新型コロナでスポーツクラブのズンバのレッスンが休止になりがっかりしていましたが、インストラクターの方々はどうされているのでしょうか。フリーランスが多く、レッスンの数に応じて報酬を得ているのだろうから、かなりのダメージです。
スポーツクラブだけでなく世界のあらゆるところで収入が途絶える人が続出しています。働かなくてもある程度の期間はしのげる貯蓄があればいいのですが、非正規で働く人にはむずかしいことでしょう。
英語で"paycheck to paycheck"という言葉があります。給料支払い小切手から次の小切手までぎりぎりの生活を送るという意味です。最近翻訳したビジネス記事では、アメリカ国民の約78%がこの状態にあると書いてありました。病気や思いがけないアクシデントがあればたちまち生活が足元から崩れてしまいます。
そろそろリタイアを考えている私にはそれほど打撃はありませんが、9年前の東日本大震災ではかなりのダメージを受けました。もともと斜陽産業だった出版業界がじわじわと締め付けられていく感じでしたが、今回もそうなるのでしょうか。
映画『パラサイト 半地下の家族』で、「奥様は金持ちなのに優しい」と言う貧乏家族の夫に妻はこう言います。
「お金持ちなのに優しいのじゃなくて、お金持ちだから優しいんだよ」
夫が失業し、半地下の暮らしを余儀なくされている妻はこう続けます。
「私だってお金があればもっと優しくなれる」
「お金はアイロンだ。心のシワを伸ばす」
ペーパーテストの点数だけで合否が決まる入試は貧しい家庭にとっては階層を上がるチャンスなのに、韓国の大学入試では、入試担当官にアピールできる課外活動も要求されます。半地下の家族の長男長女はどちらも優秀なのに大学に入れないのは、課外活動をする経済的ゆとりがないからでしょう。
『パラサイト 半地下の家族』はアカデミー賞四冠を達成しましたが、この映画は考える種をたくさん与えてくれます。
人の性格は固定したものではなく、状況によって変わります。普段は優しく寛大な人も、経済的な不安があれば心が乱れて性格が悪くなってしまうこともあるでしょう。
一方で、お金持ちになっても性格が丸くならないどころかますますケチになり猜疑心が強くなる人もいるでしょう。
こういうご時世だからこそ、人としてのあり方を考え、自分を律していきたいものですが、現実には、なかなか大変です。
昨年の秋に泊まったセビリアの宿。海外旅行の自粛ムードもいつまで続くでしょうか。