翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

養老渓谷へ小さな旅

外国人に日本語を教え始めて、まとまった休みがとりにくくなり、海外旅行に行かなくなりました。

その代わりに国内の小旅行に頻繁に出かけています。がんばれば日帰りできる場所に一泊してのんびりします。

日本語教師の仕事に慣れない時期は、小旅行がご褒美でした。

授業がうまくいかなくて胃がきりきりと痛み「辞めたらどんなに楽になるか」と思い詰めていた時期は、「あと何回授業をこなせば、旅に出られる」と自分をごまかしながら続けてきました。

 

何時間も飛行機に乗って外国に出かけなくても、国内にもおもしろい場所はたくさんあります。おもしろそう、いつか行ってみたいと思っているだけでは、一回も行くことなく人生が終わってしまいます。思い立ったらどんどん出かけよう。

というわけで、先週は千葉県の養老渓谷へ1泊2日で出かけました。

 

きっかけは昨年12月、いすみ鉄道の伊勢海老急行。

bob0524.hatenablog.com

このときのお土産で、いすみ鉄道の一日乗車券をいただきました。有効期限は2018年3月末。うかうかしていると、あっという間に期限切れでしょう。

というわけで東京から外房線で大原へ。いすみ鉄道に乗り換え上総中川で途中下車。「かさや」で、ばくだん定食のランチ、国吉に戻り國吉神社と出雲大社を参拝、再びいすみ鉄道に乗車し上総中野で小湊鉄道に乗り換え養老渓谷に宿泊という計画を立てました。行きと帰りで房総半島を横断することになります。

 

f:id:bob0524:20170803122155j:plain

「かさや」のばくだん定食。ボール状のメンチカツの中には味玉が入っています。

 

8月だからどこも混雑しているかと思いましたが、子連れの房総半島旅行なら海を目指す人が多いのか、のんびりしたいい旅になりました。

 

宿泊したのは養老渓谷の滝見苑。8月とは思えない涼しい日で、格好の温泉日和でしたから、「ごりやくの湯」にも足を伸ばし温泉を満喫しました。

 

翌朝は養老渓谷を散策。

f:id:bob0524:20170804093338j:plain

粟又の滝(養老の滝)。

伝説の通り、流れる水が酒だったらどんなにすばらしいか…。

夕飯で頼んだ地酒「大多喜城」が飲みきれず、部屋に持ち帰りました。グラスも貸してもらったのですが、結局、翌日の小湊鉄道のトロッコ電車で車窓を楽しみながら飲みました。

 

ふらりと入ったお店の人や旅館の人はみな温かく、国吉駅養老渓谷駅の猫とも遊べました。みんなそれぞれの場所で生きている。そんな当たり前のことに気づけるのも、小さな旅の醍醐味です。

 

尾野寛明さんは「風の人」

朝日新聞の土曜版フロントランナーに尾野寛明さん登場。

 

www.asahi.com

尾野さんとは島根で三度、東京で一度お目にかかったことがあります。

 

占い学校で知り合った親友の優春翠から、島根と関東の二拠点生活を送る計画を聞いたのは10年ほど前。当時は、島根はとても遠いイメージがあり、そんなことが可能なのか半信半疑でした。

彼女に誘われて島根に遊びに行き、「おもしろい人がいる」と紹介されたのが尾野さんでした。当時の尾野さんは島根と東京を2週間ごとに行ったり来たりしていました。

その後、小野さんは地域再生のキーパーソンとして島根だけでなく、全国各地を飛び回るようになりました。現在は「3日と同じ場所にいない」「1週間動かないと体の調子が悪くなる」とのことです。

 

フィンランド人ジャーナリストのアンネを連れて島根に行ったときも尾野さんがたまたま滞在中でした。

bob0524.hatenablog.com

尾野さんは「風の人」。

地域に新しい風を吹かせ、滑り出したら『あとは頼んだ』といなくなる。 (ローカルジャーナリストの田中輝美さん)

「風の人」と呼ばれることについて尾野さんはこう語っています。

土地に根ざしている「土の人」と対比して、地元に根づかない人という意味ですよね。どうせいなくなるのに無責任だと僕も批判されました。でも土の人は風の人を使い倒してくれればいいんです。違う考え方や情報、人脈だってもっていますから。<中略>

いろんな人を紹介したり、連れてきたりして火を起こすのが僕の役回り。あとは地元の人がやる方がいい。

 

