翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

世界は私の倉庫

断捨離を進めているのですが、なかなか思うようにいきません。関西のおばちゃんは袋物が好きですが、私もそう。一生かかっても使いきれないほど持っているのに、新しいデザインを見ると欲しくなります。高額なブランドバッグならブレーキがかかるのでしょうが、私が集めているのは軽くて使いやすいレスポートサックノマドの真似事生活でもキャリーバッグは使わず、滞在先に合わせて大中小を組み合わせて使っています。

 

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モスクのタイル柄のシリーズに一目惚れ。手前のバッグに仕事道具と貴重品を入れて、後ろに着替え類。ワーケーションに利用できるところは、洗濯機がありますからそんなに着替えは要りません。

 

佐賀のギャラリー有田というカフェレストランでは、壁一面にコーヒーカップが並べられ、選んだカップでコーヒーを出してくれました。

 

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 断捨離のやましたひでこさんは伊万里焼がお好きなようで、素晴らしいコレクションをお持ちです。

私は食器に興味がないので、見たり触れたりするのは楽しいけれど、買って帰りたいという欲は出ませんでした。

福岡空港まで飛べば佐賀の各地に直行バスが出ています。有田焼のカップでコーヒーが飲みたくなったら、また来ればいい。ちょっと遠いけど、倉庫に保管してもらっているようなもの。店員さんは私が選んだカップについて解説もしてくれました。こんなふうに器を愛する人たちが管理してくれているのなら安心です。

 

スーパーやコンビニを冷蔵庫だと思えば、食料を溜め込まずに済みます。昨年はトイレットペーパー不足が起こりましたが、少し待てば流通しましたし、残りが何個になったら次の一袋を買うと総量を決めておけば安心です。

 

伊豆高原のやすらぎの里の大沢館長は「ここを別荘だと思ってまた来てください」と言ってました。

伊豆高原には別荘が多いのですが、温泉を引いていない家も多いとか。温泉の権利だけで月に1万円ほどかかるし、湿気が出る浴室を清潔に保つのは大変だから、月に一度か二度しか来ない人は日帰り温泉を利用しているそうです。せっかく温泉地に別荘を持ったというのに実態はそうだとは。

別荘に来てまで掃除や買い出し、料理をしたくない。やすらぎの里なら掃除は行き届いているし、時間になればおいしい料理が出てくる。固定資産税もかからない別荘なんて最高だとと常連さん。チェックアウト時に次の予約も入れていました。

 

本当に好きなものなら、所有の喜びを追求すればいい。でもそこまでじゃないのなら、気が向いた時に使わせてもらうだけで十分。世界は私の倉庫で、使いたい時に手数料を払えばいい。

 

映画『ノマドランド』では、家を手放し車で生活するために倉庫を借りて思い出の品々を保管していました。しかし一年間の放浪後、倉庫を解約して中の物はすべて処分。人は自分が思っているよりずっと少ない物で生きていけるのです。

旅を続けていれば身軽になれるはず。コロナが収まってのびのびと旅ができる日が来ますように。

常にプランBを持ち、撤退戦も覚悟する

コロナ禍の今となっては信じられないことですが、数年前までカウチサーフィンを活用して、外国人旅行者をホストしたり、海外旅行先で現地の人と交流していました。エアビーアンドビーの台頭でカウチサーフィンは駆逐され、コロナでとどめを刺されました。

 

金銭を一切介入させずに外国人をホストしたり、外国人の家に泊めてもらうなんて、あまりにもリスキー。でも、カウチサーフィンのサイトの評価システムをチェックしてメールのやりとりをすれば人柄がわかるものです。情報交換のミーティングもあっていろいろと教えてもらいました。

 

教えの一つが「常にプランBを持つ」。

カウチサーフィンは善意で成り立っているシステムで、宿泊料金を払うホテルではありません。ホストに不測の事態が生じて泊まれないこともありえます。そうした時は、あきらめてホテルへ。「泊めてくれるって言ったのに!」とホストを責めてはいけません。もともと無料なんですから。どんなに親切そうなホストでも、ホテルの場所を調べておく必要があります。 

 

朝日新聞の経済欄で「楽観バイアス」という言葉を知りました。

人は危機に直面すると、自分に都合の悪い情報を無視したり、過小評価する傾向がある。

 

昨年3月に東京オリンピックを「完全な形で開催する」と1年延期したのは楽観バイアスによるもの。あの時は国民の大半も納得していました。

総理お得意のフレーズは「仮定の質問にはお答えしない」ですが、それはあくまでも表向きのポーズで水面下でプランBも進めていますよね…。国のトップなんだから。

 

2013年、学生でもないのにこの本を読んだのは、フリーランスで雑誌や書籍の記事を書くといういう仕事の先行きが暗かったから。 

 

著者の大石哲之氏はコンサルタント出身で、海外に拠点を置いてノマドとして働いています。先日観たアメリカ映画『ノマドランド』の下層ノマドではなく、カフェでパソコンに向かって知的作業を行う上層ノマドです。

