翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

中高年は時間と心のゆとりを

老害クレーマーにならないように、自分のミスは潔く認め、お金を払うこと。

bob0524.hatenablog.com

 

そう自戒したはずなのに、またまた新幹線でトラブル。

 

新幹線はEX予約を使っています。早割だと時間帯によっては東京と新大阪で3450円、新神戸で3700円の割引となり、ICカードをタッチするだけで改札を通れるのも便利です。

 

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 初めて使ったのは、昨年の11月。新大阪から東京へ。「こんなに便利なんだ!」と感動しました。

 

先日、新神戸駅から東京に帰ろうとICカードをタッチすると「新幹線の予約がありません」と表示が出て改札が通れませんでした。

どうして? 予約はまちがっていないはず。確認メールも届いているし。磁気がおかしくなっている? 

二度目にタッチしても状態は同じです。

おかしいと思ってICカードをよく見ると、私ではなく夫の名前が印字されています。

 

あ! 先月、関西に行く夫にICOCAを貸しました。それで返してもらったはずです。夫は自分もICOCAカードを作り、まちがって自分のカードを私に返したのでしょう。

 

予約した新幹線の出発時間まで20分ちょっと。

とりあえず、みどりの窓口に並びました。スマホでログインして予約をキャンセルすればいいのでしょうが、前回の失敗に凝りて、あせったときはスマホの操作は危険だと思ったからです。

 

日曜の午後とあってみどりの窓口には行列ができています。当日の切符を買うだけだから、すぐ順番が回ってくるだろうと思っていたのですが、列はのろのろとしか進みません。

気の利いた人ならパソコンやスマホで予約するし、券売機でも買えます。わざわざ列に並ぶのはIT化に取り残された要領の悪い人とか、私のような間抜けな人間。だから時間がかかるのでしょう。

 

出発時間が過ぎたら、キャンセルできない。間に合うか、間に合わないか…。今からスマホでキャンセルして、窓口で切符だけ買おうか…。冷静にと思っても、頭に血が上ります。

 

ようやく順番が巡って来ました。発車5分前です。

「スマートEXで予約したんですが、ICカードを忘れてしまって…」と予約の取り消しと新規購入をしようとしました。

みどりの窓口の担当者はこんな客をさんざん見てきたのか「決済したクレジットカードがあれば再発行できます」と冷静そのもの。

クレジットカード、それならあります。

「まだ間に合います」とチケットを発券してもらい、ホームを駆け上がりました。一息入れてたら、するすると新幹線がホームに入って来ました。

 

時間の余裕があるように駅に到着し、改札を通ろうとしたのが幸いでした。

お土産を見て回ってぎりぎりに入場しようとしていたら、時間切れだったでしょう。

そして、あとでEX予約のサイトを見ると、クレジットカードがあれば券売機での発見も可能だとわかりました。肝心のことを読んでいない情弱。

 

中高年になったら、時間を効率的に使うなんて大それたことを考えないこと。時間が無駄になっても、ゆとりをもって動くべきです。

 

中高年向きのクラブツーリズムのツアーに参加したことがあります。

参加者のほとんどが集合時間の5分から10分前にバスに戻って来ていました。そして、時間に遅れる人は皆無。

団体ツアーに参加する高齢者は、パソコンやスマホの操作には不慣れでも、こういうところはしっかり自分を律しているのでしょう。年を取ってあわてて動くと、足元もおぼつかなくなり、思わぬ事故につながることもあります。

 

これからは、ぎりぎりのスケジュールを立てず、なんでも早めに、時間のゆとりを持って動こうと改めて自らを戒めました。

 そして、自分の思い通りにならなくても、感情を荒立てないこと。キレる高齢者ほど感じの悪いものはありませんから。

老害クレーマーになりたくない

月1回、介護帰省で東京と関西を往復しています。

行きはマイル獲得のためにJAL、帰りは時間が読める新幹線。JALは先得割引、新幹線はEX早割で交通費を節約しています。

去年の夏までは往復JALだったのですが、最終便が欠航というさんざんな目に遭ったため、帰りは新幹線にすることに。

 

一方、先週、ネットを賑わせた炎上事件。

news.livedoor.com

 

立派な肩書の大学教授でも、こんな記事を書いてしまうのか。

ホテルの予約サイトで自分とゼミ生合計13人分を予約。学生は自分たちで宿を予約するというので、学生の12人分をキャンセル。

ところがこの教授、自分のIDで予約する前にゲストでもログインして二重予約していたのです。キャンセルしたのはIDで予約した分だけ。だから学生の12人分は当日キャンセルとなり繁忙期なので規定でキャンセル料は100%。