東洋占術の基本である陰陽五行は木火土金水。「木」は自然界では「風」です。風は新しい情報であり、人脈。風を活用することで「火」は勢いよく燃え上がって「土」は肥沃になり、豊かな実りがもたらされます。

風水では、「気」のよどみを嫌います。閉め切った家、何年も開けていない納戸や引き出し、段ボール箱は家の気を停滞させます。

 

尾野さんレベルのスケールの大きな「風」でなくても、毎日の生活にちょっとした風を取り入れるようにしています。

ワンパターンの料理ではなく、新しいメニューを試したり、通勤の経路をちょっと変えてみたり、読んだことのない作者の本に手を伸ばしたり。

土地に根ざして生きる「土の人」はまじめで立派な生き方ですが、それだけでは行き詰まってしまうし、第一、おもしろみに欠けます。風を上手に取り入れて、発見のある毎日にしたいものです。

  

f:id:bob0524:20160930152151j:plain

 

たった1回の腕立て伏せから始める

たいした仕事はしていないのに、何かに追い立てられているような日々。さっさと片付ければいいのに、つい先延ばしする癖があるからです。

 

これは週刊誌の原稿を書いていた職業病の一種です。早めに原稿を書いても、大きな事件が起きるとテーマが変わったりページ割が変更されて文字数がぐっと減ることがあります。だったらぎりぎりまで待って一気に書き上げたほうが臨場感のある原稿になるのではないか。書き直しの無駄なエネルギーも使わないし。

 

今はそんなに切羽詰まった仕事もしていないのだから、流されてばかりではなく、何か蓄積したい。

大変だ大変だと騒いでいるけれど、本気を出せばすぐにできる仕事をだらだら先延ばししているだけです。

対策のために自己啓発系の本をあれこれ読んでみて、実践できそうだったのがこの本です。

小さな習慣

小さな習慣

 

 なにしろタイトルが『小さな習慣』。

いきなり大それた目標(30分のエクササイズ)を立てて挫折するのではなく、小さすぎて失敗すらできない、ちょっとしたポジティブな行動(腕立て伏せ1回)から始めるのです。

モチベーションに頼るのではなく、とにかく習慣化すること。たった1回の腕立て伏せなら、サボる気も起きません。

 

私は易の勉強に応用してみました。

易経64卦、それぞれの卦に6つの爻(こう)があります。64の卦辞に384の爻辞。これを毎日少しずつ学ぶことにしたのです。

卦辞は1日1つ。64日で64卦が復習します。爻辞6つはちょっと負担が大きいし、1爻だけでは短いので1日3爻、2日で1卦としました。

2つの占い学校で周易の講座を一通り受け、湯島聖堂でも学びました。

易を学んだことは、東洋占術の開運原稿の執筆に大きな助けとなりました。手を変え品を変え、延々と開運記事を書き続けていられるのも、易の知識があるからこそです。森羅万象が6つの陰陽の組合せで語られるのですから、あらゆるヒントが詰まっています。欧米ではストーリー展開を易経にゆだねる小説家もいると聞きましたが、読むたび新たな発見があります。

 

「小さな習慣」は複数にしてもOKです。

筆者のスティーヴン・ガイズ氏も、何でもいいから毎日50ワードの文章を書く、そして毎日2ページ以上の本を読む、週に3回ジムに通う(腕立て伏せ1回チャレンジから発展したもの)の3つを実践しています。

 

そこで私は、易に加えてマンガを使って日本語を解説している洋書を1日1ページずつ読むことにしました。

 

Japanese The Manga Way: An Illustrated Guide To Grammar And Structure

Japanese The Manga Way: An Illustrated Guide To Grammar And Structure

 

 本来なら一気に読んで授業で活用したいところですが、300ページ近くあるので無理です。買ったまま積読にしておくより、1ページずつでも読み進めば1年もたたないうちに完読できます。

平易な英語だし興味のあるテーマなので、1ページ以上読みたいと思うことが多いのですが、今は1ページのみ。習慣として完全に定着したところで、余裕があれば2ページに増やします。

 

ぱっとしない一日でも、とにかくこの2つをやっただけで、ま、いいかという気になります。余力があるのでもっと習慣を加えることもできそうですが「もっとやってもいい」と思えるレベルでしっかり定着させることが成功のコツ。欲張らずにとりあえずはこの2つの小さな習慣を続けてみることにします。

 

f:id:bob0524:20170609085442j:plain

 沖縄・恩納村のリゾートビーチの灯台。小さな習慣は毎日の生活の針路を示す灯台のようなものです。

 

