翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

ミス・マープルのような占い師

高校生の頃、夢中になってアガサ・クリスティーを読みました。
ミステリーの謎解きよりも、クリスティーの描くイギリス的な世界にあこがれていたのです。
だからベルギー人のポアロよりミス・マープルのシリーズが好きでした。
ロンドン郊外にあるセント・メアリ・ミード村に住む老婦人で、好奇心にあふれ、観察眼はどこまでもシャープなミス・ジェーン・マープル。
将来、こんな老婦人になりたいと願ったものです。

短編集「火曜クラブ」の前書きで、クリスティーはこう書いています。

ミス・マープルはわたし自身の祖母に、どこか似ているところがある。祖母もやはり桜色の頬をした老婦人で、世の中からまったく引きこもったむかし風の暮らしをしていたくせに、人間の邪悪さというものをとことん知りぬいていた。

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

火曜クラブとは、個人的に知っている迷宮入り事件を問題に出し、全員で回答を考える集いです。
参加者は、ミス・マープルの甥で作家のレイモンド・ウェスト(作家)、その恋人で女流画家のジョイス・ランプリエール(女流画家)、スコットランド・ヤードの元警視総監のサー・クリザリング、ベンダー牧師、弁護士のペサリック氏。
部屋の片隅で編み物をしていたミス・マープルは、当初、頭数にも入れられないような存在でした。
ところが、あれこれ謎を出し合っていると、いつも正解にたどり着くのはミス・マープルです。

「ジェーン伯母さん」とレイモンドはふしぎそうに伯母を眺めた。
「どうしてそううまく当たるんだろう? 平穏しごくな生活をしているのに、伯母さんときたら、どんな事件が起ころうが、びくともしないようですねえ」
「わたしはね、この世に起こることは、すべて似たりよったりだと思うんですよ」
<中略>
「わたしはただ、人間てものは村であれ、どこであれ、ほとんど変わりはないって申し上げただけですのに。
ただ、村に住んでおりますと、人間性というものをごく手近で観察するチャンスや余裕があたえられるわけですけれどね」

老人になったからといって、自然に洞察力が磨かれるわけではありません。
ぼんやり年を重ねただけでは、振り込み詐欺のカモになることだってあるでしょう。

ミス・マープルへの道は遠いのですが、占いを学んだことで少しは近づいたような気がします。
私が使う占術は四柱推命ですが、大雑把に日干と生まれた季節で40パターンほどを頭に入れておきます。
相談者の誕生日を元に命式を作り、話をうかがいます。
鑑定回数を重ねるうちに、生まれ日の十干と生まれた季節により、おおよそのパターンができてきます。
もちろん人それぞれ個性がありますからまったく同じということはありません。
それでもミス・マープルが、あらゆる事件をセント・メアリ・ミード村に起こったできごとに置き換えて真相を解明していくのと同様、私も命式を糸口に「これと似たパターンはなかったか」と考えます。
答えが絞りきれないときは、筮竹を手に取って易の卦を出したり、タロットカードを使います。
ミス・マープルの域を目指して、毎日、学ぶことだらけです。