この教授は「同じ名前で予約があるなら、おかしいと思って前日にでも知らせてくれるべきだ」と交渉して50%のキャンセル料まで下げてもらったそうです。

 

うーん。ホテルだってぎりぎりの人数で回しているだろうから、予約客の名前のチェックなんてしないのでは。そもそも客とのやりとりの手間を省くために外部の予約サイトに手数料を払って委託しているわけじゃないでしょう。

 

ホテルや乗り物は、商品の買い物とは違い、「その日、その時間」の利用権ですから、他の客へ販売できなくなったところで、利用しようがしまいが料金は発生します。そうじゃないと、経営が成り立ちません。

 

しかし、わが身を振り返れば…。

1年前に新幹線の予約で失敗しています。

 

bob0524.hatenablog.com

 

伊丹空港発の最終便が欠航になり、あわててバスで新大阪へ移動。

時刻は午後7時過ぎです。一刻も早く帰りたいし、座席なしで立って帰るのは避けたかったので移動中のバスの車内でスマホを使って予約。新大阪駅で乗車券を受け取ろうとしたら、えきねっとJR東日本のサービスなので、新大阪駅では受け取れないことが判明しました。

 

時間も差し迫っているので、みどりの窓口でチケットを新たに買い直して乗るはずだった新幹線で23時過ぎに東京まで戻りました。

 

新大阪駅みどりの窓口の係員が「電話で取り消せば、特急料金も払い戻されます」と教えてくれたのでその通りにしたのですが、規定通りであれば特急料金5990円は払い戻されなかったはずです。

乗車率は5割程度で満席ではなかったので、JRの販売機会を奪ったわけではありません。

新大阪駅の係員が親切なアドバイスをしてくれてラッキーだった」と思っていました。

ところが、今回の大学教授が「老害クレーマー」としてネットで糾弾されているのを見ているうちに、目先の5990円を得しただけで、クレーマーまがいのことをして運気を下げたような気がしました。スマホの画面には「JR東日本の駅でしか受け取れません」と表示されていたのに、あせっていたので見逃してしまったのは私のミスです。

 

予約システムを使いこなせないなら、切符はみどりの窓口に並び、宿は旅行代理店を通すか、直接電話して予約するべきでしょう。

省力化してコストを抑えているから割引価格にしているのに、IT音痴の情報弱者相手で人件費がかかり、そのコストは利用者全体が負担することになります。

 

デジタルネイティブの若者に交じって無理に最先端のシステムを使おうとしないこと。いや、使ってみるのはいいけれど、失敗したら、潔くお金を払うこと。

私がミスしたのは、システムのせいではなく、自分のせいです。老害クレーマーにならないために自戒しなくては。

 

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 いすみ鉄道ムーミン列車。年を取ったら予約不要で近場をのんびり旅するぐらいがいいのかも。

自分では決めない、と決めた

「こんなおもしろい仕事があるなんて!」と楽しみつつ「苦しいからもうやめたい」と、ぐるぐる悩んでいる私。

 

出した結論は「自分では決めない」。

決められない背景には、どっちを選んでも後悔するのがわかっているからです。だったら、自分で決めなければいい。

 

植島啓司先生の教えです。

 

偶然のチカラ (集英社新書 412C)

偶然のチカラ (集英社新書 412C)

 

 不幸は選択ミスから起こる。

<中略>

うまく生きる秘訣はなるべく選択しないですますことである。

 

問題が起こっても自分で選択しない。つまり、なるべく選択しないですむように人生を操ることが人生を失敗しないコツだと植島先生は言います。囲碁や将棋でも、相手に選択させて自分はそれを見てから判断するほうが勝つそうです。

 

やめるかやめないかの選択に疲れた私も、自分で決めないことにしました。

やめたくなくても、やめざるを得なかった同僚の姿も見てきました。

その一方で、引き留められてもやめていく同僚も。

私は自分の意思を放棄して、何も言われなければ淡々と続けて、やめるべき時がきたらやめることにします。

 

国語学習者の数はその国の国力に比例します。

日本が衰えたら、日本語学習者の数も減るでしょう。

今は人手不足でどこでも雇ってもらえる日本語教師ですが、数年先は闇です。

 

