翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

開運とは、はまり役を演じること PART2

語学の勉強というのは、基本的につまらないものです。

世の中には「いや、語学ほどおもしろいものはない」という人もいるかもしれませんが、ある程度まで語彙や文法を覚えなければ、コミュニケーションはできません。よほど記憶力に恵まれた人でない限り、何度も反復練習を繰り返す必要があります。復習をしていなかったために、授業中に教師に指名されてちゃんと答えられない恥ずかしさ…。

私が英語の授業を少しずつ楽しみ始めたのは高校2年ぐらいから。教材に読んでおもしろいと思える英文が出てきたからです。

日本語学校で作文のクラスを教えていますが、ほとんどの学生は、日本語の内容を楽しめるレベルまで到達していません。最初のうちは「私の名前は○○です」「○○から来ました」「犬より猫が好きです」といった自己紹介文を書いているものの、いつまでもそんな内容では飽きてきます。
ほとんどの学生は日本の漫画やアニメ、ゲームにハマって日本に来ました。日本語を使って働きたいというよりも、「若いうちにしばらくアジアの国に滞在して視野を広げるのもいいだろう」と親が考え、その費用を出せる富裕層の子弟です。
漫画を日本語の原文で読みたい、吹き替えなしでアニメを見たいというのが彼らの野望です。

そんな彼らが日本語を書きたくなるようにするにはどうしたらいいのか。
毎回のテーマは決めますが、学生たちが書いたものを手がかりに、「ここをもっと書きたいんだろう」というポイントを探し、質問やヒントを与えて膨らませていきます。
教師というより編集者のようなものです。私が原稿に行き詰まった時、編集者はどんなふうに手助けしてくれたかを思い出します。

数週間しか日本に滞在しない学生に学生に文型積み上げ式で教えてもしかたがないんじゃないかと思っていたし、作文はあくまでも選択科目で、必修のレギュラークラスではちゃんと文法を教えています。
ディレクターが「エッセイ(作文)とカリグラフィー(習字)は学生が個別に取り組むクラス」と言ったことがあり、みんな一緒じゃなくてもっと個人にフォーカスしようと思いました。

ある時、同僚の先生がこんなことを言いました。
「作文のクラスの学生はラッキーですね。プロのライターに教えてもらえるのだから」
週刊誌のライターは正しい日本語よりおもしろい原稿を書かなくてはいけないので、日本語教師にはあまり向いていないのですが、今の作文のクラスなら、私のやってきたことが最大限に生かせるわけです。

ちょうど5年前に書いたブログ。「開運とは、はまり役を演じること」
d.hatena.ne.jp

この頃は対面鑑定の占い師もやっていたので、占いの活用法みたいなことを書いていますが、結局私は、占い師よりも外国人相手の作文指導というのがはまり役だったのでしょう。


足利学校の門。