桃園から台北に移動し、ホテルに荷物を預けたところで現地発のプライベートツアーのガイド兼ドライバーの許さんと合流。いかにも仕事ができそうな若い女性で、英語も流暢。「日本語は文法がむずかしくて。英語で大丈夫ですか」と恐縮されましたが、もともと英語ツアーとして申し込んでいたのです。日本にも何度も旅行している彼女は「日本人はシャイで英語を話す人が少ないから」と言います。
彼女のトヨタ車で出発。「我が家ではオートバイはカワサキ、車はトヨタと決めているのです」とのこと。今や台湾といえば半導体。TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)は熊本で生産を開始しています。
あまり政治的な発言はしたくないのですが、このタイミングでは避けて通れないのが高市首相の台湾有事発言。許さんは親日親米派らしく「日本とアメリカが台湾の側にいてくれることはとても心強い」と言い、「台湾のライフスタイルは半分日本、半分アメリカだから」と続きます。言語は中国語ですが、共産党独裁下で自由のない中国とはまったく異なると強調したいのでしょう。そして街中で見かける「日式」は優れたもの、かっこいいものというイメージで使われているようです。

十分瀑布。小学校の遠足が目立ちます。あとは韓国人の団体旅行。台湾では日本に先立ち、中国本土からの旅行を制限し台湾政府に圧力をかけています。
許さんは「中国人観光客は人数が多くてうるさいから。静かに観光できるようになってよかった」と言いますが、それは彼女が英語専門だから。中国人を顧客とする観光ビジネスはダメージを受けているでしょう。「台湾人の多くは中国を嫌っているけれど、中国とビジネスをしたいという台湾企業は多い」とそうですが、それは日本も同じです。
十分老街では願い事を書いたランタンを空に飛ばしました。

隣を見ると、Stabele Job!(安定した職)という言葉が目に張ってきました。どこも若者の就職は大変そう。日本人なので四字熟語で願望を書きましたが、何面も書かないといけないので最後には言葉が尽きそうになりました。

次々とランタンが舞い上がります。地上に落ちたランタンを集めて店に持って行くとお金がもらえるのでリサイクルにはなっているようです。
そして猫の村へ。
鉱山として栄えた村が過疎化したけれどたくさんの猫が住むようになり観光スポットに。十分や「千と千尋の神隠し」の九份とちかく、台北から日帰りできる距離にあるのがよかったのでしょう。

餌を持っている人にわらわらと猫たちが寄っていきます。

電車とバスを乗り継いで自力で回るのは大変なルートだったので、ツアーが便利でした。なによりも、今の台湾を生きる若い女性の声を聞けたのが大きな収穫でした。「中国の脅威はあるし、経済の見通しも不透明、それでも台湾人が幸せなのはお寺と夜市があるからだ」と許さん。中国の道教のお寺は現世利益をもたらすので、参拝者は思い思いに自分の願いを神に託します。そして夜市で手軽においしいものを食べれば悩みも忘れる。大らかな台湾人はそうやって日々をすごしているのでしょう。安価な外食が当たり前なので女性に料理の義務があまりないというのもうらやましく思いました。