外国人の日本語学習者が一気に減れば、日本語教師を志す若い人に道を譲りたいと思います。

東京オリンピックが終わればそうなるかもしれませんし、それ以前に大規模災害が起これば一気に外国人学習者が減るでしょう。

東日本大震災が起こり、日本語教師の大半は自宅待機になったそうです。

私が教えている日本語学校外資系なので、オリンピック終了後に日本撤退ということもあり得ます。

 

オリンピックの前でも、病気やけが、あるいは実家の介護、自分ではどうしようもないことでやめざるを得ないこともあるでしょう。そもそも選択クラスは、学生が集まらなければ開講されないのですし。

 

明日は何が起こるか誰にもわかりません。自分は賢いつもりで先走って決断するよりも、起こった事態を受け入れて流れに従うほうが、結果的にみると吉。いや、吉か吉でないか誰にもわからないのだから、選択を悔まないためにも自分で決めないことにします。

 

 

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東京から西に向かうフライトで富士山が見えるかどうかはタイミング次第。

自分でコントロールできないのですから、「いつか見えたらそれでいい」と構えたほうが精神的に楽です。

 

 

干からびてしまったロバ

 3年前に副業として始めた日本語教師の仕事。

外国人好きだから、刺激的でおもしろい。わざわざ海外に行かなくても、日本好きの外国人が向こうからやって来てくれる。そして私の母語である日本語でコミュニケーションできる。

こんな最高の仕事があったなんて。

 

その反面、教育というよりサービス業に近く、消耗がはげしい。準備が大変。授業も不慣れで失敗が多い。そもそも教師という職業が好きではない。50代の半ばを過ぎて体力と気力がもつか不安。

3年もやれば飽きてくるし、そろそろ、やめ時かも。

 

「続けたい」「やめたい」という二つの気持ちがぐるぐる回って、決められません。

非常勤講師が大半で、流動性の高い職場です。同僚はどんどん入れ替わっていくし、上司も4人目。やめようとしたら簡単にやめられるはず。

その反面、人手不足で教師の確保はなかなか大変なようす。

 

続けるべきか、やめるべきか…結論が出せず、とりあえず現状維持。

 

つらいけれど、やっぱり楽しい。

高校かるた選手権大会のために来日したアメリカ人学生。彼が在籍するのはボストン在留の日本人子弟のための日本語補習校ですが、アメリカ人でも日本語が勉強したければ入学できるそうです。いきなり百人一首の好きな句の話になり40年以上も前の記憶を探りました。

最近は中国からの学生も増えてきました。着実に富裕層が増えているのでしょう。

「稲垣さん」を連発する中国の女子学生。稲垣さんって誰?という私に「吾郎さんですよ!」。

10代の彼女からしたらおじさんじゃないかとぽろりと本音が出ると、「先生、なんてこと言うんですか!」と怒りのあまり稲垣さんの魅力について長文を書き上げました。

 

そして、欧米からやってくる愛すべきオタク・スチューデントたち。ひらがなもおぼつかないレベルの学生もいますが、スイスやベルギー、オランダなど多言語国家の学生は、独学でかなりのレベルまで日本語をマスターしていることもよくあります。

 

世界各国からやってくる学生を相手にしていると退屈することがないし、老後の暇つぶしにはぴったり。限界になるまでやっぱり続けよう。しかし、毎回、へとへと。

 

鏡リュウジの『実践タロット・リーディング』に「干からびてしまったロバ」というブラックジョークが紹介されていました。

 

恋人のカードです。

 

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右のスミス・ウェイト版では恋人たちを天使が祝福しています。このカードが出たら、恋愛の成就とよむのが一般的です。

一方、左側のマルセイユ版では1人の男性に2人の女性。このままでは二股ですからどちらか1人を選ばなければなりません。

恋人ができるというのは、その他の異性を恋人として選ばないということ。愛とは選択であるというのがマルセイユ版のメッセージです。

 

そして「のどの渇いたロバ」の話。

のどが渇いたロバに水の入った2つの桶。桶には同じ量の水が入っており、ロバを中心に対象の方角、等距離に置かれています。そして、このロバは最短の距離で最大の水を得る行動をするようにプログラムされている特殊なロバです。

まったく同じ条件なので選択のしようがなく、ロバは一歩も動けず干からびてしまいました。

 

そんな非現実的なことはあり得ない?

