50代も半ばを過ぎ、そろそろ引退したいのですが、高齢化が進む日本ではそういうわけにもいきません。
仕事に加えて、年老いた親の遠距離介護がずっしりとのしかかってきます。
とりわけ煩雑なのが、母の成年後見人の件。
家庭裁判所や法務局に加え、投資好きの母は複数の金融機関を使っていました。
帰省時に一気に片付けようとしたのですが、印鑑証明が必要だったり、思うように進みません。
証券会社系の銀行は郵送で手続きができるのですが、申込時に聞かれた携帯電話の番号に電話がかかってきます。電話されても、こちらは日本語学校で授業中。「またお電話します」という伝言に加えて複数の着信。授業が終わった5時過ぎに折り返しコールセンターに返信すると、待たされたあげく担当者はすでに退社したとのこと。
「お取引番号を教えてください」
「私が取引しているわけじゃなくて、母が取引していて、成年後見制度の手続きです。電話をいただいても勤務中は出ることができないので、メールで連絡していただけませんか」
「当社はメールでのやりとりはいたしておりません」。
頭に血が上りますが、コールセンターの人もマニュアル通りの対応をしている非正規雇用者かもしれません。
嫌気がさして、すべてを投げ出したくなります。
この社会の仕組みはなんて理不尽なんだろうと憤ったところで、思い出したのがこの本。
刺激的なタイトルで、そうは言われても専業主婦を選ばざるを得なかった人は頭に来るでしょう。
内容は賛否両論あるでしょうが、この本の前提となった思想に大いに共感しました。
理想の社会などどこにもありません。ここで提案しているのは世の中がまちがっているということを前提としたうえで、どうすればあなたが幸せになれるか、ということです。
生きていると、「こんなの無理、どうしてこうなっているの」と憤ることの連続です。
ライター業では、突然の企画変更やめちゃくちゃな締め切り。
そして外国人相手の日本語教師は、想定外のことばかりです。
世の中が変わるのを待っているうちに、人生が終わってしまいます。
世の中はこんなもんだと割り切って、自分にできる範囲のことを淡々と進めていくしかありません。
ハノイのお寺で見かけた猫。誰が飼っているのか、観光客が餌を与えているのか…。猫なりに適応してしっかり生き抜いているのでしょう。