このところアキ・カウリスマキ監督の作品ばかり、繰り返し見ています。
「レニングラード・カウボーイズ ゴー・アメリカ」は音楽シーンが楽しいので、見飽きません。ツンドラ地方のバンドがアメリカに行って一旗上げるロードムービーです。
独裁的マネージャーのウラジミールに言われるまま、飛行機内で英会話を練習し、ニューヨークでロックンロールの楽譜を買いこみ付け焼刃で流行りの曲を身につけます。食事もろくに与えられていないのに、「ビーチボーイズのような健康的なイメージがないから売れない」と、海岸で日光浴をさせられたりします。
そこまで苦労しても、観客の反応はいまひとつ。なにしろ、それまで歌っていたのがロシア民謡や「第49集団農場の歌」とかですから。
メキシコへの旅の途中でメンバーの従兄弟と再会(一族の証しである、とんがりシューズと巨大リーゼントで、すぐに従兄弟とわかります)。
アメリカ育ちの彼もメンバーに加わりますが、楽器は何もできないというのでボーカルを担当。「オレにまかせろ」と「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」を熱唱し、ようやく客にウケます。
「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」は、映画「イージー・ライダー」のオープニングに使われた曲で、邦題は「ワイルドに行こう」。直訳すると「ワイルドになるように生まれた」でしょうか。
ワイルドになるように生まれたのに、しばりの厳しい組織に入って働くのはさぞ苦しいことでしょう。あるいは、社会で活躍するように生まれたのに、専業主婦として生きると息が詰まってくるでしょう。
つい先日発売された「ニートの歩き方」。
ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
- 作者: pha
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2012/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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京大卒という学歴を知ると、なぜニートなのか、怠けているだけではないのか思ってしまいますが、彼のブログや著書を読むうちに、彼はこの生き方を選択するのが一番自然だったのだと納得できます。
「ある人には当たり前にできることが、他の人にはまったくできなかったりする。それは努力が足りないとかコツを知らないからではない」と悩んでいた彼が得た結論は以下の通り。
「人はそれぞれ性質が違うし向いている場所も違う」「世間で一般的とされているルールや生き方は、それが特に苦痛でない多数派の人向けのルールに過ぎない」「努力が足りないのではなく適性が違うということを考えるべき」「世間で一般的なルールに従わなくても、なんとか死なずに生きてて、たまに何か楽しいことがあればそれでいいんじゃないの」という考えだった。
phaさんは映画を観たり、授業を受けたり、同じ人と一緒の空間にいると、ストレスがたまり一人きりになりたくなるそうです。ゲーム感覚で受験勉強をしたら京大に受かったとのこと。仕事を辞めたのは、一日何時間もオフィスに軟禁されるのが苦痛だったから。
「それこそ甘えだ」と糾弾されそうですが、私は彼ほど極端でなくても、似たような理由で会社勤めを辞めてフリーランスの道を選びました。そのせいか、彼の文章に強く共感しました。
ある人にとっては、難なくできることが、別の人にとってはとてもむずかしい。世間から評価される生き方を目指して競争するのが苦しくてたまらないという人もいるのです。
オリンピックには陸上競技があり、水泳があり、球技や格闘技があるように、競争のフィールドは一つではありません。
勝ち目のないフィールドで戦わず、自分に有利なフィールドを選ぶためにも、占いは役に立ちます。
四柱推命は、ボーン・トゥ・ビーの次の単語を知るための占いです。
基本となるのは生まれた日の干支(かんし)と生まれた季節です。
たとえば、日干が己(つちのと)の人は、「豊饒な大地になるように、生まれた」。大地はどんな作物を育てるかで価値が決まりますから、つきあう人を選ぶのに慎重な傾向があり、後輩の指導に熱心です。人と接する仕事によって大成していきます。ある己の人は、「砂浜をはだしで歩くのが大嫌い」と言います。彼女にとって砂浜は、作物を生み出さない不毛な地であり、嫌悪の対象となるのでしょう。
日干が辛(かのと)なら、「貴金属や宝石のように輝くために、生まれた」。辛は人一倍、汚れや傷を気にします。私の友人の辛の女性は、お風呂が大好きで毎日一時間近くかけて入浴します。温泉はあまり好きじゃなくて、入浴剤も入れないお湯を好みます。辛を輝かせるのは真水なのでしょう。そして、美的センスを活かしてイラストレーターの仕事をしています。
四柱推命の古典「窮通宝鑑」は、生まれた季節ごとに十干それぞれの鑑定の秘訣が網羅されていて、読んでいて飽きません。