カウチサーフィンを始めたり、日本語教師の資格を取るために学校に通い始めたのはこの本の影響もありました。

 

この本に、就職の面接では「その企業のビジネスのどこに興味を覚えて、どういう仕事に取り組みたくて、どういうことができるのか」と端的に述べよとあります。

たとえば、原発事故後の東京電力に転職するとしても、志望動機を言うことが可能。

 世界最悪の原子力事故の後片付けをするというのは、あとあとネタになる経験になります。いろいろの物事を整理しないといけないので、未曽有のリストラの経験をすることになるのです。ですから、そういった、リストラや組織を変えていくということに対して、自分の力が発揮出来れば、それはそれで仕事になるのです。

 私はコンサルの経験もありますから、そういった後ろ向きの人員削減も、撤退戦も考えたことがあります。名前は言えませんが、ある斜陽の企業で、余剰になった50代の人員の数をエクセルシートに書いて、自然退職が何人で、いつからどれだけ派遣や外注に切り替えるといったような計算もしたことがあります。ですので「御社の撤退戦に興味があります。リストラで組織がよくなるのが好きなのです。経験もあるのでお手伝いできます」と言うことができます。これが志望動機です。

 

 なるほど。コンサルは新プロジェクトを立ち上げたり売上げを伸ばすだけでなく、撤退戦も手がけるのか。有能なコンサルなら、傷を最小限にして撤退できるでしょう。

 

東京オリンピック。水面下でプランBが用意され、撤退のプロがスタンバイしていることを、東京都民として祈っています。

 

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介護帰省で東京と神戸を往復する日々が続いていた頃、マイルを貯めたいのでJALの利用が多かったのですが、新幹線に比べると不確実要素があります。時には新幹線のスマートEXも利用。空港ラウンジのビールもいいですが、新幹線のかちかちに凍ったアイスクリームも楽しみました。

 

私たちはみんな、大きな塀の中で生きている

昨年の今頃はコロナがこんなに長引くとは予測せず、楽観的でした。ステイホームで読書に動画、ゲームを満喫しました。

 

しかし、東京は三度目の緊急事態宣言。

通勤の必要がない私は家に引きこもるしかなく、さすがに飽きてきました。スポーツクラブのスケジュールでかろうじて曜日の感覚を保っていたのに、休館中。ちょくちょく通っていた地元の飲み屋も閉まっています。

 

亡くなった父が施設にお世話になっていた時、「ここは監獄みたいだ。家に帰りたい」と言っていたのを思い出しました。そこまで言うならと、自宅での介護体制を整えて退所することに。身内からは「誰もいない夜中に倒れたら? 心配じゃないの?」と批判めいたことも言われましたが、残り少ない人生だから本人の希望を最大限にかなえるほうを優先しました。結局、半年ほどで一人暮らしは無理だと本人が納得して施設に再びお世話になり看取ってもらいました。

 

コロナが収束しても、高齢になって自分の始末ができなくなったら気ままな暮らしはできません。監獄とまでいかなくても、自由は制限されます。

 

もともと監獄での生活に興味があってホリエモンからジェフリー・アーチャーまで獄中記を読み漁り、ネットフリックスの『オレンジ・イズ・ニューブラック』も観ました。 

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JALの「どこかでマイル」で女満別空港が当たり、網走にも行きました。網走刑務所が観光施設として公開されており、併設のレストランでは監獄食も味わえます。

 

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刑務所の食事は一日1500カロリーで三食出ますから、一食は約500カロリー。伊豆高原のやすらぎの里は一日1000カロリーで二食だから、一食分は同じ! 白米ではなく雑穀米なのも同じ。おしゃれに盛り付ければ、網走なのか伊豆なのかわかりません。

 

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やすらぎの里、最終日の朝食。

 

やすらぎの里は断食コースがメインですが、外出制限があるわけではなく、外に出てこっそり食べようと思えば可能です。私が参加した普通食コースにしても、カフェでケーキセットを注文できますし、アルコールをこっそり飲んでも温泉で酔いを醒ませばばれないでしょう。

 

でも、ほとんどの人はそんなことをしていません。

なぜなら、自分で選んだことだから。そこが監獄との大きな違いです。自らが看守と受刑者の一人二役となれば、節制生活も苦になりません。

コロナによるダメージの度合いは人それぞれですが、仏教の教えでは生老病死は誰も免れることはできません。

強欲だからポイントカードは持たない

ウラナイ・トナカイで活躍されていた有元祥子先生がお嬢さんと登場したBS朝日の『ウチ、”断捨離”しました』。やましたひでこさんの迫力は画面を通しても伝わってきました。

 

持ち物を減らしたいのは、思い立ったらすぐ旅に出かけたいから。

理想はスーツケース一つで暮らすこと。コロナが収まったら、東京の自宅は日本文化を学びたい海外の若者に留守番をしてもらって、自分は気ままにあちこち旅したい。そのためにも家中をすっきりさせる必要があります。

