翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

家族から生じる苦 『ゴッドファーザー』

映画『ゴッドファーザー』をpart1から3までまとめて観ました。

ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX [Blu-ray]

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ハーバード白熱教室マイケル・サンデル教授が『ゴッドファーザー』が好きだと答えているインタビューを読んだのがきっかけです。

腰を痛めてじっとしている時間が長かったので、超大作を観るにはちょうどいいタイミングでした。腰を伸ばすために家の中でも「立ち見」です。
今の映画は90分程度が多いのですが、1972年公開の『ゴッドファーザーpart1』は177分という長さです。こんな名作が近所のTSUTAYAに行けば100円で1週間レンタルできるのはありがたいことです。

オープニングはコルレオーネ家の末娘コニー(コンスタンツァ)の結婚披露宴。
黒澤作品の『悪い奴ほどよく眠る』が結婚披露宴で始まることに感心したコッポラ監督が同じ展開にしたそうです。

コルレオーネ家を襲う悲劇のほとんどは、コニーの結婚から始まります。
結婚相手カルロが悪かった。長男ソニーが紹介したハンサムな青年だったのが、結婚後はⅮV男に。しかし、その原因の一端は、コルレオーネ家の稼業に加わらせてもらえず、食い扶持だけあてがわれるという屈辱的な待遇にあります。コニーがマフィアのドンの娘でなければ、平和な結婚生活になったかもしれません。

長男のソニーは妹を殴るカルロが許せず、元々血の気の多い性格ですから、街中でカルロを襲い、「妹に二度と暴力をふるうな」と誓わせます。
この派手な襲撃がカルロの深い恨みを買い、ソニーを罠にかけて殺し屋に始末させます。

後継者の長男を失ったコルレオーネ家ですが、次男は繊細な性格でマフィアのドンの器ではありません。そこで、三男のマイケルにお鉢が回ってきます。
マイケルには結婚したい女性がいて、非合法なビジネスとは関わりをもたないことが結婚の条件だったのですが、ファミリーを継いでしまうと、そういうわけにもいきません。

現在の日本とはかけ離れているようでいて、舞台を変えればよくある話です。
相続問題は今後ますます頻発するでしょうし、娘婿や嫁への不満を持たない親は珍しいでしょう。そして、小さな頃は仲が良かったきょうだいがそれぞれ配偶者を持つことで対立するのはよくあることです。

『独居老人スタイル』にも書かれていましたが、高齢者の自殺で最も多いのは三世代同居。最も少ないのは一人暮らしだそうです。

占いの対面鑑定をやっていた頃、「結婚せず子供を持たなければ、人は悩むことはあまりない」と感じました。しかし、「結婚できない」「子供ができない」というのも、悩みとなります。
苦労するとわかっていても、自分の家族を持ちたい。仏教英語講座で習った「一切皆苦」。一般的には"all things are causes of sufferings"と訳されますが、ケネス田中先生の訳は"Life is a bumpy road.(人生はでこぼこ道)"でした。

サンデル教授は『ゴッドファーザー』で正義について考えるのでしょうが、人はそれぞれの器で名作を鑑賞するもの。
「家族はすばらしいものと思い込んでいると、うまくいかなくなったときの苦悩が深くなる。どういう因果か、今世ではたまたま家族になってしまったけれど、トラブルを避けるために適切な距離を置くのがいい」というのが私の感想です。


イタリア系の映画には赤ワインがよく似合います…って、腰のケガでお酒には懲りたはずなのですが、ほどほどに飲むようにしています。