翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

選択の数は多すぎても少なすぎてもいけない

年末に向けて、占い師は忙しくなります。
来年の運気が気になりますし、今年がぱっとしなかったら、来年こそいい年にするために、占い師の力を借りたくなります。占い雑誌全盛だったころは、秋口から原稿依頼が集中したものでした。

占い学校で同級生だった優春翠は年末に限らず、常に予約が満杯です。島根と関東の二拠点居住生活を始めてからは、お客さんを厳選し、新規の鑑定依頼はめったに引き受けなくなっているようです。

そんな人気占い師なのに、「どうして、こんなに相談されてばかりいるのかわからない」なんてことを言います。
みんな表向きは自由に生きたいと言いつつ、ぜんぶ自分で決めるのは怖いのです。誰かに決めてもらうと楽なんでしょう。


優春翠の愛猫、ゆきちゃん。


「この学校に入れ」「この仕事をしろ」「この人と結婚しろ」と決められるのは絶対いやだと反発しますが、そういうものだと割り切れば、悩みのないすっきりした人生かもしれません。
逃げるは恥だが役に立つ』がヒットしているのも、結婚はしたいものの、生涯の伴侶を選択するというプレッシャーから逃げたいという人が多いからでしょう。

数年前に何度も読んだこの本。

選択の科学

選択の科学

インドのジャイプールで50組の夫婦を調査した結果が書かれています。
恋愛結婚は新婚のうちは恋愛感情は高くても、結婚期間が長くなるにつれ徐々に下がります。これに対し、取り決め婚(日本のお見合い結婚とは違い、新郎新婦は選択を放棄し、親同士で結婚を決める)は、結婚したては恋愛感情はそれほど高くないけれど、結婚期間が長くなるにつれて感情が高まっていきます。

そしてアイエンガー教授を一躍有名にした「ジャム実験」では、スーパーに24種類のジャムを並べるより、6種類のほうが売上は多くなりました。

東ヨーロッパの旧共産圏の人々は、スーパーにさまざまな商品が並ぶようになって大きなストレスを抱えました。「10種類のチューイングガムなどいらない!」

かといって、1種類のチューインガムしか買えないとなると、ちっとも楽しくないでしょう。
「この人と結婚しろ」と言われて結婚するのは楽ですが、とんでもない相手だったら、さっさと逃げ出すべきです。

選択肢の数が多すぎると、決められない。決めてからも「これでよかったか」と悩むことが多く、幸せになれない。
だからといって、選択肢が少なすぎる時代に逆行することはできません。
そんなところに占い師のニーズが生まれるのかもしれません。来年がどんな年回りかわかれば、やるべきこと、やらなくていいことがおぼろげながらわかってくるし、易やタロットで告げられるメッセージも選択の参考になります。そうやって肩の荷をおろさないと、何をしてもいい自由な現代社会を生きるのは、なかなかむずかしいことです。