クリスマスが近くなると、オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』を思い出します。
若い人なら「馬鹿じゃねwww 何をプレゼントするか相手に聞かないのwww」という感想を持ちそうですが、たしかに突っ込みどころの多い話です。
懸命に節約してもクリスマスイブに1ドル87セントしかない妻。
愛する夫へのプレゼントが買えないとソファに突っ伏して大泣きする暇があるなら、どうして働かなかったのか。八百屋や肉屋に強引に値引きを迫り小銭を集めるより、よっぽど効率的です。
しかし、妻がパートに出て小金を稼いで、適当なプレゼントを買ったのでは、物語になりません。
この夫婦は貧乏のどん底にありますが、もし運がよくなってお金持ちになったとしたら、この年のクリスマスの思い出はかけがえのないものになったでしょう。
貧しい中で心を尽くして相手が最もほしがっている贈り物を探すのは美しい行為ですが、今の時代はなかなかむずかしいのでは。
一歩外に出ると、100円ショップやコンビニでちょっとしたものは買えます。
安くて品質のいい衣類も大量販売されていますし、メルカリで気合を入れて探せば掘り出し物が手に入れられるかもしれません。
糸井重里が「ほしいものが、ほしいわ」と書いたのがバブル真っ最中の1988年。
西武百貨店のコピーです。
ほしいものはいつでも
あるんだけれどない
ほしいものはいつでも
ないんだけれどある
ほんとうにほしいものがあると
それだけでうれしい
それだけはほしいとおもう
ほしいものが、ほしいわ。
あれから30年たって、さらに「本当にほしいもの」を探すのがますます困難になっています。
無印良品とユニクロを合わせてパクったと言われるメイソウ。アジア各地で展開しています。なかなか気の利いたものが手頃な価格で売られており、若者が気軽に買い物かごに入れていました。アジア諸国も「ほしいものがほしい」時代に突入しているのでしょう。