北海道の雪のニュースを聞くたびに、本格的な冬の訪の前に釧路を旅した幸運をかみしめています。11月中旬、JALの「どこかにマイル」でたまたま釧路が当たったのですが、広々とした澄みきった青空を見ただけでも行った甲斐がありました。
釧路湿原や摩周湖が定番の観光コースですが、初冬の風景は寂しいだろうから、厚岸(あっけし)に向かいました。
牡蠣で名高い厚岸。ちょうどシーズンです。駅から歩いていける道の駅コンキリエで食べることにしました。
ここで痛恨のミス。
牡蠣は私の好物ですが、最も好きなのは牡蠣フライ。生牡蠣はあまり得意ではなく、加熱された牡蠣とそのもの衣のマッチングが大好きなのです。
それなのに、メニューを見て選んだのは牡蠣フライ2個とおかずがバランスよく配合された松花堂風のお弁当。牡蠣フライは2個で十分、厚岸の味覚をあれこれ味わってみたいし、栄養バランスから考えても最適な選択だと思えたのです。
しかし、牡蠣フライを口に入れた瞬間、激しく後悔しました。なんておいしい牡蠣フライなんだろう。これまで食べた牡蠣フライでは最高かも。2個じゃとても足りません。牡蠣フライに特化した定食を頼めばよかった…
「食べ物の恨みはおそろしい」と言いますが、今年も犯したさまざまな過ちのうち、痛恨のミスはこれかもしれません。厚岸は釧路から電車で54分。おいそれと再訪できる地ではありません。
東京でも「厚岸の牡蠣」をうたったレストランはあります。しかし、現地で食べるおいしさにはかなわないでしょう。
これからの一生、厚岸の牡蠣フライを夢見て生きるのかも。くやしいですが、貴重な教訓を得ました。「バランスのいい人生なんて真っ平」。四柱推命では木火土金水のバランスの取れた命式をよしとしますが、そんな命式はめったにないし、生きていくうちに巡りくる大運や流年、流月でバランスは崩れていくものです。世俗的には自分にない五行をプラスすることが開運につながりますが、大局的な見地ではバランスを取ろうとあくせくするより、偏りこそ個性と割り切って自分の偏りを最大限に活かせる道を選べばいいのです。
私の世代でのバランスの取れた生き方は、「そこそこの企業に腰掛け就職をして、適齢期で結婚して専業主婦となり二人の子供を育てる」。四柱推命を知る前からそんな人生は無理だとわかっていました。どこにも雇われないフリーランス、結婚するけれど経済的な自立を貫き、子育てはとても無理だから子供は持たないという偏った人生を選んだのは大正解でした。それなのに厚岸のランチ選択でまちがえるとは! 貴重な教訓でした。