「金持ちけんかせず」を学生から学ぶ

副業の日本語教師の仕事では、失敗ばかりしてきました。

いくつになっても失敗から学ぶことで成長できるはずなのですが、次々と新たな失敗をしています。

 

先日、はげしく自責の念に駆られたのがアニメミュージアムの件。

 

アニメ好きの学生二人に「荻窪にアニメミュージアムがあります」と教えると、「今日これから行く!」と元気な反応。「渋谷から山手線で新宿に出て、中央線か総武線で荻窪へ…」と行き方を説明し、「迷ったら日本人に聞きなさい」と行先を日本語で書いたメモも渡しました。

 

次のクラスで「どうだった?」と聞くと「閉まっていた」とのこと。

ガーン! そういえば月曜日でした。

ああ、私はなんてうっかりしているのでしょう。美術館や博物館は月曜日が休みなのに。

 

外国人の彼らが苦労して電車を乗り継いで、駅からけっこう遠い道のりを歩いてやっとたどりついたら閉館だったなんて。どんなにがっかりしたことでしょう。

 

「ごめんなさい、本当にごめんなさい」と謝る私に彼らは寛大でした。

ヨーロッパや南米から子どもを日本留学に送り出すような寛大な家庭に育った学生たち。育ちがいいというのはどういうことか、学生の態度から感じることがあるのですが、今回の彼らの対応もパーフェクトでした。

私を責めることはなく、反対に「そんなに気にしないで」と私をなぐさめてくれました。

お金持ちは無用のトラブルを避け、ささいなことで騒ぎ立ててクレームをつけるのは貧乏人と言われますが、まさにそう。

 

これから学生に何かを勧めるときはしっかり下調べをしておくこと。

そして、人のミスには寛大になること。

学校で教えているはずなんですが、学んでいるのは私のほうです。

 

f:id:bob0524:20170406125650j:plain

 

この世界の片隅に』を観て、呉に行きました。

アニメや漫画にはたしかに人を動かす力があります。アニメや漫画に惹かれて日本語を勉強し始めたという学生にできるだけ寄り添った授業をしたいものです。 

リスクがゼロの人生なんてない

フィンランドから短期留学にやってきたトーマス君が無事帰国しました。

ホストファミリーとして3週間預かったわけですが、帰国の日は寂しさとともに大きな安堵を感じます。

 

ホストファミリーによっては、門限を決めているところもあるそうですが、私は鍵を渡して帰宅時間は自由にしました。彼にとってあこがれの国である日本で目一杯楽しんでほしいから。

学校のアクティビティーでディズニーシーに行った日は現地解散となり、帰宅は11時近くになりました。遅くなるときはショートメールで連絡が入ってきます。

日本は安全な国だから、それほど心配することはないといっても、リスクはゼロではありません。

一番恐れたのは、地震です。万一、トーマス君だけが亡くなって自分が生き残ったら、トーマス君のご両親になんと説明すればいいのでしょう。

 

そんなことまで考えていると何もできなくなります。

ホストファミリーなら期間が限定されますが、子供を持つ人はなんて長期間にわたって大きなリスクを引き受けるのでしょう。怪我や病気を心配するだけでなく、社会に適応できるかどうかも心配しなくてはいけません。

親友の占い師の優春翠は、親子関係の相談を受けることが多かったのですが、こんなことを言っていました。

「人生のほとんどの悩みは、子供を持つことで生じる」

 

結婚はしたものの、子供を持たなかった私は、気楽な人生を送ってきました。日本の少子高齢化の責任の一端があると責められたら申し訳ないと謝るしかありませんが、子供を持った人は国のために親になったわけではないでしょう。

 

リスクを避けて、余計なことはなにもせずおだやかに暮らすのも一つの選択ですが、リスクを完全にゼロにすることはできません。

だったら、ある程度のリスクを覚悟して、やりたいことをやったほうがいいのでは。どうせ最後は死ぬんだし。人生の折り返し地点を過ぎてゴールが見えてくると、そんな大雑把な気分になってきました。

また機会があったら、留学生を預かってみます。

 

f:id:bob0524:20170713201107j:plain

ガキの使い』が大好きなトーマス君は、東京より大阪に行きたかったようです。近所の串カツ屋に連れて行き、「ソースの二度漬け禁止」を「大阪のストリクト・ルール」と説明しました。たこ焼きも注文。喜々としてたこ焼きを作っていました。