翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

沖縄のハンバーガーとお弁当

寒気と花粉から逃れて宮古島へ。

 

ぜひ食べてみたかったのがダグズ・バーガー。

東京生まれの日系アメリカ人でカリフォルニア在住の企業弁護士、ダグさんが開いたハンバーガー店です。趣味の釣りにのめり込み、キハダマグロを追って宮古島を頻繁に訪れるようになり、ついにはキハダマグロと多良間牛を使ったハンバーガーを開発して店を立ち上げ、カリフォルニアと宮古島を行ったり来たりの日々。なんと豪快な人生でしょう。このストーリーは紙製のランチョンマットに印刷されているので、ハンバーガーを待つ間に読むことができます。

 

石垣島や広島、名古屋にも出店しているようですが、まずは宮古島本店に行ってみることに。お昼時だったので、店は満席。店頭のタブレットに名前と人数、携帯電話番号を入力。順番が5番目だったので、同じビル内にあるダグズ・コーヒーでコーヒーを飲みながら待ちました。

 

グリルしたマグロのバーガーが定番ですが、ツナカツバーガーにしてみました。サイドメニューはマグロがかぶりますが、フライを避けてツナサラダ。

 

バーガー類は1500円前後でプレミアムバーガーとなると2000円を越えます。サイドメニューとドリンクのセット870円を加えるとランチとしてはかなりの金額となりますが、その価値は十分あります。ダグズ・バーガーの物語も味わうのですから。アメリカだったら当たり前の価格だろうし、スタッフへのチップも必要です。

ランチョンマットにはこうあります。

ダグズ・バーガーは、宮古島の素材を仕入れる際に決して値切ることをいたしません。それは、適切および適正な利益を島の素材の供給者に還元することで島と共に生きるという道を選んだ結果です。そしてその島の恵みに感謝しつつ、それを最高のサービスと共に宮古島から全世界に発信することを会社の使命(ミッション)としています。

日本の経営者にはこの視点が欠けていて、デフレが延々と続いてきました。適正な利益を供給者に還元しなければ農業や漁業は衰退します。

 

宮古島から那覇に飛ぶトランスオーシャン航空の機内誌には、ダグズ・バーガーと対照的な家族経営のお弁当屋さんが紹介されていました。

 

沖縄風のボリューム満点のお弁当は450円。

かつては、お酒を飲み終って買いに来るお客さんや早朝の仕事の前に買いに来るお客さんのために24時間営業。身を粉にして働く親の姿を見て育った4人の子供たちは全員、店を手伝うように。現在は24時間営業ではなくなりましたが、昼夜二交代制で仕込と販売を担当しているそうです。

孫世代も含めて家族16人が生活していくことを考えると、450円から少し値上げしてもいいんじゃないかと記者が問いかけます。

お店の創業者のお母さんの答え。

「薄利多売でたくさん数が出れば儲けが出ますから」

 

こういうのが日本では美談なんでしょうが、あまり無理しないほうがいいのでは。450円をドルに換算すると3ドルちょっと。いくら沖縄の物価が安いと言っても、この価格でお腹がいっぱいになるランチボックスが買えるのは異常です。

 

日本のさまざまな矛盾やひずみを押し付けられてきた沖縄ですが、これからは日本全体が、世界経済の荒波に巻き込まれていきます。「お客様のために値上げしない」と頑張り過ぎて破綻しては本末転倒です。そして、生活に行き詰って声を上げたら、助けの手が差し伸べられる社会であってほしいと願います。