翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

人生はすべて縁起で回っていく

映画『Buddhist 今を生きようとする人たち』の上映会後、監督の後藤サヤカ氏とジャーナリストの佐々木俊尚氏のトークショーがありました。

後藤監督は、この映画を撮ろうとして撮ったのではなく、三浦明利氏の記録映像を撮っているうちに、次から次へと仏教関係者の縁が広がり、撮影した素材が溜まっていき、最終的に映画になったそうです。

一般的な映画製作は、シナリオを作って予算や配役を決めてスタートするものではないでしょうか。でも、この映画はそんな枠をすべて超越してできあがったようなものです。

よく「縁起がいい」「縁起が悪い」と言いますが、縁起とはもともと仏教用語です。
自分を含むこの世のすべては縁から起こっていて、自分の中身は空っぽだという意味。

「英語で学ぶ仏教講座」では、縁起はinterdependent(相互依存)と訳されていました。
大人になったらindependentに生きるべきだと考えがちですが、この世に生きている限り、完全に独立して生きることはできません。

この春から日本語教師として外国人の学生に日本語を教えるようになりました。
一番つらいのは、経験不足でうまく授業ができないことです。授業の準備をしながら、不安で胃が痛くなることがよくあります。
「どうしてこんな難儀なことを始めたのだろう、やめたらどんなに楽になることか」とよく思います。金銭的には報われないことは十分に納得して始めたことですから、やめたとしても収入減で困ることはありません。

先日、日本語学校の飲み会がありました。
日本語教師になったいきさつを話す流れになり、私はこんな話をしました。
フィンランドアキ・カウリスマキ監督の映画を観て、どこかなつかしい感じがしました。調べてみると、小津安二郎に強い影響を受けたことがわかりました。それ以来、フィンランドが大好きになり、フィンランド人の友達を作るためにカウチサーフィンを始めました。すると、日本語を学ぶフィンランド人の学生をホームステイさせてほしいと頼まれ、その学生がとてもすばらしかったので、私も教えたいと思ったんです」

これはかなり省略しています。
本当は、カウリスマキ監督の映画でレニングラードカウボーイズを知り、ボーカルのヨレ・マルヤランタに夢中になり、何が何でもフィンランドとつながりたくなったのです。

そして、年を取って何もすることがなく退屈するのがいやだし、日本語を教えるという大義名分があれば、外国好きの軽薄な老婆にならずに済むという下心もありました。

それでも、あまりの大変さに、親友の優春翠に「いつまで日本語教師を続ければいいのだろうか」と相談したこともあります。彼女は、予約が取れない超人気風水師です。
「自分で決めることはない。自然に決まってくるから、それに従うだけ」
なるほど。すべては縁起で回っていくから、小賢しい知恵で立ち回るのはやめたほうがよさそうです。

『Buddhist 今を生きようとする人たち』の監督、後藤サヤカ氏は「次の作品の計画はありますか?」という参加者の質問にも「今、抱えているものをとにかく一生懸命取り組んでいるだけで、先のことは考えていない」と答えていました。
映画のサブタイトル「今を生きようとする人たち」というのは、まさに後藤監督のことなんでしょう。私も「日本語教師をいつまで続けようか」と考えるのではなく、とにかく次の授業を最善にすることを考えたいと思います。


島根県川本町のお寺にたたずむフィンランド人ジャーナリストのアンネ。
日本語教師という職業があることを知ったのは、アンネを通してです。

仏教伝道講座では、ニュージーランド出身のステファン・グレイス先生から、「指月」とは月(真理)をさす指をにとらわれていると月が見えなくなるという意味だと教わりました。しかし、指がないと月の場所がわかりませんから、指を全面的に否定してはいけません。