翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

老いては子に従え リバース・メンタリングの勧め

西日本を襲った豪雨。

避難指示を無視して自宅にとどまろうとする父親を説得する息子さんの映像がテレビに流れました。

 

一刻を争う事態だというのに、自宅の海抜を息子に言わせようとしたり、濡れた靴下のまま家に上がろうとするのを注意するなど、その後の展開を知ってから見ると、よほど頭の固い高齢者に見えます。

しかし、お父さんの年齢を調べると59歳。今の日本では高齢とは言いにくい年齢です。

 

自分はボケてもいないし、社会経験もあるから、若い者の言うことなんて聞かなくていいと思いがちな50代。私も気を付けないとそうなってしまいそうです。

 

6月のNHKラジオ「実践ビジネス英語」のテーマは「リバース・メンタリング reverse mentoring」でした。

メンターとは、指導や助言をしてくれる人で、若手社員にメンターを割り当てて個別の指導を行っている企業もあるそうです。そのリバースですから、高齢の社員が若手に教えを乞うというもの。実践ビジネス英語では、28歳年上の社員のメンターになった新入社員の話が紹介されていました。

 

kamomeskyさんによるディクテーション。

 
kamomesky.hatenablog.jp

 

リバース・メンタリングの制度は、GEのCEOだったジャック・ウェルチ氏が導入したとされています。若手社員がインターネットの使い方を年上の社員に指導するというもの。

たしかに、ITの使いこなしに関しては、デジタルネイティブである若者にはとてもかないません。私が教えている日本語学校では、動画作成の課題を与えるクラスもあるのですが、プロ顔負けの作品を作る学生もよくいます。そして教室でパソコンの操作にあたふたしている教師を助ける学生も。

 

クラスによってはスマホの使用を禁止しているようですが、私が教えている作文のクラスでは、辞書としての使用を奨励しています。母国に帰って日本語の勉強を続けるなら、自力で辞書を駆使する必要があるからです。

 

教師だから学生の質問にすべて答えられるわけではありません。

 

漢字オタクのスウェーデンの学生、メルビンが漢字の名前が欲しいというので「芽流敏」という字を当てました。若い芽が世界を流れて頭をよく働かせるようになるというイメージです。

 

その後、彼は自分で漢字を調べて「瑪劉敏」に改名することに。漢字の意味を聞かれて、「瑪」は瑪瑙(めのう)の瑪ですが、「劉」は中国の有名な武将、劉邦の名前としか答えられませんでした。中国人の学生に聞いても、同じ答えでした。

メルビンはあれこれ漢字の辞書を検索し「劉」は兵器の意味があることを突き止めました。「敵を殺す」という物騒な意味もあるのですが、若い男の子はそのくらい勢いがあるほうがいいでしょう。

 

学生から漢字の意味を教えてもらう日本語教師という間抜けな状況に苦笑しつつ、これこそリバース・メンタリングだと思いました。

日本語教師という仕事は、雇用が極めて不安定で、金銭的にも決して恵まれていませんが、こうして学生から教えてもらえるのなら、こっちがお金を払ってもいいぐらいかも。

 

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 人や店の名前は、その意味を考えると興味が尽きません。川越のレトロな通りの看板を思わず撮影してしまいました。