ベルギー人のエデンとの再会の喜びをしみじみと感じていたら、4年前の夏にホームステイで受け入れたフィンランド人のヘンリク君からうれしい知らせが届きました。
この秋から半年間、京都工芸繊維大学に交換留学するとのこと。
「応募する前に相談しようかと思ったけれど、選考からもれてがっかりさせたくなかったから、すべてが決まるまで何も言わなくてごめんなさい」とヘンリク君。
彼みたいに完璧な若い男の子を見たことがない。ヘンリク君のホストマザーになれたことは、私の人生の中で最も幸運なできごとの一つです。
京都工芸繊維大学という選択も堅実ですばらしい。
最近は留学生の受け入れに力を入れている大学も多いので、ホームステイ中に「日本の大学に留学したら?」と勧めていたのですが、学費が高いことがネックになっていました。
彼の両親はともにMBAホルダーで国際的企業で働くグローバルエリートですが、フィンランドでは学費は一切無料です。短期の語学留学なら個人の選択だから費用を払ってもいいけれど、大学にお金を払うのは抵抗があるのでしょう。
ヘンリク君は名門アールト大学の工学部に上位5%の優秀な成績で入学。
京都工芸繊維大学は国立でアールト大学とは相互留学の協定を結んでいるので、授業料を払う必要はありません。東京の大学でないのは残念ですが、東京だけではなく、もっと広く日本を知ってほしい。京都での学生生活は彼に大きな学びをもたらすでしょう。
「ただひとつ残念なのは野球のシーズンから外れているので甲子園でタイガースの試合を観戦できないことだ」とヘンリク君は言いますが、京都には阪神ファンも多いし、いい友達がたくさんできることでしょう。
ヘンリク君はフィンランド男子の義務である兵役も早々に済ませ、ヘルシンキ発の起業イベントのボランティアとして去年の春に再来日しました。
京都から東京にも来るというし、三度目の再会が果たせるでしょう。ヘンリク君の留学中に京都に行って、大学を案内してもらうのも楽しみです。
ヘンリク君のお母さんと会った時、「私の息子の世話をしてくれて、本当にありがとう」と感謝されましたが、私のほうこそ感謝すべきです。
子育ての苦労をまったく味わうことなく、完璧な息子の母親気分を味わえたのですから。
フィンランド人は年齢の上下をあまり気にしないようで、ヘンリク君にとって私は母親というより友達感覚のようです。
日本語学校に就職できたのも、ヘンリク君が作ってくれた縁のおかげです。プレッシャーが大きく、どんどん同僚がやめていくきびしい職場でしたが、ホストファミリー出身の教師ということで下駄を履かせてもらってなんとか3年間続きました。
50代も半ばを過ぎると、老いていくだけの退屈な月日が待っているかのようですが、若い人を応援することで死ぬまで楽しく暮らせるかもしれません。誰かをサポートすることは、相手のためになるようでいて、自分の運気を上げることに通じます。
亥の年、未の月の吉方取りで訪れた銚子(東京からみて卯の方位)の漁港。亥卯未の三合木局は、新規スタートの後押し。8月から始まる新しい船出に大きな追い風となっています。