翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

小倉・旦過(たんが)市場で食べた生涯最高のイカ

JALの「どこかにマイル」の行き先が北九州空港になり、二泊三日の旅に。

小倉で一泊しようと思ったのは、このブログの影響です。

sakak.hatenablog.com

 

小倉の居酒屋やホテルで「観光で小倉に?」と怪訝な顔をされました。味のあるホテルに泊まり、松本清張記念館もじっくり観て、私にとってはおもしろいところでしたが、一般的な観光には不向きなのかもしれません。

 

最終日の昼食は旦過市場の大學堂と決めていました。 

 

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九州大学の学生さんが運営している食堂です。

200円のご飯を買って、旦過市場でおかずを買い集めてオリジナルの丼を作ります。市場活性化の産学共同体といったところでしょうか。

 

午後1時頃、大學堂に行くと「ご飯がありません。炊き上がるまで10分かかります」とのこと。先におかずを調達することにしました。

小倉名物のかまぼこに、ぬか味噌炊き。魚屋さんで丸ごとのイカを刺身におろしてもらえるか頼んだら、快く引き受けてもらいました。

 

大學堂で、小倉の味を堪能。そこへ魚屋のおばさんがやって来ました。

「さっき、イカの刺身を頼んだ人…」

魚屋のおばさんはイカの身を刺身にして、下足を包んで氷を入れようとしてくれたので「旅行者です。刺身は大學堂で食べますから、下足は他のお客さんに差し上げてください」と言いました。

 

それなのに、魚屋のおばさんはわざわざ下足を焼いて大學堂まで持って来てくれました。

 

イカの下足焼きは涙が出るほどの美味でした。この人生でこれ以上のイカを食べることはないでしょう。

 

近所のお客なら、リピーターになるかもと期待してサービスするのはわかります。一見の観光客にサービスしても、見返りは期待できません。それなのに、魚屋のおばさんは「わざわざ東京から来たって言うから…」と儲けにもならないことをしてくれたのです。

 

1年半前から日本語学校で外国人に日本語を教えています。

毎週、学生が入り、卒業していき、「初めまして」「さようなら」の繰り返しで、単に日本語を教えればいいという安直な姿勢に流れがち。教師の私はずっと同じところにいますが、学生は観光客のようなものです。

どんなに短い期間であっても、学生一人一人の特別の体験をしてもらいたい。

旦過市場の魚屋のおばさんに学んだ教訓です。