翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。

釜山の水風呂、平壌の冷麺

去年の5月、韓国の釜山に行きすっかり気に入りました。

便を選べば成田からJALで片道1万4000円。税金とサーチャージが加算されますが、運賃だけなら関西に行くのと変わりません。しかもマイルが貯まる。

 

また釜山に行こうと思っていたのに、このところの日韓関係で二の足を踏んでいます。釜山はソウルよりのんびりしていて、外国人にも親切でした。国と国の関係が悪くなったからといって、旅行者にいやがらせをするような人はそういるわけではないでしょう。行けば行ったで楽しく過ごせそうですが、もう少し状況が落ち着いてからのほうがいいのかと思ってしまいます。

 

釜山で泊まったホテルには大浴場がありました。海を見ながら入浴ができる上に水風呂もあります。温度管理もちょうどよく広々としていて、ここの水風呂に入るためだけでも釜山に行きたいと思わせるほどの極上の水風呂でした。

フィットネスクラブを併設しているので、地元の人も大浴場を利用しているようです。入浴してリラックスしながら、韓国語の会話を耳にしていると、旅に出ているという実感がわきます。

 

韓国にはそのうち行けるでしょうが、北朝鮮には? 北京経由の団体ツアーなら今でも行けるでしょうが、もっと気楽に個人で旅行できるのはいつになるのでしょう。

 

今年5月のバンコクの旅では、北朝鮮レストランに行きました。タイと北朝鮮は国交があるのです。

北朝鮮の貴重な外貨獲得手段となっており、「経済制裁すべきなのに、そんなところにのこのこ行くんじゃない!」と憤る人もいるでしょうが、行ってみました。

ちょうどその日は、仏誕祭で禁酒日。外貨を落とそうにも、飲み物はミネラルウォーター。平壌冷麺とチヂミの質素な食事となりました。

 

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女性スタッフは、喜び組? 若くてかわいく、素朴。日本人の駐在員がよく行くというのもわかります。一昔前の日本の男が理想としたようなタイプです。

 

冷麺をはさみで切ったり、調味料を混ぜたりあれこれ世話をやいてくれます。私が日本語教師をしていたと言ったわけでもないのに、日本語について質問して座をもたせる接客スキルもなかなかのもの。

 

海外に出ているということは、超エリート家庭の出身なのか。資本主義の大都市バンコクに暮らしてどう思っているんだろう。北朝鮮がいやでも、本国の家族のことを思えばとても脱北なんてできないでしょう。たまたま生まれた国が独裁国家だったというだけで、本質は私たちと変わらない。

 

こうして書いているうちに、また旅に出たくなりました。人生の時間は限られているからこそ、「ここではないどこか」に行きたい。この欲があるから、単調な日常生活に耐えているような気がします。

ウラナイ8で叶える「旅する占い師」という夢

カレン・キングストンの"Clear Your Clutter With Feng Shui"の冒頭を読んで「占い師っていいかもしれない」と思うようになりました。それもあって占い学校に入りました。

 

日本語訳も出ています。

 

世界中どこでも目的地までの片道切符だけ持って旅立つ女性。彼女は手相を読む特別なスキルがあるので、どこへ行こうとも、宿泊と食事に困ったことがありません。地元のレストランかホテルに行き、マネージャーと交渉。お客さんの手相を読む代わりに食事、寝場所、謝礼の提供を受けます。彼女はこのようにして十数か国を旅しています。

 

占いのスキルは持ち運べるから、旅先で仕事ができるわけです。

 

そんな夢がついに実現。ウラナイ8のメンバーの夏瀬杏子さんと一緒に神戸元町で講座と交流会を開くことになりました。10月26日(土)が杏子さんの算命学講座、27日(日)私の易講座で、時間は二日間とも共通で講座が11時から14時、交流会が14時半から16時半です。

 

uranai8.jp

「キャラバン」という言葉を入れたのは、ヴァン・モリソンの名曲『キャラバン』にちなんで。

 

