桜も開花し、春の陽気が地上に満ちています。
日本語教師になって3年目の春です。
50代半ばの新人教師として教え始めたのが2016年の3月。
3年目といえば、中学や高校の新入生が最終学年を迎える年です。ここまでくれば、今年も無事に務めて丸3年としたいものです。
2016年の春、世間を騒がせていたのが、ショーンKの経歴詐称でした。
「年齢からしてベテラン教師に見られるから、そのようにふるまおう」と思ったものの、現場では化けの皮がすぐ剥がれ、冷や汗だらけの毎日でした。
憔悴して食事ものどを通らず、4キロぐらい痩せました。
痩せたら貧相な顔つきになり、たまたま運転免許の更新で写真を撮ったところ「生活苦でスーパーで食品を万引きする女」みたいな人相でした。
今も授業に慣れていないのですが、体は正直なのか、体重は元に戻りました。
そして、日本語教師業界は出入りが激しく、気が付けば職場では中堅、へたすると古参となっています。
外国人留学生相手の日本語教師の需要は毎期(毎週)変わり、不安定極まりません。メインの職業としては心もとないのですが、「単なるパートじゃない知的な仕事をしたい」という主婦や定年後のビジネスマンが養成講座で資格を得て参入してきます。だから未経験の50代でも潜り込めるわけです。
一方、若い先生は海外と日本を行ったり来たりしています。
60代で活躍する日本語教師も多いのですが、その親世代は80代から90代。「忙しくて父の最期に立ち会えなかったけれど、せめて母はゆっくり送りたい」と職場を去る先生もいました。
私はこの仕事を選んだ時「東京オリンピックまでは続けてみる」と目標を立てました。遠い先のことのように思えた東京オリンピックも再来年です。
オリンピックが過ぎれば日本の国力が落ちて、来日する外国人が減り、日本語教師の需要もなくなると予測しているのですが、どうなることやら。
先のことは誰もわかりません。明日にでも大地震が起きれば、留学生は一気に帰国するでしょう。2011年3月にはそんなことが起こり、多くの日本語教師が自宅待機を余儀なくされました。
外国人留学生が心待ちにしているのが、花見。日本人にとっては毎年の行事ですが、彼らにとっては一生に一度の機会です。桜の開花前に帰国する学生は「次は絶対に花見の季節に来ます」と名残惜しそうに帰国します。