穂高養生園のマクロビ料理は、評判通り手間暇かけられたすばらしいものでした。
ある日の朝食。厨房から香ばしい匂いと揚げ物の音がしていました。コーン、さつまいもとワカメを米粉でかき揚げにしてあります。春菊の花も食べられます。野菜は穂高養生園の農園か契約農家のものです。
朝食で思い出すのが、先日の福岡の旅で2日目に泊まったHafH Fukuoka THE LIFE。1か月3000円たらずのサブスクを利用して1泊できるのですから、あまり期待していませんでした。
チェックイン時、鍵は渡されず、ロック解除の暗証番号やWi-Fiのパスワードが書かれた紙をスマホで撮影するように言われました。そして、チェックアウトの手続きは必要ないとのこと。なるほど、合理的です。
半個室の女性用シングル、修道院のようなシンプルな作りで気に入りました。部屋は5つあって、共用のトイレとシャワーが2つずつ。お風呂は隣にサウナラボもあります。
「半個室」というのは、壁が天井までなく上部がつながっているから。消防法の関係で完全個室にはできないのでしょう。プライバシーは守られますが、音が筒抜けです。この日は3部屋しか埋まっていませんでしたが、満室だとちょっとつらいかも。
朝はどこかのカフェでモーニングを食べようと思っていたのですが、朝食付きとのこと。1階がお洒落なカフェになっているのです。
メニューは3種類あり、ハニーバターのバケットにしました。
ゆで卵が完璧な半熟卵でした。
固ゆで卵はサラダに入れるには便利ですが、卵本来のおいしさがあるのは半熟です。パン、サラダもコーヒーもおいしくて、感動の朝ごはん。ハフで安価に泊まっているのが申し訳なくなるぐらいでした。
店を出る時、給仕してくれた女性スタッフに「卵のゆで具合が完璧でした」と声をかけると「ありがとうございます。調理担当が喜びます。ぜひ伝えておきます!」と満面の笑み。そんな反応が返ってくるなんて、ここはいい職場なんでしょう。そういえば、最初に窓際のカウンター席を選んだら「そこは朝日が当たってまぶしいから」と別の席を勧めてくれる気配りの人でした。
オープンしたのが2020年3月ということは、コロナ禍にまともにぶつかりさぞかし大変だったでしょう。期待していたインバウンド客も途絶えたし。
それでも、無料の朝食に完璧な半熟ゆで卵を出し、同僚への誉め言葉をあんなに嬉しそうに受け止めるスタッフがいるのです。これからの発展を祈らずにはいられませんでした。
ゆで卵一つでも、世界に影響を与えることができる。与えられたノルマを機械的にこなすのではなく、ささやかでも心を込めた仕事をやってみたいと思いました。