ミュージシャンはよくツアーに出ます。

ボブ・ディランは1975年から76年にミュージシャンのグループでライブツアーを行いました。名付けて「ローリング・サンダー・レビュー」。メンバーは固定せず、ライブごとにゲストが登場し、ミュージシャンだけでなく詩人のアレン・ギンズバーグも参加しました。人々はディランの「キャラバン」とも呼びました。

 

Netflixで配信されているドキュメンタリー映画は、マーティン・スコセッシ監督によるもの。ディランは自宅でツアー名を考えていた時、左から右へと空を貫く雷の音を聞き、「ローリング・サンダー」と名付けたそうです。ネイティブ・アメリカンの祈祷師の名前でもあり「真実を語る」という意味を知り、とてもいい名前だと喜びましたが、後に軍の暗号ではカンボジアの爆撃と知り複雑な気持ちになったことでしょう。

 

雷は易の八卦では震。始まりであり、音楽も象徴します。ディランは易(イーチン)にも興味があったようでこんな歌詞もあります。

I threw the I-Ching yesterday,it said there'd be some thunder at the well.

井戸に嵐。水風井ではなく沢雷随(たくらいずい)だと思います。正確には"thunder at the lake"ですが、wellにしたほうが歌った時にかっこいい。これはライブで歌った歌詞で、ディランはその場の気分で内容を変えます。音楽につられて聴衆がついて行くイメージでしょうか。

旅する占い師というだけで、どんどんイメージが広がります。ウラナイ8のメンバーには旅好きが多いし、これからさまざまな占い師や占いに興味のある人が参加して不定期に開催できればと思っています。関西行きに先立って、10月12日土曜日に横浜で易の読み会も開催します。

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ウラナイ8は先月8月8日に誕生したばかり。お披露目会は今週の土曜日です。

占い好きの人はこうしたイベントが得意じゃないタイプが多いのですが、個人鑑定や体験コーナーもあるので、とりあえず何かおもしろいことを探すために顔を出してみてはいかがでしょうか。実際に行動することで人生に新しい風が吹き込みます。

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裏磐梯の観光周遊バス。ミュージシャンのキャラバンにはこんなレトロなバスが似合います。

積極的にあきらめる

日本株はほとんど売り払い、アメリカ株にシフトしています。この8月、ニューヨーク市場はかなり荒れました。

 

アメリカ株をやるのに必要なのは、金融知識よりも胆力だと思います。

まずドル買いのタイミング。いつ買っても後悔しそう。90年半ば1ドル80円なんてタイミングでドルを買った人がうらやましい。しかし、私が子供の頃は1ドル360円の固定相場だったことを思えば、先のことは誰も予測できません。

経済記事を読んでいても「今後、1ドル140円になることもあるし、80円になる可能性もある」などとあり脱力しました。

 

先週の日経には「次の不況は予測不能」という大きな記事が載っていました。書いたのはフィナンシャル・タイムズの東京支局長。「次の世界的不況はいつ起きるかわからない。毎年流行するインフルエンザというより、新種の感染症が突然まん延する事態に近い」とのこと。

 

次の不況が起こってから買おうと目論んでいては、いつまでも買えそうにない。かといって、日本経済の先行きを思うと円のキャッシュを持っていることも不安。覚悟を決めてニューヨーク市場が開いている深夜にクリック一つで購入します。

 

若い人ならドルコスト平均法で毎月決まった額を投資するという方法が取れますが、50代後半の私はそんな悠長なことはしていられません。

 

ありがたいことにネットには投資ブログというジャンルがあり、投資家のリアルな体験が大いに参考になります。

アメリカ株といえば、このブログ。

freetonsha.com

 

株式投資ブログとはいえ、お金一辺倒にならず、アーリーリタイア後の明確なビジョンに感心しました。いくら上手に投資できても、リタイア後に時間を持て余し、酒浸りになって体をこわすぐらいなら、定年まで働いたほうがずっとましです。

 

特に参考になったのがこのエントリー。

freetonsha.com

東京電力の例を挙げ、かつては配当利回り7%で誰もが手堅いと信じ込んでいた銘柄が原発事故を起こして株価は暴落し、配当はゼロへ。

ドル相場や株を買った会社がどうなるか、予測するのは不可能だと割り切ったほうがいいと三菱サラリーマンさんはアドバイスし、「積極的な諦観」と呼んでいます。

 

