翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

テイラー・スウィフトみたいに雑音は振り落とそう

見たい映画やドラマ、読みたい本を思う存分楽しめた外出自粛生活。要請は段階的にゆるんできていますが、定職を持たず自宅で働いているので、あまり関係ありません。

 

月800円しか払っていないのが申し訳ないのがネットフリックス。タブレットで観ているので

Wi-Fiがあれば移動先でも視聴できます。

 

『女帝 小池百合子』の毒気を抜くために観たのが、テイラー・スウィフトの『ミス・アメリカーナ』。

音楽の才能を持つブロンド美人として裕福で理解のある両親、特に母親と最高の相性の元にアメリカに生まれる。ポーカーならロイヤルストレートフラッシュが配られたような幸運な人生です。小池百合子の『砂の器』的生い立ちとなんたる違い! 父親の転勤で音楽の都、ナッシュビルに転居。若くしてデビューしグラミー賞最年少受賞を果たしています。

 

しかし、好事魔多し。

2009年のMTVビデオミュージックアワードの授賞式では、カニエ・ウェストに乱入され「ビヨンセこそ真の受賞者だ」と悪態をつかれます。

それだけではなく、「性格が悪い」「恋人をとっかえひっかえ」とさまざまなバッシングを受けます。

 

そこでテイラーが発表したのが"Shake It Off"。

初めて聴いたのはズンバのレッスン。なんとノリのいい曲だろうと思って歌詞と背景を検索してますます好きになりました。

 

I stay out too late, got nothing  in my brain

That's what people say, that's what people say

I go on too many dates, but I can't make them stay

At least that's what people say, that's what people say

 

Cause the players gonna play, play, play, play, play

And the haters gonna hate, hate, hate, hate, hate

 

Baby, I'm just gonna shake, shake, shake, shake, shake

I shake it off, I shake it off

 

夜中まで遊び歩いて、脳みそは空っぽ

世間がそう言う、世間がそう言う

たくさんデートに行くけど、誰とも続かない

とにかく世間がそう言う、そう言う

 

遊び人は遊ぶ、遊ぶ、遊ぶ、遊ぶ、遊ぶ

嫌う人は嫌う、嫌う、嫌う、嫌う、嫌う

 

そして私は踊る、踊る、踊る、踊る、踊る

体をシェイクして振り払う

 

 


Taylor Swift - Shake It Off Official Music Video

 

 

テイラー・スウィフトカントリーミュージック出身なのでアメリカの保守的な白人層には非常に受けのいい歌手でした。カントリーミュージックの女性歌手が反ブッシュを掲げてバッシングされたこともあり、政治的発言はずっと避けていました。

そのためトランプ支持者やKKKから女神扱いされていましたが、2018年の中間選挙テネシー州に「関わらざるを得なかった」と行動を起こします。男女同一賃金やストーカー規制、LGBTQを否定する女性版トランプのような共和党候補者を支持できないことを表明したのです。テイラーのスタッフは「ボブ・ホープが政治的発言をしたか」「身に危険が及ぶ」と反対しましたがテイラーの母親は「とにかくこの子の話を聞いてあげて」と彼女の味方になります。トランプ大統領は「彼女の音楽が25%くらい嫌いになった」と揶揄し、結果的に共和党候補が当選しますが、テイラーにとって大きな一歩でした。

 

そして終盤にテイラーの友達・活動家として登場するのが『クイア・アイ』のジョナサン。そりゃ、同性愛者を排斥する政治家にだまっていられないでしょう。ファブ5のメンバーも登場します。

 

I want to wear pink

and tell you how I feel about politics.

ピンクの服を着て

政治の話をしてみたい。

 テイラーがこの姿勢を貫ける世の中でありますように。

 

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別府の街角で出会った猫。

テイラー・スウィフトは大の猫好きで、日本のワイドショーに出演した時も進行そっちのけで日本の猫に夢中になっていました。

『女帝 小池百合子』の胆力

あまりのおもしろさに一気に読了。

これがフィクションだったら、現代版『砂の器』、あるいは痛快ピカレスク小説で済みますが、知事選を来月に控えた東京都民としてはなんとも複雑な気持ちになりました。

 

本棚にあると禍々しいのでkindleにしました。 

 

小池百合子は雑誌の取材などで「私が芦屋令嬢だった頃」と何度も口にしているそうですが、本物は自分のことを令嬢と呼んだりしません。

著書が小池百合子の実家があった線路わきの跡地に立った時、「芦屋令嬢という言葉が、胸に切なく迫った」そうです。小池百合子の物語は「芦屋に生まれ何不自由なく育った私」から始まりますが、丹念な取材で小池家の実態が明らかにされていきます。

