人生を長い旅にたとえるとしたら、ゴールはどこにあるのでしょうか。
そんなことを考えるようになったのは、ロングトレイルに興味を抱き、来年は歩いてみたいと思っているから。
ただ距離を歩けばいいのなら、スポーツクラブのランニングマシンをウォーキングの速度にすればいいだけです。疲れたらいつでも中断でき、シャワーを浴びて帰宅できます。暑さ寒さとも無縁。歩いた距離を記録していけば、何百キロを達成するのも夢ではありませんが、それではつまらないと思ってしまいます。聖地サンティアゴ・コンポステーラまで、あるいは四国八十八か所、八ヶ岳山麓一周など目的やゴールを目指して歩きたいのです。
先日、別府に行った時のこと。いたるところに温泉がある地ですから、ウォーキングで温泉巡りなんて楽しそう。情報収集のために駅前のツーリストインフォメーションに行ってみました。
大分屈指の温泉街である別府のおもてなしはすばらしい。駅前には従来の観光案内所と外国人向けのTourists' Hub and Loungeがあります。このご時勢だから、外国人は少なくてたっぷり相談に乗ってもらえるだろうと外国人向けに行ってみました。予想は的中し、3人がかりで検討してくださいました。
私が思い描いていたのは、別府八湯を徒歩で回るみたいな温泉巡礼の旅。しかし、提案されたのは滝やお城などの近くまでバスで行き、名所までハイキングを楽しみ帰りに温泉に立ち寄るというプラン。「たとえば、鉄輪(かんなわ)から明礬(みょうばん)まで歩いて行けますか?」と聞くと「歩けるには歩けますが、車も通る普通の道ですよ」とのこと。公共交通機関が整っている区間をわざわざ歩くのはよほど酔狂な人だけなんでしょう。
結局、別府八湯巡りは歩きにこだわらず、スタンプラリーに挑戦することにしました。パスポートならぬスパポートを入手。スタンプの数に応じて初級、初段、二段…と昇段し、88個で名人となります。
toikimiさんの仏教講座のお話で、ゴールとプロセスについて考えさせられました。
悟りを開いた人なら、ゴールなんてなくてもただ歩くだけで喜びを見出せるでしょう。凡人は、歩くことに意味を求めます。
もし、人生にゴールがあるとしたら、それは子供を立派に育て上げて子孫の繁栄を見届けることかも。子供を持たない私の人生は、ウォーキングマシンの上を歩いているだけ? それでもけっこう楽しいのだから、これはこれでよしとしましょう。