易者にとって一年で一番忙しいのは、陰が極まって陽に転じる冬至の日。一年の成り行きや指針を得る年筮を立てる日です。
だったら陽が極まって陰が転じる夏至にも何かしようとウラナイ8の天海玉紀さんと始めた会。
陽が極まる日だからこそ、自らの内に秘めた欲望をオープンにしてフランクに話し合える場。今年も濃い時間となりました。
欲望の塊である私は、インナーチャイルドカードの会の合間を縫って東京大学文学部、柳原孝敦教授の『百年の孤独』再読講座へ。
ネットで事前登録が必要ですが、無料でこのような講座に参加できるとは、本当にいい時代です。

「奇跡のような、ありえない出来事が、その他の面ではリアリズムを標榜している語りのなかで起きる」という、デイビッド・ロッジ『小説の技巧』のマジック・リアリズムの解説が紹介されました。
マジック・リアリズムは、特に現代ラテンアメリカ文学と結びつけて考えられることの多い手法だが、ほかの大陸にすむ作家たちの小説にもそれは見出される。ギュンター・グラス、サルマン・ラシュディ、ミラン・クンデラ。これらの作家たちに共通していることは、歴史的にも個人的にも大きな変動を生き抜いてきて、穏やかなリアリズムではその体験を十分表現できないと感じている点である。イギリスの場合はおそらく、比較的傷の深くない現代史を経て来たから、伝統的なリアリズムの枠内にとどまりがちなのだろう。
なるほど。文学ではそうなのかもしれませんが、占いの世界ではマジック・リアリズムは身近なもの。個人的な経験を奇想天外な物語として語るおもしろさがあるのです。
本を読むのは好きだからこそ、学問として追求するのはおもしろくなさそうだし、現世の金儲けには役立ちそうにないと文学部を選びませんでした。こんな講座を受けられるのなら文学部で学びたかったと思いましたが、アカデミックな世界ではつま弾きにされるのがオチ。
そう思い至ったのは、質疑応答の時間。「黄色い蝶、黄色い汽車など『百年の孤独』で黄色が象徴することは?」という質問が出たのですが、柳原教授は「そんなことは考えたことなかった。どなたか詳しい方は?」と会場に振るのです。
思わず手が上がりそうになりました。ガルシア=マルケスのラッキーカラーは黄色。だけど、世俗の富を象徴する黄金は嫌っていました。
昨年、文庫化されて3か月で33万部を売り上げた『百年の孤独』ですが、実際に読み通した人のほうが少数派かも。質問者の中にも「読んでいる途中ですが」という人もいて「再読というテーマなのに読み通さずに来て、質問までするのか!」とびっくりしました。ここで手を挙げて小賢しく語っても、感謝されるどころか東大教授に意見する素人として白眼視されるだけです。
東大を後にして、遅めの昼食兼早めの夕食をゆっくりと楽しみ、欲望を語る宴へ。「こんなことを言ったらどう思われるか」なんて考えずに自由に発言できるウラナイ8号室は貴重な場所だと改めて痛感しました。