翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

沈黙の受容

去年の春から日本語教師となり、ほぼ一年が過ぎようとしています。

天童春樹先生に立てていただいた水雷屯の五爻にはげまされましたが、教師としてはまだまだ未熟です。

最大の欠点は、学生に考える時間を十分与えず、答えを早く言い過ぎるところ。

作文のクラスは、テーマを与えたら、あとはひたすら学生からの質問を待ちます。
誰も何も言わず、沈黙の時間が続くと、ペンが止まっている学生に声をかけたくなるのです。
「わからないところはありませんか?」と。

これが非常によくありません。押し付けがましい教師です。

そして、学生同士で教え合っているところに割り込むのも避けるべきです。
東大の名物教授に自分を重ね合わせるのもおこがましいのですが、この本は大いに参考になりました。

シカゴ大学のジョージ・スティグラー教授は、シカゴ大学の大学院で本当に恵まれた教育を受けたが、それはどちらかと言えば先生からというよりは、優れた多くの同級生からだそうです。

人間は、つねに周りの人を、参考にする。あるいは自分の周りに目標にする人を探すものだ。いろいろな生徒が雑多にあふれている教室は、そうしたロールモデルの宝庫なのである。刺激であふれている。こう言っては申し訳ないが、先生がどんなに頑張っても、同級生にはかなわないのだ。

学生から声がかからないと、私はぼーっと突っ立っているだけ。こんなの先生じゃない、何かやらなくちゃとあせるのですが、そこが我慢のしどころ。

学生からの評価で「作文の教師は何も教えてくれない」という声は皆無です。「作文のクラスはゆっくり自分のペースで考えることができてよかった」というコメントはありました。

沈黙を受容すること。
易なら天雷无妄(てんらいむもう)の卦。種を植えたなら、あとは育つのを待つだけ。芽が出ないとあせって土をほじくっては種をだめにしてしまいます。

人間関係や恋愛にも通じます。「仲良くなれそう」「ひょっとして私に気があるかも」と、ぐいぐい押すと相手は逃げてしまいます。


野球シーズン開幕はすぐそこ。阪神タイガース必勝祈願をしても何の役にも立たないことをさんざん味わってきました。勝っても負けても結果を受け入れるだけです。