翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

ミス・マーサの失恋

NHKラジオ英会話で、オー・ヘンリーの「魔女のパン(Witches' Loaves)」が取り上げられました。

ヒロインのミス・マーサは婚期を逃した老嬢。この作品を初めて読んだ10代の頃は、初老にさしかかっている女性をイメージしていました。

しかし、改めて原作を聞くと、きっかり40歳。今の日本では恋愛の現役年齢です。
婚期は逃したものの、自営業で安定した収入を得ているし、貯金もあります。そんなミス・マーサが淡い恋心を抱きます。

Miss Martha took to wearing her blue-dotted silk waist behind the counter. In the back room she cookd a mysterious compound of quince seeds and borax. Ever so many peopke use it for the complexion.
ミス・マーサはカウンターに立つときにブルーの水玉模様の絹のブラウスを好んで着るようになった。店の奥の部屋では、マルメロの種とホウ酸ナトリウムの摩訶不思議な合成物をに建てた。それは実に多くの人が肌のつやのために使っているものである。

まさに恋愛スイッチがオンになった状態。絹のブラウスに化粧水。恋する女は身なりと美容に気を配るようになります。

うまくいくかのようだったミス・マーサの恋ですが、オー・ヘンリーですから、ハッピーエンドはありえません。
心が舞い上がって想像がふくらみ、突っ走ってしまったミス・マーサ。もう少し会話していれば、違った展開になっていたのでは。

占い鑑定をしていた頃、「私の気持ちを彼がまったくわかってくれないんです」という相談を受けたことがよくありました。運命の相手なら、以心伝心のはずと思い込んでいるのでしょう。

よくこんなアドバイスをしました。
「彼は超能力者ではありませんから、言葉にしなければ、伝わりません」
「でも、あなたが望んでいることをすべて言葉にすると、彼は重たく感じるでしょう」

腕のいい占い師なら、何を伝えて、何を黙っておくべきかを的確にアドバイスできるでしょう。占いに頼らず、苦い経験を経て自分で学んでいくという道もあります。

「魔女のパン」のエンディングは、ミス・マーサの高揚した状態との対比が鮮やかに描かれていて、なるほどこれが名手の文章なのかと改めて感心しました。

Miss Marhta went into the back room. She took off the blue-dotted silk waist and put on the old brown serge she used to wear. Then she pured the quince seed and borax mixture out of the window inth the ash can.
ミス・マーサは店の奥の部屋に入った。彼女はブルーの水玉模様の絹のブラウスを脱ぎ、いつも着ていた古いブラウンのサージを着た。それから窓を開け、マルメロの種とホウ酸ナトリウムの混合液を外のごみ缶の難中へ流し込んだ。


近所の神社で遭遇した結婚式の撮影シーン。