翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

目的を持たず、歩くことだけを楽しみたい

東洋占術では六十干支が一巡りする60日、60カ月、60年が節目。なかでも、生まれたときの六十干支に戻る還暦は、もう一度生まれ変わって赤ちゃんに戻るという意味で、赤いちゃんちゃんこを着るのです。 60歳を超えたら、残りの人生はおまけのようなもの。仕事…

よみがえりの地、熊野

スペインの巡礼に行こうと思い立ち、予行演習のつもりで熊野古道へ。 パワースポットやスピリチュアルは、なんだかあやしげですが、特別な場所というのは存在するのだと実感。その流れで青梅の御岳山にも行き、都内なのにどうしてこれまで来なかったのだろう…

宿坊の聖なる仕事

この夏、フィンランドから遊びに来る予定の友人。「京都か奈良で宿坊に滞在したい」とメールが来たので「東京にも宿坊がある」と返信しました。 しかし、泊まった経験がないので、お勧めの宿坊を紹介できません。そこで青梅の御岳山に行くことにしました。日…

令和版『楢山節考』

JALの機内誌SKYWARD、浅田次郎の連載で二回にわたって棄老伝説が取り上げられています。 「姥捨て」と呼ばれる慣習は全国のどこにでもあり、深澤七郎は『楢山節考』でその年齢を数え70歳にしていますが、それは小説に今日性を持たせるための設定。本当は60歳…

晩節だけきれいにする

月曜の夜は、毎週ヒップホップのレッスンに出ています。レッスンが始まる前のスタジオで、先生が好きな音楽をかけてクラスで教えてくれるより段違いに複雑なステップで踊っているのを見て、「へたくそな初心者に教えるより自由に踊りたいのだろうな」と気の…

先を急がず生きる

仕事からは引退するはずだったのに、なんだかんだと編集者から連絡があり、あわただしい日々が続きましたが、ようやく一段落しました。会社勤めとちがって、フリーランスには、はっきりとした引退はないのでしょう。 学校を卒業して働き始めてから、ずっと「…

熊野古道の使い猫

熊野古道から帰ってきて一週間。 コロナによる3年間の封印が解けたような旅でした。忘れられないのは、初日に出会った猫、みゃあちゃん。 滝尻は熊野古道の中辺路のスタート地点。 紀伊田辺の駅周辺にはビジネスホテルもあるのですが、それだとバスで滝尻に…

What a small world!

熊野古道を滝尻から近露まで一緒に歩いたジェシーとケイト。近露での宿は別々だったので、歩き終えて解散。午後5時を過ぎて徐々に暗くなってくるし、10時間近い歩行でくたくたに疲れています。名残惜しいけれど、あっさりした別れとなりました。 翌日は雨だ…

熊野古道で完全アウェイ状態

熊野古道を歩いています。 初日は羽田から南紀白浜に飛び、白浜駅に出てJRで紀伊田辺へ。バスに乗って熊野古道中辺路のスタート地点滝尻へ。これだけですでに午後3時を過ぎました。滝尻に一軒しかない宿にチェックイン。4室しかないこの宿を予約できたのは…

デジタル時代の巡礼

先日、近所のデニーズがリニューアルされ、注文はすべてタッチパネル式になりました。窓際の席はお一人様用となり、電源とWi-Fiも完備。常識的な時間内なら、仕事場としても使えそうです。 フレンドリーな接客の店で「新しい席、どうですか?」「わあ、いい…

ゴミの都パリ

8月下旬のスペイン巡礼、まず迷ったのが航空券の購入でした。 マドリード往復か、パリ往復か。マドリードに飛ぶと、パンプローナまで行き巡礼の道を逆行してピレネーを越え出発点のサン・ジャン・ピエド・ポーに向かうことになります。 だったらパリ往復に…

ストーリーなしでは生きられない

ライターや占い師として収入を得られてきたのは、ストーリーテリングの才能が多少はあったからです。 雑誌の記事としておもしろく読んでもらえるためには、事実の羅列だけでなく、物語化が必要です。 そして、占いでは生まれた日を元にした四柱推命の命式や…

なくなる仕事、なくならない仕事

読書感想文といえば小学校の宿題の定番ですが、ChatGPTが書いたものを提出する小学生が出現したという話がネットで流れてきました。あまりにも上手で、先生は親に手伝ってもらったのかと思うほどの出来だったそうだです。 数年前の同窓会で、就職活動中の娘…

自分の歌、リクエストされる歌

先日の宮古島の旅。夜はホテルの部屋でNHK沖縄制作の「うちなーポップス50年史」をおもしろく見ました。 南沙織に始まり、フィンガー5、安室奈美恵、SPEEDと、沖縄の音楽は日本の芸能界に大きな存在感を放ってきました。 www.nhk.or.jp 沖縄を代表する名曲と…

洞窟に眠る泡盛と人生の残り時間

宮古島で海宝館の次に向かったのが多良川酒造。泡盛の蔵元です。 単なる酒好きですが、背景を知ればもっとおいしく感じるので、酒蔵の見学が大好きです。 これまで訪れた酒蔵では、製造工程を見学することが多かったのですが、多良川酒造ではDVDで説明。見学…