この話は、英語で学ぶ仏教講座でケネス田中先生からも聞きました。

「あきらめる」は消極的なイメージがあるけれど、「明らかに物事を見ること」。現状を冷静に把握して受け入れる姿勢でもあると。

 

株は益が出ることもあれば、損することもある。だから手を出さないというのも立派な判断だし、受け入れた上でやってみるのも一つの選択です。損をすることも受け入れたのだから、暴落しても狼狽売りはしない。そして、易経では山沢損(さんたくそん)の次に風雷益(ふうらいえき)が続きます。陰陽は循環して、損ばかり益ばかり続くことはない。そう肚をくくって相場を覗いています。

 

占い師だからといって、株価の上げ下げを占うことはありません。それができるなら、占い師はみんな大富豪になっているはずです。いくら占いの腕がよくても、金運の器が小さければお金は入って来ません。そして、明治の易聖・高島嘉右衛門は「易のような貴いもので相場を占うのは、宝刀をもって料理するようなもの」と戒めています。

 

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繁盛をもたらす福の神として仙台のお店からひっぱりだこになった仙台四郎。こういうのも自然発生的に起こるものでなかなか仕掛けてブームになるものではありません。

 

 

3番目の扉はどこにある?

「成功への抜け道」という占い師のアンチョコのような惹句に引かれてこの本を読みました。

サードドア: 精神的資産のふやし方

サードドア: 精神的資産のふやし方

 

 著者のアレックス・バナヤンによると、成功への扉はナイトクラブみたいに3つ用意されているそうです。

1番目の扉は一般向け。長い行列に並ばなくてはいけません。

2番目の扉はVIP専用。

そして3番目の扉はその存在を誰も教えてくれません。成功者はこの3番目の扉を使う。

 

各界の著名人がどうやって3番目の扉を見つけたかを無名の大学生が突撃インタビューで明らかにしようと悪戦苦闘する話です。

執筆の動機は「成功者がいかにしてキャリアの足がかりを作ったか知りたいのに、書いてある本がなかったから」。

自分が読みたいものを書く。ライターとして理想的です。これから世に出る若者だけでなく、超高齢化社会を迎えてキャリアのシフトを余儀なくされる中高年にも役立つ本です。

 

ネットのない時代、人とつながるのは本当に大変でした。週刊誌の編集部に出入りしていたのですが、編集者に最も重宝されるのは文才のあるライターではなく、取材源へのルートを持っているライターでした。企画が決まったら、まず取材のアポ取り。「アポが取れたら、仕事は半分終わったようなもの」とよく言われたものです。

 

ルートを増やすために私がよくやったのは、実際に取材した相手とのつながりを強めること。掲載誌や礼状を送っておくと、「インサイドマン」になってくれる可能性があります。インサイドマンとは、内部の関係者。取材したい人に直接つながるのがむずかしい時は、関係者とつながるのです。

 

スティーヴン・スピルバーグにとってのインサイドマンは、ユニバーサル・スタジオで働いていたチャック・シルヴァーズ。

ユニバーサル・スタジオのツアーバスに乗ってあちこちを見て回った後、こっそりトイレにこもってツアーバスをやり過ごし、偶然出会ったシルヴァースに映画への熱意を伝え、3日間のフリーパスをもらいます。3日間ユニバーサル・スタジオに通いつめ、4日目からは顔パスに。それから3か月間、防音スタジオや編集室に潜り込み、映画作りのノウハウを独力で吸収したのです。

 

私のインサイドマンは、別の取材源を紹介してくれたり、新規の仕事先を紹介してくれフリーランスのライターとして仕事は順調に発展していきました。

 

「サードドア」を書いたアレックスがインタビューしたいのは、スティーヴン・スピルバーグウォーレン・バフェットビル・ゲイツレディー・ガガといった超有名人ですから、そう簡単にはいきません。悪戦苦闘がリアルに描かれています。

 

一番おもしろかったのは、ジェシカ・アルバのインタビュー。テレビシリーズ『ダーク・エンジェル』のセクシー女優として有名ですが、なんと数十億ドル規模の会社「ザ・オネスト・カンパニー」を経営しています。

アレックスが3番目の扉の話をすると、ジェシカも深く共感します。 

このドアもあのドアもそのドアも閉ざされているなら、どうすればいい?

