翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌やビジネス誌の原稿書きを30年。現在はリタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。2025年夏、ガルシア=マルケスの作品舞台となった地を一目見たくてコロンビアへ。ウラナイ8https://uranai8.jp/で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

釧路の炉端で国際交流

釧路は炉端焼き発祥の地。老舗のお店に行きました。

 

店の中心に大きな炉があり、コの字型に客席が並びます。

炉端を仕切るレジェンド、中島静子さんが、絶妙の焼き加減で提供。時折り炎が舞い上がります。

このお店は2022年に隣の店からのもらい火で全壊。コロナがようやく収まって、さあこれからというタイミングでした。お孫さんがクラウドファンディングを立ち上げ、店を再建したのです。

 

そんな歴史がある釧路屈指の名店、夫が予約してくれました。さすがにこういう店は女一人では入りにくいので、二人旅でよかった。7時の入店で私たちが座ったところで満席になりました。

 

お隣の5人組グループは中国語で話しています。「台湾からですか?」と英語で声をかけると、香港でした。「日本にようこそ」と乾杯。海外を旅したとき、現地の人と会話できるとうれしかったので、日本でも外国人旅行者によく話しかけています。

頃合いを見て「この店は日本人でも予約がむずかしいのに、どういうルートを使ったのですか?」と質問。私の職業病、隙あらば取材です。

「ああ、それは彼女のおかげだ」と私の隣の男性がグループの一人を持ち上げます。彼女だけ日本語が読めるので、食べログの口コミを読んで「ぜひこの店に行こう!」とみんなを誘ったそうです。予約は電話でしかできないので開店直後を狙い、予約なしで入店。「それは幸運でしたね」と返すと「ええ、本当に!」とすっかり気に入ったようす。お店の歴史などの質問を通訳してスタッフの方とやりとりしましたが、お客さんの中には苦々しく思った方がいたかもしれません。

 

スポーツクラブの旅好きの奥様に上海旅行の話をすると「私、中国は嫌い」と返されたこともあります。たしかに中国からの団体インバウンド客の評判はよくありませんが、一昔前の日本人の海外ツアーも現地で眉をひそめられていたのではないでしょうか。

国じゃなくて個人として世界の人々と向き合いたいと私は思うのですが、何々人というだけでシャットアウトしてしまう人がなんと多いことか。

 

昨年末、台北で書道のワークショップで一緒だったのはイスラエル人でした。

bob0524.hatenablog.com

『イン・ザ・メガチャーチ』には意識高い系の大学生がイスラエル系の企業の商品をボイコットする描写があります。

この日、共に漢字の歴史学んだイスラエル人のカップルは二人とも感じが良くて楽しい時間を共有できました。筆で「はらい」を練習しているとき「アイラインを引くのも上手になりそう」とイスラエル人女性が言うのでみんなで大笑い。

 

世界はますます混沌とし、燃料不足からヨーロッパでは飛行機の減便が始まっています。石油が尽きれば食料品の包装ができず、輸送トラックも動かず、流通が滞ります。通貨が弱いから肥料も輸入できず農業生産量も落ち、すさまじいインフレで世間が殺伐として旅行どころではない世の中になるのでは。

「釧路に旅したときは、まさかこんな大変な事態になるとは思わず、能天気に楽しんでいたね」と思い出話をしているんじゃないだろうかと夫に言ったら、「またいつものペシミズム」と笑い飛ばされました。島国で災害の多い日本では、何事も永続しないと言う悲観主義の人だけが生き残ったという説がありますが、夫は私と違って楽観主義。どうか私の予測が外れて、いつでも自由に旅ができる世の中が続いてほしいと祈っています。