自分の貝殻を求めて

宮古島で泊まったホテルで、島内を回るループバスの無料チケットをもらいました。海宝館という名前が気になり、行ってみることに。 海が見える展望レストランに、世界中の貝が展示されているシェル・ミュージアムがあります。 貝を巡る美しい文章が詰められ…

沖縄のハンバーガーとお弁当

寒気と花粉から逃れて宮古島へ。 ぜひ食べてみたかったのがダグズ・バーガー。 東京生まれの日系アメリカ人でカリフォルニア在住の企業弁護士、ダグさんが開いたハンバーガー店です。趣味の釣りにのめり込み、キハダマグロを追って宮古島を頻繁に訪れるよう…

再び動き出した世界

いつまでも迷っていないで、スペインの巡礼に行こうと決めたら、フィンランドから一通のメールが届きました。 毎年、クリスマスプレゼントを交換しているヘルシンキのアヌ。 まだはっきりきめたわけじゃないけれど、7月に日本旅行の予定だそうです。主語がwe…

ラテンで行こう

スペイン巡礼に行くか行かないか、さんざん迷いましたが、この秋に決行することにしました。不安は尽きないけれど、老いは確実に忍び寄っています。先延ばししていたら、行かないうちに一生が終わってしまうのは避けたいから。 あまり気負うことなく、とにか…

人にはどれほどの荷物がいるか

3月のお彼岸、熊野古道への旅を思い立ちました。 羽田から南紀白浜空港に飛び、JRで紀州田辺へ。ビジネスホテルに泊まってもいいのですが、出発点の滝尻王子まではバスに乗ります。ちなみに熊野古道での王子は、参詣者の守護を祈願するための神社の名称で、…

お一人さま必読の書『兄の終い』

人間は一人で生きていくことはできないし、一人で死ぬこともできない。そんなことを痛感させられたのが村井理子『兄の終い』。 両親はすでに亡く唯一の肉親は兄。 もう何年も会っておらず絶縁状態だったところに、警察から電話がかかります。兄が自宅で死ん…

音楽で「いつまでも若く」

お母様を介護されているチャーコさんのブログ。親の介護時代を思い出しながら読んでいます。 harienikki.hatenablog.com ついにお母様が特別養護老人ホームに入所されることになり、お母様が大好きだった綺麗な紙をファイルにして持たせてあげたそうです。眺…

「嫌老」の世で老いていく不安

5月にはコロナがありふれた病気になるようです。このままコロナを特別扱いしていたのでは、日本の経済がもたないし、国際社会に歩調を合わせるためにしかたがないのでしょう。 コロナによる死亡者の9割は70歳以上の高齢者だというし、若い世代に犠牲を強い…

グローバル人材は日本企業を選ばない

コロナで明け暮れた3年間。だらだらぼんやり過ごしてしまいましたが、それは私が60代になり仕事から徐々に引退しつつある時期に重なったから。若い世代は、こんな状況でも果敢に人生を前に進めています。 フィンランド人のヘンリク君が我が家にホームステイ…

死者と歩く

寒い日が続きますが、春に向けての計画を立てています。 3月に熊野古道を歩くことにしました。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼に匹敵するのは四国遍路だと思っていたのですが、熊野古道が姉妹道となっていました。共通の巡礼手帳も発行…

引き算の料理

旅に出ると、書き残しておきたいことが次々と出てきます。旅先も楽しいけれど、こうして文章にまとめるのも、心が満たされるひとときです。 というわけで、沖縄の話ばかり続きます。 沖縄料理というと、豚肉やステーキのイメージが強いのですが、健康食の一…

沖縄のチャンプルーと猫

沖縄は「チャンプルー文化」だとよくいわれます。 ゴーヤチャンプルーのチャンプルーで「混ぜる」という意味。季節の食材と卵、豆腐やそうめん、麩などを炒めた料理の総称です。 琉球王国時代には中国、朝鮮、東南アジアとの交易が盛んで、さまざまな文化が…

やんばるの夜と朝

成人の日の連休明け、旅行料金がぐっと安くなるタイミングで沖縄に出かけました。天気がよく、春を通り越して初夏の陽気。Tシャツで歩く人もいました。同じ日に北海道の雪のニュースを見て、日本は広いと実感しました。 今回は、やんばる(沖縄本島北部)ま…

都留のうどん屋さんで日本の縮図を見る

「サウナを愛でたい」、最も熱心に観ているテレビ番組です。 www.bs-asahi.co.jp 山梨を紹介するシリーズで都留(つる)のサウナに心惹かれて行ってみることにしました。中央線沿線の住民にとって、新宿から特急が出ている山梨はとても行きやすいのです。 目…

老いの後始末

お正月早々、ぎょっとしたことがありました。 就寝中、玄関からガチャガチャという音がして目が覚めました。リノベをしてリビングと寝室をつなげたので、玄関と寝室はドア一枚隔てているだけです。 最初は「上か下の階の人が酔っ払って帰り、間違えて玄関を…