翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

イッチー・フィートという病

7月の旅は「どこかにマイル」で広島へ。

私が勤めている日本語学校では短期留学生の来日のピークを迎えて大忙し。そんな時期にわざわざ旅に出なくてもいいのに、旅に出たいという思いを抑えることができません。

 

若いころヨーロッパを一人旅していて「イッチー・フィート」という言葉を知りました。

カウチサーフィンもエアービーアンドビーもなかった時代ですから、安旅をするには一部屋に複数のベッドを並べたドミトリー形式の宿しかありませんでした。

ドミトリーの一室で、自分がどこから来てどんな旅をしているかという自己紹介みたいな話になりました。

イギリスの女の子が「大学を出て働いたけど、つまらなくなってやめてしまった、それで旅しているんだけど、両親に『あなたはイッチー・フィートだからしかたがない』と言われた」と言いました。

 

itchyは、「かゆい」「むずむずする」という意味。

イッチ―・フィートは、同じところにとどまっていると、足がむずむずして落ち着かなくなる放浪癖。これを持って生まれた人間は、自分ではどうしようもありません。一か所にじっとしていられないのです。これは一種の病です。

 

「どこかにマイル」で提示された行先は、苫小牧、女満別、広島、沖縄。

暑い日が続いているから、北海道の旅は悪くないし、沖縄まで飛んで海を見るのもいいと思ったら、広島に決まりました。

 

日本語学校の学生との会話。

「先生、週末は何をしますか」

「広島に行きます」

「お手伝い?」

「ボランティア」という語彙を学んでないので、「お手伝い」となったのでしょう。西日本豪雨の被害を思えば、この時期の広島旅行といえばボランティア。しかし、私は物見遊山の旅です。

 

出発の数日前までは広島空港から竹原のバス便は運休でした。

やっと再開したバスに乗って竹原へ。

バスといっても6人乗りのミニバンで、川沿いの道を進むうちに「このあたりで被害が出た」と豪雨の話に。「爪痕」という言葉が示すように、山肌がえぐれ、民家がつぶされています。

 

「こんな時に旅をするなんて」と思いつつ、竹原のホテルにチェックインし、地元の居酒屋へ。

翌日は、ウサギの島として名高い大久野島へ向かいました。呉線が不通なので、タクシーで忠海港へ向かう間も、大雨の被害を目の当たりにしました。

 

タクシーの運転手さんは「大久野島のウサギに餌をやる観光客が減って、おなかをすかしている」と言います。

その通り、大久野島に上陸すると、ウサギがわらわらと集まってきました。

 

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 災害地のボランティアに出かけるのも立派だけど、そこまでの気力を持たない者は、うさぎに餌をやるようなささやか貢献でも、行かないよりいいんじゃないか。

そう開き直って旅を楽しみました。