イタリア人のマギーがやって来ました。
3年前の夏に日本語学校で教えた学生です。
彼女の夢は日本で暮らすこと。
「必ず、また日本に来ます」と言い残してイタリアに帰国しました。
歓迎パーティーと称して、近所のイタリアンレストランへ。
マギーは愛称で本名はマルゲリータ。
ナポリでピザの修業をしたというシェフにぜひピザ・マルゲリータを作ってもらいたかったのです。
マギーがボローニャ出身だと聞くと、シェフはもちろんスタッフたちも色めき立ちました。毎年、社員旅行でイタリアに行き、今年はボローニャ近くのワイナリーに行ってきたそうです。
「イタリアのどこに行くか、各自がプレゼンテーションして決めるんです」とスタッフの女性。みんなイタリアが大好きで、イタリア料理店で働くことを心底楽しんでいるようです。
日本に生まれたのに、イタリアに恋焦がれる人たち。
そんな人たちが作ってくれた料理を食べるマギーは、イタリアに生まれたのに、日本で暮らしたくてたまらない。
生まれる国や場所、家庭を選べない状態で人生がスタートします。
中には、生まれたところで満足して一生を終える人がいる一方で、自分にもっと合った場所があると感じる人もいます。
マギー来日2日目は、友永ヨーガ学院へ。マギーはイタリアでヨガのインストラクターの資格を持っています。
3年前の春、断食コースに一緒に参加していたフランス人女性が友永ヨーガでインストラクターとなり「英語でヨガ」というクラスを受け持っています。
クレア先生はアルプスの近くの街の出身ということで、マギーの出身地がボローニャだと聞くと「ご近所さん」と喜んでいました。
フランス人の先生に英語で教えてもらいながらヨガに取り組み、隣には日本移住を夢見るイタリア人。一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなります。
マギーにとってクレア先生は日本移住を果たしたあこがれの先輩ということで、聞きたいことがいっぱいあるようです。クレア先生は快くメールアドレス交換にも応じていて、今後、いいアドバイザーとなってくれるでしょう。
マギーの夢がどこに行きつくのかわかりませんが、少しは手助けができました。
私自身、若い頃はアイルランドにあこがれ、ここ数年はフィンランド熱に浮かされて過ごしてきました。
移住とまでは考えませんでしたが、なんとか外国とつながりたいという思いが、翻訳や日本語教師の仕事をしています。
日本は国力が衰えつつあるようですが、幸いなことに日本にあこがれる外国人たちはたくさんいます。
日本に生まれ、日本に暮らしていることを当たり前のように思っていましたが、考えようによっては、とても幸運なことかもしれません。
昨日はハロウィーン。魔女や死神、侍、ピカチュウが教室にやってきてカオス状態。
ガイコツはスウェーデン人のマイケル。原稿用紙に日本語を縦書きするという、今どきの日本人はめったにやらないことに熱心に取り組んでいます。