翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌やビジネス誌の原稿書きを30年。現在はリタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。2025年夏、ガルシア=マルケスの作品舞台となった地を一目見たくてコロンビアへ。ウラナイ8https://uranai8.jp/で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで四刷になりました。

増富ラジウム温泉で詐病?

8月も下旬なのに、東京では灼熱の日々が続いています。

こんな時こそ、ぬる湯。夏バテの体にじわじわ効きそうです。新潟の栃尾又温泉は人気の宿なので、思い立ってすぐというわけにはいきません。

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そこで思い出したのが山梨の増富ラジウム温泉。ぬる湯どころか冷泉です。そのままでは体が冷えるので、上がり湯で体を温めてから出ます。

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増富ラジウム温泉の中で唯一ネット予約できるのが、金泉閣です。不老閣は健康メニューとうたっていますが、けっこう豪華な食事でつい甲州ワインや地酒を飲んだのを思い出しました。その点、金泉閣は一汁三菜の療養食コースが選べます。8月の終わりには年に一度の健康診断もあるし、γ-GTPの数値を下げるためにもちょうどいいのではないか。というわけでお盆明けに3泊してきました。

www.kinsenkaku.com

 

JR中央線韮崎駅から路線バスで山の中に入って行き、1時間で到着。日中はさすがに暑いのですが、ここは標高約1000mの地。朝晩は過ごしやすくエアコンのない部屋でも大丈夫でした。

 

小奇麗な部屋、ご馳走、至れり尽くせりのサービスを求める人にはまったく向いていませんが、私にとっては天国。スペイン巡礼の7週間、大部屋にベッドが並んで共同シャワーという巡礼宿を泊まり歩いたので宿に対する要求レベルがぐっと下がりました。

 

夕食はこんな感じで、お刺身や鍋はなく定食風。梨北米(りほくまい)コシヒカリ有機野菜がとてもおいしく感じました。スペイン巡礼ではサラダとメインだけの大雑把な食事が多かっので、慣れ親しんだ和食をいただけるだけで幸せ。贅沢に慣れないのが旅を楽しむ秘訣なのかも。

食事は部屋までお膳で運んでくれます。一汁三菜を選んだので病気療養だと思われたのか、飲み物の注文を聞かれることはなく、アルコール抜きで健康的な湯治となりました。

 

泊まっているのは常連さんが多く、毎月来ているという人も。チェックアウト時に次回の予約をして帰っているようです。

冷泉には30分入ることを推奨されていますが、ゆらゆら揺れる水面を眺めているうちに瞑想状態になり、1時間近く過ぎていたことも。朝食前、午前、午後、夕食後と繰り返し入浴し、それだけで1日が終わります。

 

何度も入浴しているうちに、常連さんと会話するようになりました。がんを患った方が多いようです。「で、あなたはどこが悪いの?」と聞かれました。

乳がんの切除手術を受けたり、抗がん剤で髪の毛が抜けたらしい人を前に「暑いから冷泉に入りたくて」など気楽なことを言うのは気が引けます。

「お酒を飲み過ぎて肝臓の数値が悪くて…」

「まあ、それはアルコール依存症ね」

という流れに。シリアスな病気を抱えている人は不愉快になるかと思ったのですが「病気に真面目も不真面目もない」と笑い飛ばされました。がんといっても湯治に来られるぐらい体力が回復し、前向きで優しい人が多い印象です。

一汁三菜だと一泊8,950円。宿の経営は大丈夫なのかと心配するぐらいの安さですが、「療養食」と銘打っているのは、経済的にも大変な病人向けなのかもしれません。ちなみに品数が増えるにつれ10,050円、12,250円と料金が上がっていきます。

病気でもないのに、安いコースを選んでしまったからには、アルコール依存症詐病するしかありません。それに、ここまでは正常、ここから依存症いうはっきりした区切りはなく、今日は飲まないでおこうと思っても暑い夜にはついビール缶を開けてしまう私は依存症に片足を突っ込んでいます。

 

別れ際にかけられた言葉。

「あなたはまだ若い。いくらでもやり直せる。取り返しのつかないところまで行って病院の世話になると、自分では何もできなくなるし家族にもさんざん迷惑をかける。そうなる前に引き返して」

がん患者にこんなに強く励まされるとは!

 

その一方で、初めて来て「昨夜は鰻も出て、多すぎて食べられなかった」という80代近くの女性もいました。電話で予約したので療養コースがあるのを知らなかったそうです。私と話した日から一汁三菜に変えてもらい、とても気に入ったので予定を延ばして連泊し「来月も予約しました。いつかまたお会いしましょうね」と声をかけてくれました。

 

ラジウム温泉で体を癒すというだけでなく、宿泊客同士のちょっとした交流からも生きる力を得る場なのかもしれません。常連さんからは毎月来るように勧められましたが、他にも行きたい温泉がたくさんあるし、冬の冷泉は修行です。来年の暑い時期に再訪します。

 

増富から帰った翌日にはスポーツクラブへ。ダンススタジオ仲間が先月のイベントの写真をくれました。左から二番目、JUST DO ITのシャツで大口を開けているのが私。旅に出なければ週5回は踊っていて、まさかアルコール依存症だとは誰も思うまい。さすがにこの日はノンアルコールのスパークリングワインもどきにしておきました。