 

私は芦屋の隣、西宮の関西学院大学小池百合子は3カ月で中退)出身です。こうした描写を読んでいると、学生時代がよみがえってきます。

富めるものは富み、貧しいものは貧しい。階層の格差が、私のような外から来た者にもあまりにもあからさまに伝わってくる。山側には大きな屋敷が多い。山からの急な斜面が終わり海へと至るが小池家は地理的にも、その中間あたりの平地に位置していた。

 自分の家が貧しくても、周囲も同じように貧しければ「こんなもんだろう」とつらさを感じないのが人間の常。坂道のどこに位置するかで階級がわかってしまう芦屋のような街に暮らすのは大変です。一億総中流社会は過去のものとなり、コロナ禍により格差が可視化された今、日本全体が芦屋化しているのかもしれません。 

上を見れば、そこには煌くような世界が広がっている。たくさんの使用人にかしずかれて暮らす同級生がいる。下を見ればまた、そこには最低限の暮らしを強いられ、陋屋(ろうおく)に暮らす人々の世界がある。小池家の暮らし向きはその中間にあった。

 

小池百合子の父親は貿易商だったと知られていますが、この本を読むと実態はかなり悲惨です。

経歴詐称は父から娘に遺伝したのか「元海軍中尉」「特攻隊の生き残り」「満鉄にいた」と語り、戦後の混乱期には闇屋商売でかなり儲かっていました。しかし、見栄のための出費も多く、小池家の家計はけっこう大変だったのでは。

小池百合子は公立小学校を経て甲南女子中学に進学。遠縁の男性は「甲南みたいなお嬢さん学校に行って、苦労したと思う。あまりにも環境が違う」と言ってますが、これは私にも容易に想像できます。今は違うのかもしれませんが、私が関西にいた頃は、甲南女子と言えば、経済力のある父親の元で育ち、そのまま夫の庇護の下に入る女の子が行くような学校でした。経済格差に加え、野心の塊のような小池百合子はさぞ居心地が悪かったでしょう。そして、高校時代に父親が参議院選挙に出て落選、自宅には借金取りが押し寄せてくるようになったのです。

 

小池家のお金の使い方は非常にアンバランスです。

見栄を張って外車を買ったり、娘が修学旅行に行くとなればクラス全員にポケットコートを差し入れる。その一方で高校2年の冬休みはスキー場に住み込みでアルバイトをしなければ学費が払えないほど家計は逼迫していました。

 

小池百合子がカイロにいた頃、父親がやってくると宿はいつもナイル・ヒルトン。そんな高級な宿に泊まっているのに娘に仕送りはしない。そのくせエジプトの要人に不正入学を頼む。そして、小池百合子は父親に会いに行くたびに白いテーブルクロスを巾着袋替わりにしてコーヒーカップや皿、ナイフ、フォーク、シュガーポットを持ち帰ってきたそうです。

 

取りざたされている学歴詐称問題。

政治家に学歴は不要だし、エジプトではコネがあれば大抵のことがまかり通るらしいので、卒業証書を買ったのなら、それはそれでいいのかもしれません。しかし、この本で「息を吐くようについた嘘」の羅列を読んでいくと、こういう人が知事なのかと東京都民としては暗澹とした気持ちになります。

私が日本語教師養成講座で教えてもらったのは、お茶の水大学の大学院で外国語教育を専攻した学究肌の先生でした。ある時、小池百合子の話題になり、先生はこう言い切りました。

「たまたたま竹村健一の番組にアラブ諸国の人が出演しているのを見たけれど、小池百合子アラビア語を話さなかった。カイロ大学首席卒業なんてありえない」

小池百合子が本当に留学したかったのは欧米。さまざまな事情でカイロに行くしかなかったけれど、アラブ社会に対する尊敬も愛着もない。だからアラブ最高峰の大学を首席で卒業したなんてほらを吹けた。

日本で暮らすエジプト人女性が語った言葉。

「たどたどしい日本語で『私、東大出たよ、一番だったよ』と言われたら、日本人のあなたは、どう思いますか。東大、バカにするのかって思うでしょ。コンビニで働いている外国人の方だって日本語を話すでしょ。結局、アラビアを、エジプトを低く見ている。バカにしているから、首席で出たなんて言えるんでしょう。日本人のことも、これぐらい言っても、どうせバレやしないとバカにしてるんでしょうけれど」

ネイティブが聞けばすぐにばれてしまう語学力で、アラブ最高峰の大学を首席で卒業したと嘘をつける胆力に驚愕。そして、その嘘がそのまま通用する日本という国に絶望します。 

 