自分の力で解決するしかないじゃない。常識を働かせたり、人脈を作ったりしてね。どうやってドアを開けたかは問わない。とにかく中に入るしかない。

 ジェシカの会社はこうした採用方針で人を採っているそうです。

高齢者ばかりの国になってしまい、できる限り長く働かなくてはいけない時代。新卒一斉採用みたいなフォーマットではなく、サードドアを探してどこかにもぐりこめる人が求められているのでしょう。

 

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お客として入るのなら、わかりやすい看板が出ていますが、働く側になりたいのだったら、自分専用の扉を探さなくては。

 

8月8日から活動を始めたウラナイ8のメンバーには、ウラナイ・トナカイの関係者が多いのですが、トナカイとつながった扉はそれぞれ個性的でそれだけで物語になります。私の場合は、地元の行きつけの飲み屋、美容院に請われるままに占いイベントを企画したことで3番目の扉が開きました。

ウラナイ8も、関わる人にとって3番目の扉への媒介となることを目指しています。9月14日のお披露目会でぜひ新しいつながりを見つけてください。

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やってみたからわかったことだってある

4年前の夏に我が家にホームステイしたフィンランド人のヘンリク君がこの秋から京都工芸繊維大学に交換留学すると知り、日本で一緒に見た映画『かもめ食堂』を思い出しました。ヘルシンキの日本語教室ではよく話題に出るそうです。

 


映画 『かもめ食堂』 予告編

 

 ヘルシンキ日本食の食堂を開いたサチエ。フィンランド人は店の中を覗くものの、客足はさっぱり。サチエの家に居候させてもらっているミドリは、なんとかしなくてはと知恵を絞ります。

「おにぎりは梅、鮭、おかかに限る」と考えるサチエに「コンビニで、ツナマヨとか新しいおにぎりが人気だから」とトナカイ、ニシン、ザリガニのおにぎりを提案。いずれもフィンランド料理の食材です。

 

市場で食材を買ってご飯を炊き、試食。実際に食べてみると、おいしくない。とても食堂では出せません。

恐縮するミドリにサチエは「やってみたからわかったことだってある」と言います。

 

サチエのおにぎりのポリシーと同じように、人にはどうしても変えられない向き・不向きがあります。

わざわざ向いていないことに挑んで消耗するのはエネルギーの無駄。そのためにも自分の性質をよく知っておくべきで、占いを活用するのも一つの手段です。

 

かっちりした組織で働くのが苦手な私は、会社勤めは切り上げ、30代からフリーランスで働いてきました。

しかし、何を血迷ったのか、副業で日本語教師になってしまいました。外国人との交流が得意だから、日本語教師に向いているという思い込みが選択を誤らせたのです。そもそも学校が大嫌いだったのに、教師になんて向いているわけがなかったのに。

 

実際に教えていた3年間に加え、日本語教師の養成講座の費用と労力。3年で辞めたことを告げると「なんてもったいない!」と言う人もいました。

 

いや、ぜんぜんもったいなくないから。

日本語教師にならずに年老いたら「やればよかった」と悔やんでいたことでしょう。「やってみたからわかったこと」は、教師と学生ではなくフラットな関係で外国人と関わりたいという希望です。

  

「結婚や子育てはコスパが悪い」と言われますが、だったら一番コスパのいい生き方はすぐ死ぬことではないでしょうか。

かもめ食堂フィンランドおにぎりは不発に終わりましたが、カリフォルニアロールは世界を席巻しています。とりあえずやってみることで、やめる決断をしてもいいし、続行してもいい。人生が広がり、次の一手を打つことができます。

 

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かもめ食堂」の舞台となったのは、カハヴィラ・スオミというレストラン。フィンランド語でフィンランドは「スオミ」です。