましたが、私のほうこそ感謝すべきです。

子育ての苦労をまったく味わうことなく、完璧な息子の母親気分を味わえたのですから。

フィンランド人は年齢の上下をあまり気にしないようで、ヘンリク君にとって私は母親というより友達感覚のようです。

 

日本語学校に就職できたのも、ヘンリク君が作ってくれた縁のおかげです。プレッシャーが大きく、どんどん同僚がやめていくきびしい職場でしたが、ホストファミリー出身の教師ということで下駄を履かせてもらってなんとか3年間続きました。

 

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 50代も半ばを過ぎると、老いていくだけの退屈な月日が待っているかのようですが、若い人を応援することで死ぬまで楽しく暮らせるかもしれません。誰かをサポートすることは、相手のためになるようでいて、自分の運気を上げることに通じます。

 

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亥の年、未の月の吉方取りで訪れた銚子(東京からみて卯の方位)の漁港。亥卯未の三合木局は、新規スタートの後押し。8月から始まる新しい船出に大きな追い風となっています。

「ない仕事」を作る ウラナイ8発進

南阿佐ヶ谷のウラナイ・トナカイが閉店。

まついなつき先生は、お店という形でやりたいことをやりつくした感じなんでしょう。南阿佐ヶ谷に移転後、占い講座という場を与えてくださり、本当にありがたく思っています。「教える」ことに目覚め、日本語学校への就職につながったのですから。日本語教師は卒業しましたが、3年間で得た人脈と体験は確実に私の人生を豊かにしています。

 

東洋占術を学び続けていますが、対面鑑定は自分に向いていないことがわかり封印しました。双方向スタイルの講座で知識を深めていくことは楽しいけれど、トナカイの閉店でそういう機会もなくなり、独学を続けていくんだろうと思っていたところ、天海玉紀さんから声がかかりました。

 

トナカイのDNAを引き継ぐ活動グループを結成。

タイミングがずれていたら、そんなの絶対無理だと思ったでしょう。日本語学校の週3回の授業と本業の原稿書きをこなすだけで精一杯の日々でしたから。

ゆとりのある生活を送るようになり、おもしろいことなら何でもやってみたいと思っていた最高のタイミングでした。

 

玉紀さんが声をかけて集まった7人のグループ。

占いを看板に掲げながらも、占いだけをやっているわけじゃないというのがとてもいい。経営者に鍼灸師、デザイナーなど占いとどっちが本業なのかわからない人が集まりました。

 

打ち合わせを重ねるたびに、このメンバーで何ができるんだろうというわくわくした気持ちになりました。「ない仕事」がどんどん形になっていく!

 

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方

 

 
人には限界があります。あらゆる才能が備わっていれば、一人で何でもできますが、実際にはそうはいきません。
<中略>
誰か得意な人とチームを組んでしまえばいいのです。これはどんな仕事でも同じだと思います。大きなことを成し遂げるとき、同じ才能を持った者が集まるより、それぞれ得意分野が違う者が集まったほうが、きっとうまくいくことでしょう。異能戦士が横並びで集まる。それが成功の秘訣なのです。

 

サイトやらロゴ作成、イベントの設営…どれも私には苦手なことばかり。それぞれの得意分野を活かして着々と進み、本日8月8日、ウラナイ8が発進しました。

 

uranai8.jp

 

「ない仕事」が発進し、どんな形になっていくでしょうか。

 

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港や駅、空港に行くたびにテンションが上がります。ウラナイ8の旅路もおもしろいものになりますように。

人生を軌道修正するバレットジャーナル

なるべく物を減らしてすっきり暮らしたいと思っているのに、文房具のコレクションがやめられません。

主に集めるのは、ノートとペン、スタンプ、マスキングテープ。

手書きよりパソコンのほうが速いのに、手書きもやめられません。毎日のTO DO リストは、曜日ごとのダイカットメモに書き出して、終了したらスタンプを押します。

 

しかし、怠惰な癖は改まらず、先延ばしばかり。

やり方を変えなくてはいけないんじゃないかと思った時に読んだのがこの本です。

 

