先週末、神戸の実家に病人が出て急に帰らなくてはならないことに。
お盆のピークシーズンは過ぎたとはいえ、交通機関は混んでいるし、我が家にはオランダ人のクラウス君のホームステイ中です。
日帰りも考えたのですが、どうしても1泊は必要。クラウス君は日本に慣れ学校の友達とご飯を食べて帰ることも多いので、なんとかなりそう。学校の寮に1日だけ入れてもらうという手もあるのですが、クラウス君は「気にしないで行って来て」と言ってくれました。
いつもJALの早割を利用して1万円前後で羽田・伊丹を移動しているのですが、搭乗1週間前では安いチケットがなく、介護帰省割引で片道1万7940円。早割と違って予約変更ができるので、帰りは最終便の20時20分伊丹発を予約しました。
用事を終えて、伊丹に着いたのが18時半。19時30分発は満席でキャンセル待ちを申し込みました。年会費を払ってグローバルクラブ会員になっていることもあり、これまで数回、キャンセル待ちで前の便に乗っています。
しかし、お盆を過ぎたとはいえ、夏休み中ですから、順番は回ってきませんでした。予定通り最終便に乗ることとなり、ラウンジでビールを飲んでいるところ、緊急アナウンスが。
羽田空港の落雷の影響で羽田発の便の出発が遅れ、伊丹空港の出発時間が遅くなってしまう、欠航になるとのこと。住宅密集地にある伊丹は21時までしか飛行機が飛ばないそうです。
神戸の実家に戻り、翌日の午前中の便に乗ることも考えたのですが、空いているのはファーストクラスだけ。1時間足らずのフライトに8000円の追加料金を出す気にはなれません。
しかたなくバスで新大阪駅に向かいました。
バスの中、「どうしよう、席はあるかな」と不安そうな中高年層に対し、スマホを取り出して操作している若者たち。
飛行機の客の大半が新幹線に流れるのですから、新幹線も満席かも。新大阪から東京まで立って帰るのはつらいので、私も指定席をネット予約することにしました。
自宅のパソコンで「えきねっと」を使ってJRのチケットを取ったことがあるので、会員番号とパスワードを思い出し、スマホからなんとかログイン。バスが新大阪に着くのは20時半頃なので、20時46分新大阪発ののぞみの指定席特急券と乗車券を購入しました。
しかし、これが大きな落とし穴だったのです。
新大阪駅の券売機にクレジットカードを入れると、番号の入力が求められました。おかしいな、仙台行きの新幹線のチケットはカードを入れるだけで出てきたのに。予約番号を入力すると「このカードはお取り扱いできません」という表示が!
あわてて窓口に並びました。この時点で出発10分前です。
窓口の人が言うには、えきねっとの切符はJR西日本では受け取れないので、新たに買い直すしかないとのこと。迷っている暇はないので、20時46分の東京行きのチケットを買い、ホームに駆け上がりました。
車内を見渡すと乗車率は50%くらい。3人掛けシートに私一人です。
時刻表を見ると20時台の新大阪発東京行きのぞみはほぼ10分おきに出ています。よほどの繁忙期でもない限り、指定席がすべて埋まることはないのでは。あわててネットで買わないで、直接窓口で買えばよかったのです。バスの中で指定席を取ったものの、渋滞に巻き込まれて乗り遅れるリスクだってあるでしょうし。
新大阪・東京の新幹線片道料金は14650円。やむなく重複して購入したわけですが、払い戻しはできるのか。
新大阪駅のみどりの窓口の親切な女性係員は「電話で取り消してください。ネットで取り消すと特急料金は戻ってきませんから」と教えてくれました。
翌朝、えきねっとに電話しました。
えきねっとのオペレーターは新大阪駅のみどりの窓口ほど親切ではなく、マニュアル通りの対応でした。
「チケットはJR東日本の駅でしか受け取れないことは表示されましたよね? 列車の発車前なら指定席は取り消せますが、この列車のこの席は予約されたものとして、運行されたんですよ」
オペレーターの言うことはもっともです。
「最終便の飛行機が急に欠航になって、あわてて伊丹空港から新大阪に向かうバスの中で予約したので、よく見ていなかったんです。夜も遅いし、できるだけ早く東京に戻りたかったので、すぐに乗ってしまいました」と言い訳したものの、一歩間違えればクレーマーです。
乗車券8750円は払い戻されても、指定席特急券の5900円は無理だろうとあきらめかけたところ、「しばらくお待ちください」と何やら調べているようす。
「これまでの履歴をお調べしたところ、こうしたことは初めてなので、今回だけ特例として指定席特急券も払い戻します。次からは必ず、熱海駅から東の駅で切符を受け取ってください」
助かりました。新大阪駅のみどりの窓口の係員のアドバイスがなければ、電話しなかったでしょう。「ありがとうございます。今回で学習したので次からはまちがえません」と学生のようにお礼を言い、電話を切りました。
実家の用事も気の重いものだったし、散々な目に遭って運の悪い日だと思いまいたが、終わってみればそうでもありませんでした。
伊丹空港で東京行き最終便の欠航のアナウンスがあったとき、乗客たちはちょっと騒然として、あきらかに不機嫌になる人もいました。
目の前の係員を責めても事態は好転しないし、そもそもその人のせいじゃないし。私は気が動転して大阪でえきねっとを予約するという失敗をしてしまいましたが、不測の事態にもあわてずさわがず、冷静に行動できる人間になりたいものです。
何時までにどこに行かなくてはいけないという制約のない観光で乗る列車はなんて楽しいものでしょう。そういう旅にちょくちょく出かけたいものです。