そして、読み進めているうちに小池百合子のあまりの冷酷さに背筋が寒くなってきます。人は殺していないものの、自分にとって用済みになった人間をばっさりと切り捨てていくというサイコパスぶりを発揮していきます。

 

小池百合子にとって都知事の座は、彼女の物語を構成するための一要素にしかすぎません。希望の党が勝てそうだったら、さっさと都知事の座を捨てて国政に返り咲いていたはずです。「排除します」発言で形勢が不利になり、都知事にとどまるしかありませんでした。

東京都民としては、知事なんて誰がなっても人々の暮らしはそう変わらない平穏な日々の到来を願っています。

 

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 西新宿の高層ビル街にある東京都庁。テレビドラマ『勇者ヨシヒコ』では魔王が住むとされていました。伏魔殿の頂点に立つのは、ふつうの人間ではとても無理なんでしょう。

人生はサブスク

外出自粛期間を乗り切れたのは、ネットフリックスとアマゾンプライムのおかげ。ずっと見たかった映画やドラマが見放題ですから、暇を持て余すことはありませんでした。

 

昭和生まれにとっては夢のようです。欲しいレコードを買うためにお小遣いを貯めた日々。レコードがCDに、ビデオがDVDになり、レンタルサービスも利用しましたがいちいち店まで行くのが面倒です。

家にいながらにして、一定料金で何でも見ることができるサブスクリプションは何とありがたいことか。嬉々として見たいものをリストアップしていましたが、とてもすべてを見ることはできません。

そうこうしているうちに、サブスクリプションといっても期限があることを知りました。いつか見ようとダウンロードしたネットフリックスの『ダウントン・アビー』が消え、アマゾンプライムの『クリミナル・マインド』はシーズン9までは5月下旬で期限切れになりました。クリミナル・マインドは一話完結ですが、FBI行動分析課の人間ドラマを味わうためには、連続して見たほうが絶対おもしろい。がんばってみましたが、1日に5~8話が限界でした。

 

製品やサービスを一定期間、好きなだけ利用できるサブスク。人生と似ています。

持って生まれた体は、いつか返さなくてはいけません。がんばって貯めたお金も、ローンを払い終えて自分のものになった家も、あの世には持っていけません。時間切れになったら「十分、堪能しました」と喜んで返せるような生き方をしたいものです。 

 

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昨年、初冬に音連れたラビスタ釧路川の朝食。共立メンテナンスは北海道に強く、朝から海鮮丼が盛り放題。初心者の頃はあれこれおかずに目移りしていましたが、今は好物に絞っています。

食べ放題も一種のサブスクです。あれもこれ欲張って皿に盛って、無理に食べるのはやめましょう。

コロナ禍で「福」を再確認

 外出自粛期間に痛感したのは、自分だけの確かな幸福を持っている人が一番強いということ。それは人と比べて年収が高いとか、子供が優秀という相対的な幸福ではなく、くだらないと馬鹿にされようとも、とにかく楽しめる活動です。

 

おもしろい本をむさぼり読み、好きなアイドルの映像を観ていれば幸せという人は、外出自粛期間はまったく苦にならなかったでしょう。

 

私の場合は、読みたかった本が全部読み切れず、「クリミナル・マインド」だって何本も残っています。外出自粛が延長されても何とかしのげます。

しかし、身体でダイレクトに感じる「絶対幸福感」にずっと飢えていました。

 

まず、サウナと水風呂。

スーパー銭湯健康ランドは休業。東京都の銭湯は営業を続けていましたが、併設しているサウナは使用不可で銭湯自体が自宅にお風呂がない人のためとなっていました。

 

となると、狙うはサウナのあるホテル。

5月末からドーミインが近隣住民向けの特別プランを発売しました。住んでいる都道府県のドーミインに格安で泊まれます。

渋谷神宮前のドーミイン、ツインルームに二人で泊まれば朝食付き一人3500円! 

早速、泊まりに行ったところ、チェックイン時がリアル『翔んで埼玉』。東京都民であることを示す証明書が必要です。 

 

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部屋の窓から山手線が見えました。

 

昨年の3月、自宅のリノベのために1か月ほど宿を転々としたのですが、渋谷のドーミインは満室続きで、しかもシティホテル並みの宿泊料金でした。都内のドーミインには一生泊まらないだろうと思っていましたが、絶好の機会が到来。

共立メンテナンスは女湯も男湯と同じ広さのサウナ、水風呂を設置する企業姿勢を支持しているので、コロナ禍による売上減が心配ですが、安く泊まれるとついうれしくなります。

 

ドーミイン渋谷神宮前の浴室は2階。都心ですからそう広くなく、外気浴ができるスペースもありませんが、サウナと水風呂があるだけで大満足。

 

