私の悪癖の一つは、先延ばし。
やるべきことがあっても、時間があると「明日でいいか」と酒を飲んでだらだら過ごします。
本業のライター業は、週刊、月刊、季刊と締め切りの幅がまちまちで、切羽詰まったものから手をつけます。
週刊誌の仕事をメインでやっていた頃は、先延ばしとは無縁でした。週単位でテーマが決まり、締め切りがあるので、先延ばしする暇もなく、取材先のアポを取り駆け回っていました。あまりにもゆとりのない毎日で、取材の必要のない占い原稿に軸足を移し、お尻に火がついてから一気に書き上げるという悪いパターンに陥りました。
日本語教師に関しても悪癖は改まりません。
月火水に授業をかためているので、日曜の夜は必死の形相で授業準備をしています。
月曜の朝から水曜の夕方まで授業と翌日の準備であわただしく過ぎていきます。
そして水曜日の授業が終わると、サウナに出かけてひたすら弛緩。
木曜日から着手すればいいのに「週休二日なら私は木金が休み」と先延ばしします。土曜日は「そろそろ手を付けないとまずいかも」と思いつつ、何もしません。木金土は本業の原稿書きもあるし。そして悪夢のような日曜日を迎えます。
作文のクラスは趣味の延長のようなもので、外国人学生が書いた日本語を読んで、それぞれに合わせた質問を考えるのは楽しい作業です。でも、時間の制約があると苦行に変わります。
人間の脳は先延ばししていることを覚えているので、先延ばししていることがあると脳のエネルギーを消耗するそうです。そんな状態で遊んでも、本当に楽しんでいるわけではなく、罪悪感や不安、自己嫌悪でいっぱいです。
時間の使い方をコントロールできていないと、自暴自棄になります。
母親が子供に「宿題をしなさい」と口うるさく言うと、子供は反抗して宿題を先延ばししています。子供が自発的に宿題をするのを待つべきですが、いつまでたっても手を付けなくて時間切れになることもあり得ます。
なんとかこの悪癖を改めて、心安らかな日々を送りたいものです。今日は木曜日。足からと思わず、すぐ始める。それしかありません。
巌流島の決闘で勝敗を決したのも、時間をコントロールできているかどうかの意識でした。約束の時間に武蔵はわざと遅刻。待たされた小次郎はじりじりと焦り、自滅します。