翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

忘却のミダス王

このところ、落ち着かない日々が続いています。
ライター業では2018年の運勢本の原稿が山場を迎え、週刊誌と月刊誌の締め切りが重なり、そんな時に限って日本語学校の代講を頼まれます。
自分のコマをこなすだけで精一杯なので代講は断りたいのですが、私のところまで依頼が回ってくるのは、よほど困っているからでしょう。専任の先生の超多忙ぶりを目にすると断るわけにもいきません。

そんな合間を縫って参加した天海玉紀先生のインナーチャイルド講座。
最初に「自分にとって、この講座のテーマ」ということで玉紀先生も含めてカードを引きました。

私が引いたのは、ミダス王のカード。
触れるものすべてが黄金になるように願った王様です。
その結果、食べることも飲むこともできず、最愛の娘まで黄金になってしまったという強欲を戒める話なのですが、そこまで頭が回りませんでした。私はミダス王になりたいと願ったのです。

私がこの講座に出ようと思ったのは、物語の原型をたくさん仕入れて、外国人学生たちの作文の背後にある物語に共鳴するためです。
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20170323/1490231943

文法の間違いを添削するだけではなく、彼らがあこがれの日本にやって来て完成させたい物語を意識化するお手伝いをしたい。
だから触るものを黄金に変えるミダス王の手が欲しい。

教え始めてまだ1年ですが、多くの学生との出会いと別れを繰り返してきました。
1週間単位で留学するシステムなので、毎週のように新しい学生が入り、修了していきます。
修了生は「また日本に来ます」と名残惜しそうにしますが、先輩の先生によると「自分の国に帰ってしまうと日本を忘れてしまうし、私たち教師も修了生をどんどん忘れていく」とのことです。

同じ物語を共有し、黄金のような時間を過ごしたとしても、それはすぐに過去になり、忘却されます。それでもやっぱり、今日も黄金を探し続けます。


四万温泉・積善館にある『千と千尋の神隠し』風のトンネル。お湯もとてもよくて、絶対にまた来ると思ったのに、再訪できていません。そんな場所が各地にたくさんあって、そのうち忘れていくのでしょう。