翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

死ぬまで働きたい

いまどき、毎朝、新聞を読むのは高齢者ぐらいでしょうが、もう何十年も続けてきた習慣なので止められません。

朝日新聞の1面の「折々のことば」を愛読しています。哲学者の鷲田清一氏がこれまで書き留めてきたことばを紹介するコーナーです。高尚な名言だけでなく、幅広いジャンルからネタを拾っているようです。

先日は、島田洋七のばあちゃんのことば。

人生は死ぬまでの暇つぶしやから。暇つぶしには仕事が一番ええ

鷲田氏は哲学者らしく、パスカルのことばを続けます。

人生とは、おのれの存在の空虚を直視しなくて済むようたえず気を散らしておく営みの連続だ

急に高尚になりましたが、たしかに言わんとするところは同じです。

50代も半ばになると、仕事はもういいかな、という気になることがあります。一昔前は定年が55歳だったというし。超高齢社会に向かう日本では、そんな甘えたことは言ってられないわけですが、AIなりロボットを活用して、労働の絶対量が少なくなれば、働かなくても済むかもと夢想します。

しかし、働かなくていいとなれば何をするか。
スポーツクラブに行くといっても、一日中いられるわけではありません。
結局、あり余る暇を持て余してしまうのでは。

年を取って衰えていけば、若い頃のような生産性は上げられないかもしれません。時には、年下の指示に従わなければいけないこともあるでしょう。
でも、暇つぶしだと思えば、どんな仕事だってありがたいはず。世間から求められるうちは、仕事を続けたいものだと朝刊を眺めながら思ったものです。


フィンランドでは多くの人が夏の別荘を持っていますが、敷地にゆとりがあるので別荘の近くにこんな作業用の小屋もあります。
別荘で1ヶ月や2ヶ月過ごすというので「毎日、何をしているのですか?」と野暮な質問をしたものですが、森で木を切ってサウナ用の薪に割り、キノコやベリー類を採って料理。湖にボートを出して魚を釣って、燻製やバーベキューに。別荘のメンテナンスも自分でやるし、DIYが得意で、一から建てるという人もいます。こんな話を聞くと、遊びと仕事の区別があいまいになってきます。

考えてみれば、このブログは私にとって遊びですが、ブログを通して仕事のオファーが舞い込むこともあります。

ある人が、日本語教師養成講座に通う私に「その年で新たに資格を取って、働くわけ?」とびっくりしていました。
世間的には、日本語教師は職業のひとつですが、私にとっては、日本好きのフィンランド人と交流するための手段です。
長い老後を退屈せずに過ごすには、暇つぶしの仕事が一番いいと思います。遊びだけでは飽きてしまいます。