旅に出ると、書き残しておきたいことが次々と出てきます。旅先も楽しいけれど、こうして文章にまとめるのも、心が満たされるひとときです。
というわけで、沖縄の話ばかり続きます。
沖縄料理というと、豚肉やステーキのイメージが強いのですが、健康食の一面もあります。アメリカナイズされた食生活が浸透する前は、沖縄は長寿県として知られていました。
スライスした豚の角煮や骨付き肉(ソーキ)をトッピングすることが多い沖縄そばですが、探せば肉抜きのそばもあります。
名護バスターミナル近くの食堂で食べた昆布そば。
これでもかとばかり昆布がのり、ネギが少々という潔いスタイルです。
テーブルには薬味の紅ショウガやコーレーグス(島唐辛子を漬けたもの)も用意されていますが、私は滋味たっぷりのやわらかな味わいのスープで最後まで食べるのが好きです。昆布とかつおの組合せを考えた人に感謝しながら。
そして、ゆし豆腐そばを食べたのは、国際通りに最近オープンした「いつでも朝ごはん」。ボリュームたっぷりの沖縄料理に疲れたら立ち寄りたい店。朝7時から19時の閉店まで、一日中朝ごはんメニューが食べられます。
『孤独のグルメ』の「こういうのでいいんだよ」という台詞を思い出しました。お店でさえこうなんだから、家で食べるのは、彩りや栄養バランスなんて考える必要なんてないのでは。育ち盛りの子どもでなければ、食べ過ぎないよう粗食を心がけるべきだし。
フィンランド人の家庭料理もシンプルです。
10年前、カウチサーフィンで泊めてもらった編集者の一家。「観光じゃなくて、フィンランド人の日常生活を体験したい」とリクエストしていました。
共働きで、食品の買い物は週に一度、土曜日の午前中のみ。夫婦の買い物に同行させてもらい、帰宅すると高校生のお嬢さんがランチを用意してくれていました。冷蔵庫にあるものを使ったリゾットで、庫内はほぼ空になっていました。
あんなふうにすっきりした暮らしを送りたいものだとずっと思っているのですが、東京は便利すぎます。徒歩圏にスーパーマーケットやコンビニが乱立し、計画的な買い物をする必要がありません。
それでも、定番商品は在庫管理してネットスーパーに頼んでいます。生鮮食品はそのつど買っていますが、あれもこれもとメニューを増やさず、メインの料理さえあればそれでいいと割り切るべきでしょう。終活の一環として、衣食住すべてを徐々に引き算していくつもりです。