サウナで火照った体を水風呂で冷やし、手ぬぐいで体を拭き、静かに座っているうちに体の内側からエネルギーが満ちてきて、ささいなことはもどうでもよくなります。これを3回繰り返し、そして寝る前に3回、早起きして朝食前に3回。

願わくばコロナの第二波が食い止められて、サウナ休業なんて事態がもう二度と来ませんように。サウナと水風呂がある限り、どんなに乱れた心も整えることができるはずです。

 

そして6月からはスポーツクラブが再開。

ズンバのレッスンも始まりました。60分のレッスンが30分に短縮され、スタジオの床にはパーソナルスペースのテープが貼られた窮屈なレッスンですが、それでも十分満足です。インストラクターと他の参加者と同じ空間で同じ音に合わせて踊るという臨場感。これをずっと待っていました。家でYouTubeを見ながら踊るのとはまったく違います。

 

ズンバがあまりにも好き過ぎて、加齢で止めなくてはいけない日を恐れていたこともありました。いくら鍛えたからといって、永遠に踊れるわけじゃありませんから。

でも、コロナ禍で2か月ぶりに踊ってみて、先のことを心配するより、今この瞬間に踊っていることだけを楽しもうと思えるようになりました。

 

コロナはさまざまな禍をもたらす一方で、当たり前だと思っていた「福」を再確認できました。

絶対幸福感

コロナ不況で自殺者が増えると言われていましたが、蓋を開けてみると4月の自殺者数は前年比2割減。

緊急事態宣言で社会全体が大変な状況に陥ると、生きることに必死になり自ら死を選ぶことが少なくなるのでしょうか。楽しそうなデートや家族旅行を横目に見ながら一人で家に閉じこもるのはつらくても、社会全体がそうなら孤独をあまり感じなくてすむのかもしれません。

 

となると、自殺が増加するのはこれからでしょうか。幸せな恋人たちはデートができるようになるし、稼ぐ人はさらに稼ぐだろうから。

 

人間は他人との比較で幸福を実感する傾向があります。

子供の頃、食べ物の好き嫌いを言うと「アフリカには食べたくても食べられない子供がたくさんいる」と叱られたのを始めとして、成績が平均より上か下か、平均結婚年齢より前に結婚できるか、年代別年収や貯金額みたいなことばかり気にして生きてきました。たしかに自分より悲惨な状況の人を見ると「私は恵まれているほう」と思えますが、自分より上の人も山のようにいます。

 

この2か月は自宅にこもっていればいいので、そういう比較から少し離れることができました。年齢的なこともあります。早期リタイアを果たして心豊かに暮らしている若い人もいますが、凡人にはなかなかむずかしいことです。しかし、60代が迫ってきて、人と競争ばかりしても意味がないと思えるようになってきました。

 

ある音だけを聴いた時に高低がわかる絶対音感を持っている人がいるそうですが、絶対音感ならぬ絶対幸福感を身に付けないと、老後の安寧は得られません。

 

外出自粛中は異常犯罪を描く「クリミナル・マインド」を延々と見ています。

シーズン5の『破壊者の群れ』は、ワシントンDCでの連続殺人事件。事件の背景にあるのはジェントリフィケーション(都市部の再開発)。アメリカは車社会なので富裕層は郊外、都市の中枢部に労働者階級と棲み分けが行われてきました。ところが、再開発により都市に高級住宅が建てられるようになり、物価の上昇からもとからいた住民が住み続けられなくなり問題になっています。

『破壊者の群れ』の犯人たちは、高級住宅を作る建設労働者。「ちゃんと仕事もしているのにどうしてこんなことを」とFBIに問い詰められますが、日々の仕事は下請けでの肉体労働で、昇給や昇進の見込みなし。自分たちが作っている住宅に住むのは手の届かない階級の新参者で、彼らのせいで慣れ親しんだ地元が変わっていく…。原題の『Hopeless』がそのあたりをよく表しています。

ジェントリフィケーションさえなければ、上流階級の姿を目の当たりにして自分たちと比較することもなく、働いて汗を流した後は仲間とビールでも飲んでストレスなく暮らしていたかもしれません。

 

緊急事態宣言が解除されて少しずつ日常生活が戻ると報じられています。華やかに生活している人がうらやましくなるかもしれませんが、ドラマと読書で過ごした2か月間で少しは「絶対幸福感」が養われたと信じて、自分だけのささやかな幸せを見つけたいものです。 

 

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昨年のスペイン旅行、マドリッドのバルで注文したアスパラガスとトマトのグリル。薫り高いオリーブオイルで野菜の生命力あふれる一皿でした。旬のアスパラガスで作ってみるつもり。こういう幸せをちゃんと実感できる生活が理想です。