バレットジャーナル 人生を変えるノート術

バレットジャーナル 人生を変えるノート術

 

 著者のライダー・キャロル氏は、子どもの頃に発達障害学習障害)と診断され、学校の授業についていくのに苦労しました。そこで編み出したのが、ノートに書きながら思考を整理する方法。

 

「興味がないことや面白くないこと、難しいことに対して集中することが難しかった」というライダー氏。

私は学校嫌いですが、なんとか学校の授業にはついて行きました。

 

しかし、今は学習障害状態。

雑誌の仕事が減って締め切りにゆとりができ、切羽詰まることがなくなりました。

そして教室という密閉空間とは違い、ネットに24時間つながっている状態。メールチェックに、おもしろそうなサイトの巡回、そしてネットフリックスが見放題です。

 

原稿書き、仏教英語講座の復習と予習、東洋占術の勉強に取りかかっても、すぐに中断。しかも日本株に加えてアメリカ株に投資しており、配当狙いの長期投資のはずが、相場が動くと、「買いだ」「売りだ」とマーケットに張り付いてしまいます。

 

こんなことではじっくりと腰を据えて何かに取り組むことは不可能です。

 

そこでバレットジャーナルを始めました。

やるべきことだけでなく、思考を言語化して手書きします。TO DO LISTには常にあるけれどずっと先延ばししているなら、本当にやりたいことなのか自問自答。「こうあるべき」という義務感だけのタスクなら、手放すべきです。

 

日本語教師として忙しく働いていた日々、TO DOリストは長くなる一方でした。

「日本好きの外国人と交流したい」という目的だったのに、プレッシャーの多い職場で同僚が次々と去って行くのを目の当たりにするうちに「日本語教師を続ける」が目的になってしまいました。

昔の学生が再来日して学校を訪ねてきても、ゆっくり話す時間もありません。これでは本末転倒です。

3年間教えて、世界各国の知り合いのストックも十分な量に達しました。これからはバレットジャーナルを書きながら、残りの人生をどう過ごしていきたいかのイメージを明確にしていきます。長年、コレクションしてきたノートとペンも活用できますし。 

 

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先月は亥年の未月。吉方取りは卯の方位(東)の銚子へ。

銚子電鉄の本業は赤字ながら、副業のぬれせんべいやネーミングライツなど、ありとあらゆる手段を講じて小銭を稼いでいるようす。「銚子電鉄の存続」という明確な目標があるからこそ、さまざまなアイデアが形になっているのでしょう。

 

天国の再会

日本語学校の教え子、ベルギー人のエデンが再来日し、東京で再開しました。

 

エデンというファーストネームから漢字名は「天国」。ご両親が願いをこめて命名したのでしょう。慈しまれて大切に育てられたことが伝わってくるすばらしい学生。いつも笑顔で機嫌よく私の授業を受けてくれました。

 

再来日の宿泊先は前回のホームステイ先。

そういえば、ホストファミリーの好意で着物を着せてもらった写真も見ました。ずいぶんかわいがってもらったのでしょう。

国際交流を目的に外国人学生を引き受けるホストもいれば、エアービーアンドビーの規制がきびしくなったので乗り換えてきたビジネス目的というホストもいます。どちらに当たってもそれなりの人生経験となるでしょうが、エデンは自分にぴったりの家に巡り合えたようです。

 

定期的にメールを送ってくれ、ブリュッセルでのジブリのコンサートに大感動したとのこと。

 

「エデンさん、三鷹ジブリ美術館に行ったことがありますか?」と聞きました。

私が教えていた日本語学校はヨーロッパの良家の子女が多いのですが、来日してからジブリ美術館に行こうとしても手遅れです。チケットは予約で完売し、入場の際に身分証明を出さないといけないので転売で手に入れることもできません。

 

エデンはジブリ美術館に行っていないというのでネットでチケットを取りました。エデンは恐縮していましたが、彼女のためなら、喜んで予約を取りましょう。一斉発売の10日にネットで予約すれば夏休み期間でも簡単にチケットが入手できました。

 

