那覇のセントラルホテルに泊まると、隣接のりっかりっか湯に入り放題です。
ホテルの大浴場というより、スーパー銭湯を宿泊客にも開放しているという位置付けなのか、地元のご常連が多い感じです。平日の夜9時過ぎでもお母さんに連れられた小学生ぐらいの女の子もいて、沖縄の大らかさが伝わってきます。
朝の露天風呂で会った元気な女性は80代。健康の秘訣は2つあると言います。
1つは温泉。「沖縄に温泉は少ないから、ここはとても貴重」と強調します。
そしてもう1つは段差に気をつけること。ちょっとした段差につまずいて転んでしまい、骨折や入院といった大ごとになり、老いが一気に進んでしまった人を何人も見たそうです。
だから歩く時は、足元にしっかり注意。それでも転びそうになったら手に持っている物はすべて手放し、手を付いて転ぶようにすること。たとえ買い物袋に卵が入っていたとしても、顔を地面にぶつけるよりずっといい。知らない場所でははスマホ片手にGoogleマップを見ながら歩きがちですが、スマホも手放すべきでしょう。
顔から派手に転んだことがある私は耳が痛い。
足元が悪い山道ではなく、市街地の平坦な道。手に持っていたのはトレッキングポール。転倒防止効果のあるはずのトレッキングポールなのに、まったく役に立ちませんでした。それもそのはず、足元どころか自分がいるスペインから心は完全に離れ、日本の温泉地をさまよっていたからです。
硬い石畳と歯に挟まれてできた下顎の傷は自然治癒を待つしかなく、事故から1年以上たった今でも、かすかな違和感があります。
若い頃は多少足元が不安定でもなんとかなりました。怪我をしても回復が速かったし。いまはそういうわけにはいきません。そして、いざとなった手に持っている物を手放すというのは、人生全般の処世術のようにも聞こえます。

スペインの街を歩くと目を引くものだらけで、つい足元がおざなりに。建物の上にも彫像があり、今にも馬が落ちそう! そんな心配をするよりまず自分の足元です。
散歩中に音楽やオーディオブックを聞くのも楽しそうですが、やめておいたほうがいいでしょう。歩く時は歩くことだけに集中を。バンコクのヴィッパサーナ瞑想講座でもそう習ったはずなのに、まったく実践できていませんでした。そもそも歩き出す前に、立っていることに集中すべきなのです。
本格的な瞑想合宿に参加しようかと考えたこともありますが、あの日のバンコクの午後、すべてを学んでいます。あとは実践するかしないかだけです。