でも、二人の男性から同時にプロポーズされて決められずに両方とも断ってしまうという女性はいるかも。

あるいは、一人の男性からプロポーズされたけれど「待てばもっといい結婚相手が現れるかも」と断ってしまい、ずるずると独身を生活を続けているという人はけっこういるでしょう。

 

決断を迷うのは、どっちを選んでも後悔するかもしれないという恐れがあるからです。

 

私は24歳でさっさと結婚し、30歳でとっとと会社をやめてフリーランスになりました。

若さの勢いもありましたが、「今、これをしなければ、後悔する」とはっきりわかっていたから。

日本語教師養成講座の受講も迷いませんでした。学校の説明会に行って、その場で申し込みました。資格を取るなら若ければ若いほどいいと思ったから。とりあえず資格を取っておいて本当に教えるかどうかはその時考えようと決断を先延ばしできたし。

 

そして、実際に教え始めて、日本語教師をやめるか、続けるか、こんなに悩むとは。

どちらを選んでも後悔するでしょう。だから、ロバのように動けません。とりあえず現状維持。毎週、憂鬱な日曜日の夜を迎え、月曜日になれば、何も考えず習慣として学校に向かいます。

 

 

働かなくても楽しく生きていける?

新聞なんて読むのは高齢者の習慣なんでしょうが、朝起きたらとりあえず活字を読みます。

この記事を読んで完全に目が覚めました。


www.asahi.com

  

2030年以降、大半の仕事が消えて古代ギリシャのような社会へ。

古代ギリシャでは、労働は奴隷がするものであり、市民は政治や数学に熱中したり、哲学していたとか。奴隷の労働がAIやロボットにとってかわられるわけです。

そんな社会では「賃金労働ではなくても社会との接点は作れる」と井上智弘・駒澤大学准教授。

 

働く以外にも素晴らしいことはあるし、生きているだけで貴いという価値観に変えていかないといけないんですよ。AIが人間の仕事にとってかわっていくなら、「役に立たない」と自分を卑下してしまう人間が増えるかもしれない。遊んで暮らすもけっこう、くらいにゆるい社会にならないと、今でも生きづらさを感じている人は多いし、ますますそうなってしまいます。労働以外のことに意味や価値を見いだしている人の生き方も肯定していかないと、立ちゆかなくなります。

 

学校を出てからずっと働き詰めだった私。50代半ばを過ぎても雑誌や本の原稿を書いたり、週の前半は外国人に日本語を教える仕事をしています。 

 

本業の原稿書きは、何十年もやってきたことなのでそれほどプレッシャーはありません。問題は3年前から始めた日本語学校

本社はヨーロッパにあります。学生が国の母親に愚痴ると、母親は現地のセールスオフィスへ。そこからアジア統括本部のシンガポールに送られ、東京へ。世界を一周してきたクレームです。もちろん、直接クレームを受けることもありますし、授業をさぼられたり、登録を取り消されたり。

 

そのたびに、心が折れます。

こんな大変な思いをしながら働かなくてもいいんじゃないかもと思います。

だからこそ、水曜の授業が終わった後、「月曜日まで学校がない!」という解放感とともに銭湯やサウナに寄るのが何よりの楽しみです。いやなことはすべて流して、木金土日は何をしようかと考えます。

 

月火水の勤務がなければ最高の人生じゃないでしょうか。

長期で旅行したり、温泉に長逗留もできます。2030年といわず、早く働かなくてもいい社会になればいいのに。

 

その一方で、私は心の切り替えがうまくできるだろうかと不安にもなります。

 

星新一ショートショート。『明日は休日』。

毎朝、出勤するエヌ氏。会社は苦行の連続で、帰宅してほっとします。

そこでエヌ氏は我に返ります。「働いていた」というのは朝食の皿の端に乗っていた錠剤が作り出した幻覚。

この時代、すべての仕事は機械にとってかわられて、人間の仕事はありません(星新一の未来予見力は本当にすごい)。

でも「何もすることがない」というのは地獄のようなもの。ずっと遊び続けるわけにもいかず、錠剤を飲んで働いているような気分になり、休日を楽しむという話です。

 

私は新しい社会の仕組みになじめず、わざわざ錠剤を飲むタイプでしょう。

だったら、仕事でいやなことがあっても「これはすべて幻覚、錠剤を飲んでいるからだ」とやりすごすことができるかも。そう思って、もう少し仕事を続けてみましょうか。

 

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 ベトナムハノイの猫。私がいつも猫にあこがれるのは、特別なことをしなくても、そこにいるだけで満ち足りているように見えるからです。