昨年の春から日本語教師の仕事を始めて1年3ヶ月が過ぎました。
四半世紀に及ぶ気ままなフリーランス稼業から、教師という職業への転身は無謀かもしれないと思ったのですが、日本語教師業界はかなり流動性が高く、1年も同じ学校に勤めていると中堅(!)になります。
非常勤講師が大半を占めるのも、需要が変動するから。
ここ数年は教師不足が続いていますが、2011年の東日本大震災直後は、留学生の帰国が相次ぎ、多くの日本人教師が職を失いました。2020年の東京オリンピックが終われば、留学生の数もかなり減るかもしれません。
ふつう教師というと勤続何十年というベテランが尊重されるものですが、そんな業界だったら私はすぐに逃げ出していたでしょう。
うまく授業を回すことができず、何度も投げ出したいと思いました。それでも続けられているのは、専業じゃないからです。授業に失敗して落ち込んでも、本業にも追われてあわただしく過ごしているうちに、あっという間に季節が巡り、気が付けば中堅となってしまったのです。
そして、日本語教師を続けるためには、授業のスキルと同じぐらい教師同士の人間関係も重要です。非常勤が多い職場ですから、教師が連携しないと立ち行かなくなります。対人スキルに乏しい私がなんとかやっていけたのも、ほぼ部外者のようなスタンスを貫いたから。
ヨーロッパの学校にいじめが少ないのは、授業は学校、スポーツは地域と分離しているからだと言われています。授業もクラブ活動も学校主体だと人間関係が固定して息が詰まります。
また、夫婦は共通の人間関係が少ないほうが円満だという説もあります。Facebookも夫婦でつながったりするとうっとうしくなります。
新卒で入った企業に定年まで勤めあげなくてはいけないと思うから過労死したりするのです。仕事先は複数確保しておくべき。フリーランスのライターで、編集部に囲われて「専属ライター」となる人もいたのですが、「せっかくフリーで働いているのに、なんて不自由な選択をするのだろう」と思ったものです。専属ライターになったら、興味のないテーマの記事も引き受けないといけないし、雑誌が休刊したらすべてを失います。
というわけで、確定申告では収入の内訳で10社ほどの出版社の支払調書を提出していたのですが、ここ数年の出版不況で、ライター業の収入は先細りしています。代わりに日本語学校からの給与所得が加わりました。なんとか複数のわらじを履きながら、段階的にリタイア生活へと逃げ切ることを目論んでいます。
複数の足を持つムカデのマーク。この不思議なビルは高知で見つけました。足袋の会社だそうです。