 

タイトルの「1日5分から」に心惹かれて、モチベーションアップのために購入。

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極限まで物を減らすのではなくて、やましたさんはコレクションしている食器類などは美術品のようにディスプレイして使っています。

人それぞれ、心ときめく物は多めに所有して楽しんでもいいはず。私の場合は、ペンやノート、メモ帳、スタンプなどの文具が好きなので、気分に合わせて使うことにしました。いよいよ高齢者の施設に入る時になっても、かさばらないからすぐ処分できます。趣味が高価な宝石、美術品収集じゃなくてよかった。

食料品や日用品はやたらと買い込まず「総量規制」するというアイデアも参考になりました。

 

しかし、断捨離の具体的なやり方よりも、根底にある思想に心動かされました。財布の整理で「不要なポイントカードは持たないように」とよく言われますが、なぜ持たないのか、やましたさんはこう説明しています。

「ポイント還元はありがたいけれど、品物をいただくだけで十分。その分どうぞ儲けてください」という意思表示なのです。

 私が無欲だからではなく、強欲だからともいえます。小さな得ではなく、もっと大きな得を見ているといったらいいのでしょうか。もっと大きな世の中の機運や人とのご縁を見ているのです。チマチマと目先の損得で動くと、チマチマしたお金しか入ってこないのです。

まさにそう! 

自分の強欲さがわかっているから、あえて小さな欲にとらわれない。私が日頃ぼんやりと考えていることが見事に言語化されています。もらえるものはなんでももらうという小金持ちは卑しいだけでなく、自ら運を下げているのです。

 

次の一文も私とまるっきり同じなので笑ってしまいました。

ただし例外は、航空会社のクレジットカードのマイレージ。旅が好きで飛行機が好きなので。

 

やましたさんは昨年10月から生活の拠点を指宿のホテルに移したそうです。

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「1日でも、1週間でも、1カ月でも、1年でも」好きなだけ滞在できるとあります。指宿は温泉と砂蒸しで有名ですし、しかもこのホテルにはサウナと水風呂が完備されています。これは行くしかないと、心は鹿児島に飛んでいます。

 

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鹿児島から指宿まで走る特別列車「いぶたま」。空港から直行バスも出ています。たぶんJALの「どこかにマイル」で行先が鹿児島になった時が、指宿に行くタイミングなんだと思います。

日本はオリンピックを損切りできるか

東京のオリンピック招致が決まった2013年9月、私はフィンランドにいました。

カウチサーフィンで泊めてもらっていた編集者のエリカが職場を案内してくれるというのでヘルシンキの出版社を訪れていました。

その日はノキアマイクロソフトに買収されるというニュースも舞い込んできました。「ノキアフィンランド人にとっては希望の星だったから、今日は戦争に負けたような気分」とエリカの同僚。来日経験もある彼女は「オリンピック開催するに向けて、ますます混雑するだろうけど、日本には勢いがある。こんな小さな国であるフィンランドとは違う」と続けました。

 

それがこんな展開になろうとは。

人と同じように国にも運気のアップダウンがあるのなら、よりによってこのタイミングでオリンピックを招致するのは、なんと運が悪いことか。フィンランドと日本はロシアの隣国という共通点がありますが、ロシアによって苦汁をなめてきた歴史を持つフィンランド人からすると日本がうらやましいと言われましたが、日本の運気も尽きてきたのでは。

 

一方のフィンランドノキアは通信設備メーカーとして復活を遂げ、国別の幸福度ランキングではいつも上位にランクインしています。

 

どんなに運のいい人でも、一生同じ状態が続くわけではなく、何をやってもうまくいかない時期が必ず巡ってきます。

低迷期を脱して、次に巡って来る幸運を享受する人は、損切りができます。

どんなに敏腕なトレーダーでも、値上がりする株ばかり買っているわけではありません。思わぬ展開で目論見がはずれることが必ずあります。損切りして被害を最小限に抑えて次の投資先を探し、トータルでプラスになればそれでよし。私は投資先を選ぶのに占いを使いませんが、易経の山沢損(さんたくそん)から風雷益(ふうらいえき)の流れを知ったことで、損切りがうまくなりました。

 

投資だけではありません。

たとえば、結婚まで考えた相手のぞっとする本性が見えた時、きっぱり別れられるか。

お金もエネルギーもかけて取った資格が役に立たない、あるいは自分に向いていない、その業界に未来がないとわかったら、さっさと次に行けるか。

 

 

そして現在、日本がオリンピックを損切りできるか、世界から見られています。

 

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これまでかけてきた費用が無駄になるから予定通りオリンピックを開催すべきだという政治家は、へたくそな投資家と同じ。いつになったら損切りするのか、じりじりしながら待っています。

 

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フィンランドの友人たちとヘルシンキ郊外の森によく出かけました。日本から一番近いヨーロッパ。思い立ったらいつでも行けるはずだったのに、ずいぶん遠い国になってしまいました。