翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

旅に出て「一日一生」を実感する

期待していた以上の楽しさだった、おひとりさま北海道温泉ツアー。

旅に出るためには仕事の調整も必要ですし、格安ツアーとはいえ、外食したりお土産を買います。
ぎりぎりの料金で泊めてもらっている宿には、夕食時にアルコールを頼んで少しでもお金を落としてあげたいところ。そんなわけで、散財します。

旅先でネットにつながるとはいえ、仕事をする気にもなりません。
連載の担当編集者には、宿にゲラをファックスしてもらったのですが、「こいつ、遊んでばかりいて」とムカついていたでしょう。

自宅でおとなしく過ごしていれば、無駄なお金も使わず、編集者の受けもよかっただろうに。
でもやっぱり、日常生活を離れて旅に出ることは、大きな意味があります。

今回は一人参加ということで、4泊5日のうちに出会いと別れがありました。
小さな一生を終えたような気持ちです。
帰りの飛行機の席は旭川空港で個別に渡されて、席もバラバラだったため、「さようなら」も言えずに別れた人もいます。
今後、周りの人々が年老いていくにつれて、別れの挨拶もできずにこの世を去っていく人もいるでしょう。あるいは私が突然、死ぬことだってあるわけです。
いつが最後となってもいいように、心して生きていかなくては。旅に出たことで、そんな思いが強くなりました。

昨年お亡くなりになった酒井雄哉氏は、千日回峰行を二度行った天台宗の高僧。千日回峰行とは、約7年かけて4万キロを歩く荒行です。

一日一生 (朝日新書)

一日一生 (朝日新書)

何も変わらないようにみえても、自分自身はいつもいつも新しくなっている。毎日毎日生まれ変わっているんだよ。一日だって同じ日はないしな。
だから、「一日が一生」と考える。「一日」を中心にやっていくと、今日一日全力を尽くして明日を迎えようと思える。

「一日が一生」という気構えで生きていると、あんまりつまらないことにこだわらなくなるよ。今日の自分は今日の自分、明日の自分は明日の自分、と考えれば、今日よくないことがあっても引きずらなくてすむ。

占いの世界でも、同じように考えます。
西洋占星術では、出生日から数えて1日を1年として換算して人生を予測する手法があります。
一方、四柱推命で10年ごとの大運の切り替わりを出すには、出生日からの1ヶ月を実人生の10年に相当するとして計算します。

また、マンデンブローの法則というものもあります。
ジュラシック・パーク」では、マルカムという数学者が、こう説明します。

綿花の価格変動をグラフにしてみると、一日のグラフの形は基本的に一週間のグラフの形に似ているし、週間グラフには年間の、あるいは10年間のグラフと同じパターンが見出せる。<中略>
一日は人生の全体に相似する。<中略>
全人生のパターンはすべて、一日の中に見いだせるんだよ。

知識として頭の中に入れていても、「一日一生」を実感するのは、なかなかむずかしいもの。
前の日に嫌なことがあったら、翌朝も暗い気持ちで始めてしまいます。
日常生活に埋没していくうちに、今日の次に明日、そして明後日と、時間が平坦に流れていきます。

そんな流れに区切りをつけて、別の一生を始める。
意識を切り替えるためにも、たまに旅に出るのはとても効果的です。
海外まで行かなくても、格安ツアーでもいいし、日帰りでも、流れを変えられます。


旭川駅JR北海道はいろいろと大変そうですが、こんなに雪が積もる季節も列車を運行させるのは並大抵のことではないでしょう。