翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。

先生がアホやから

阪神タイガース、17年ぶりの最下位。

4位とか5位みたいな中途半端なところより潔くていいか。これ以上落ちることもないし。

 

実家が神戸の私にとっては、阪神タイガースは最も親しみを感じる野球チーム。

大学時代は甲子園でボールガールのバイトをしていました。客席に座ってファールボールを集める係です。ボールガール用の席も用意され「とにかく試合から目を離さないように」とだけ言われました。座席案内に比べて天国みたいなバイトでした。

 

試合開始前のミーティングは関係者以外立ち入り禁止のゾーンで行われていました。

ある日、すらっとした長身で髭をたくわえたダンディなタイガース選手とすれ違いました。江本孟紀、愛称エモヤンです。

「なんてかっこいいんだ、今日もがんばって」と念じました。1981年の夏のことです。

 

その後、エモヤンは「ベンチがアホやから野球がでけへん」というプロ野球史上に残る暴言を吐いて引退します。

 

関西人にとって「アホ」は侮蔑というより「しょうがないなあ、ま、そんなもんやろ」という脱力したイメージがあります。

 

日本語学校でさまざまな国から来た学生を相手にしていると、いかに自分が無知であるかが白日の下にさらされます。

スイスの学生に「スイスは日本と同じで戦争をしませんから、軍もありませんね」と口走ったことがあります。

 

「先生、何、言ってるんですか、スイスの軍はヨーロッパで一番強いのに!」

スイスの男性には徴兵制度があります。日本のアニメ好きのオタクであっても、兵役を経験した男子学生は軍の訓練について詳しく書いてくれました。

 

ハンガリー人学生の名前をファーストネーム、ラストネームの順に書くと、

「先生、ハンガリーは日本と同じで名字を先に書きます」と流ちょうな日本で教えてくれました。

 

南米諸国や中央アジアなどなじみのない国の学生の作文には、私の知らないことがいっぱい書かれています。

私はフィンランドが好きですが、北欧についても無知です。

ノルウェーの学生に「ノルウェースウェーデンフィンランドは北欧三国ですね」と言うと、

「北欧三国はノルウェースウェーデンデンマークです」と訂正されました。フィンランドはロシアに近く、言語も全く違うので、同じグループという感覚はないそうです。

 

学生たちの国についてアホなまちがいをするたびに、「こんなレベルの低い教師から学べない」と学生がクラス変更を申し出るのではないかとびくびくしていたのですが、そんなことはあまり起こりません。

逆に、アホな先生に自分たちの国について教えてあげようという気持ちで熱心に作文を書くようになったりします。

 

授業中はスマホ使用禁止というクラスもありますが、私のクラスではスマホ解禁どころか使用を奨励しています。辞書や検索機能がなければ、自分の言いたいことを表現する文章は書けませんから。そして彼らが国に帰って独学で日本語の勉強を続けるのなら、ネットは強い味方になります。

 

知識の量では、どんな博識な教師でも、グーグル先生にはとてもかないません。それなら、アホな先生がいてもいいんじゃないかと開き直っています。

 

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 「どこかにマイル」で出かけた高知で見かけた阪神タイガース電車。二軍のキャンプ地がある安芸に向かいます。