三鷹駅の改札で待ち合わせ。10分前に三鷹駅に到着すると、にこにこ顔のエデンが待っていました。

「先生、ありがとう」とノイハウスのチョコレートがぎっしり詰まった箱を差し出します。ジブリのチケット代1000円も払おうとするので「エデンさん、あなたはとても遠い国から来ました。このチケットは私からのプレゼントです」と言いました。

 

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 エデンのお父さんは航空機のパイロットでお母さんはCA。

エデンはANAへの就職を目指しています。

「私は飛行機が大好き。だからジブリも好きなんです。飛行機のアニメが多いですから」とエデン。

私はJALマイルの奴隷ですから、どうしてJALじゃなくてANAなのか質問しました。

「だって先生、ANAはブリュッセルに直行便が飛んでいますから」

ああ、そうでした。JALはヘルシンキをヨーロッパのハブ空港にしています。

 

何よりすばらしかったのは、エデンとの会話はすべて日本語だったこと。

私が教えていた時より上達していました。ベルギーでも日本語の勉強を続けているのでしょう。

 

エデンはドイツ人のセリナの友達で、帰国してからも文通しているそうです。

 

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「文通って、メール交換?」と聞くと、セリナは大まじめな顔をしてこう言いました。

「紙に書いて、切手を貼って送ります。日本語を書くことで、勉強になりますから」

 

こんなすばらしい学生に恵まれた3年間。

日本語教師をやめても、交流が続きます。もし続けていたら、忙しくて卒業生に向き合うこともできなかったでしょう。3年間で得た財産でこれからの人生を食いつないでいこうと思います。

人はパンのみに生きるにあらず 映画『ニューヨーク公共図書館』

映画『ニューヨーク公共図書館』をようやく観ることができました。

 

神保町の岩波ホールでは連日、行列ができているとのことで、行く気になれませんでした。当日の朝、整理券を求めて窓口に並ぶという旧式システムで、ネット予約ができません。

 

4年前、フランスの修道院の映画『大いなる沈黙へ』を岩波ホールで観ようとしたのですが、朝一に行かなかったため、すべて売り切れていました。その後、新宿のシネマカリテで観ました。

 
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『ニューヨーク公共図書館』も岩波ホールの後、アップリンク吉祥寺で上映。ネットで座席を予約して出かけました。

 

それだけ観たかった映画なのに、タイトルを「ニューヨーク公立図書館」と誤解していました。Public Libraryだけど、公立ではなく私立の図書館。ニューヨーク市からの出資や民間からの寄付で運営されています。

  

ネットがこれだけ普及している時代に図書館は時代遅れの遺物になるのではというのが大方の予想でしょうが、ニューヨーク公共図書館は講演や読書会、コンサート、ダンスから就職支援まで、多彩な教室を開催し、市民の知的生活を支えています。ネット環境がない人々のために接続機器を貸し出すし、ホームレスの来館者にどう対応するかも話し合われます。

 

映画を観る前に予習をしていかなかったため、登場する著名人の背景を知らず、メッセージのすべてを咀嚼できませんでした。

たとえば、読書会で取り上げられたのはガルシア=マルケスの『コレラの時代の愛』でしたが、私はたまたまこの本を読んでいたから流れについて行けましたが、未読の人はこのシーンは退屈だったかもしれません。

 
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それにしても、3時間を超える他国の図書館のドキュメンタリーが連日行列ができるほどの人気を集めるとは、「知」への欲求を持つ人はけっこう多いのかも。

この4月から通っているケネス田中先生の英語で学ぶ仏教講座も、毎回、熱心な参加者が詰めかけています。

ただ、どちらも圧倒的に多いのは中高年。若い層は食べていくことに必死で、「知」への欲求なんて悠長なことは考えられないのでしょうか。

 

知りたいことを学べる場があるのは貴重なことです。ネットや本から一方的に情報を受け取るだけでなく、自分がどう考えたかを発表して意見交換できればさらにいい。ニューヨーク公共図書館のような壮大な規模でなくても、そんな場所に関わっていくのが理想の生き方です。

 

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 熊本の橙書店。店主がいいと思った本だけを置き、定期的にイベントも開かれているそうです。探せば日本各地にした場があるはずです。