翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

どこよりも遠くに行きたいから、断食

人間にはさまざまな欲がありますが、旅行欲というものがあるのなら、このジャンルにおいて私は最も欲深い。時間ができれば、どこかに行きたいとばかり願ってきました。

 

今、一番行きたいのは南米。春まで勤めていた日本語学校には、はるばるチリやアルゼンチン、コロンビアからやって来た学生もいて、ヨーロッパ系とは一味違う個性を持っていました。

 

イグアスの滝とかマチュピチュといった有名なスポットが見たいわけではありません。美食も追求しないし、買い物もしません。現地の人々の日常生活を垣間見て、街の空気を感じてみたいだけです。

 

といっても、片道30時間の旅ですから、おいそれと出かけるわけにはいきません。

それに南米に行って、もっと遠くに行きたいとなったら、アフリカ? 南極? ついには宇宙旅行を望むようになるのでしょうか。

 

南米に行く前に、どこよりも遠いところに行くことにしました。

荻窪の友永ヨーガの通い断食です。

前回の参加は4年前の春。日本語教師養成講座に通っていた頃です。本当なら年に1回、断食で体をリセットするのが理想ですが、日本語教師として実際に教壇に立った3年間はそれどころじゃありませんでした。それに、1年目は心労から断食をしなくてもやせていきました。

 

この春から本業のライター業だけとなり、気楽な身分に。安逸な生活に流れ、ついアルコールを飲みすぎてしまいます。体も心も締まりがなくなってきました。ズンバを踊るのに体が重たいと腰と足に負担がかかります。

 

というわけで先週、4年ぶりに友永ヨーガの通い断食に参加しました。

 

同じ場所にいながら、どこよりも遠くに行けるのが断食です。

この飽食の時代、空腹を抱えて歩く東京の街はまったく違った光景に見えます。

 

bob0524.hatenablog.com

 

前回、空腹がつらくてそれが1週間も続くものですから「もうたくさん。二度とやらない」と思ったはずです。

それなのに、性懲りもなく二度目のチャレンジ。

 

二回目ということで、一回目よりは少し楽です。

バンコクでヴィッパサナー瞑想を体験した効果なのか、食べ物を目にしてもと自分を分離しできるようになりました。

 

荻窪駅から友永ヨーガ学園までの道は飲食店だらけ。

改札を出るとすぐ立ち食い蕎麦、そして階段を降りるとマクドナルド。朝ヨーガは7時からなので、朝マック250円が目に入ります。そしてミスター・ドーナツ。ポンデライオンが大好物です。青梅街道の曲道にはドトールミラノサンドの海老アボカドに心惹かれます。日本人なのにご飯よりパンが好きなのか、断食の時に最も食べたくなるのがサンドイッチです。

 

前回はこの道を通るのが苦行でした。

 

今回は、ちょっと楽です。一瞬、食べたいという欲が起こりますが「海老アボカドは海老アボカド、私は私」と切り離せます。タピオカティーを持って歩いている女性とすれ違っても「彼女は彼女、私は私」でやり過ごします。

 

断食期間が終わっても、バイキング形式のレストランで、自分の食べたい物を控えめに取る人になれるといいのですが。

 

残念だったのは友永淳子先生の不在。

5年前と違って、淳子先生は監修という形だったので、前回のように毎日レッスンを受けることはできないのはわかっていました。それでも一回ぐらいはお話がうかがえるかと思っていたのですが、なんとインドのリシケシで骨折というお知らせが貼ってありました。

 

最後のレッスンの土曜日、淳子先生が教室にいらっしゃってくださったのは、大きな驚きでした。指導はなさらず、リハビリの一環としてレッスンに参加されました。

 

淳子先生ほどカリスマ性にあふれた美しい女性に会ったことがありません。長年にわたるヨーガの研鑽だけでなく、友永ヨーガ学院を設立しここまで発展させたビジネス手腕の持ち主です。学院設立は1978年ですから、オウム真理教騒動があった時は、大変な打撃を受けたことでしょう。

 

前回の断食は淳子先生がいらっしゃったからこそ、最後までやり通せました。

電話連絡網では私がグループの最後だったので、毎晩、淳子先生に電話して直接お話できるという幸運に恵まれました。空腹でつらかったけれど、お昼の淳子先生のレッスンを受けると楽になりました。

 

そして、淳子先生ほどのお方でさえ、旅先で骨折するんだという衝撃。

これからもどんどん旅に出たいけれど、運動神経もなくバランスの悪い私は、高齢になると転びやすくなるでしょう。よくばったスケジュールは立てず自重して、自分の限界を受け入れることも必要だと悟りました。

 

1週間の通い断食は終わりましたが、断食より復食のプロセスのほうが重要です。ここでタガが外れると、一気にリバウンドしてしまいます。今日は、十倍がゆにみそ汁のうわずみ。明日は5倍がゆとなり、みそ汁もうわずみでなくなり、野菜を煮たものが食べられます。そして火曜日はこれに豆腐がプラス。

以前の食事量まで戻す期間は長ければ長いほどいいとされ、一生をかけて復食するように教わりました。食生活が乱れるのはしかたがないけれど、それでもう終わりと考えるのではなく、あきらめずに立て直すようにとも。

 

4年ぶり2回目の断食でしたが、願わくば自力で軌道修正できますように。できなければまた断食に通うしかありません。

 

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