翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

漢字のおもしろさを外国人に伝える

外国人が日本語を学ぶ外国人にとって、最大の障壁が漢字でしょう。

ひらがなを一生懸命覚えたのに、さらにカタカナも同じ数だけあると知ってがっくりし、追い打ちをかけるように新聞や本を読むには漢字を覚えなくてはならないと知り、「なんて大変な言語を勉強し始めたんだろう」と後悔します。

授業で、東京の観光スポットの駅名を教材にして漢字を教えていたら「浅草の『あさ』は、おはようございますの『あさ』ですか?」と質問されました。「あさ」という共通の音に気がついたのはすばらしいことなのに、それを否定しなくてはいけないのは、日本語教師もつらいのです。

それでも、日本語や漢字のおもしろさを伝えたい。

2月にスペイン人作家からカウチサーフィンを通して連絡があり、先日、ホストしました。
三島由紀夫谷崎潤一郎川端康成の作品をテーマにした日本紀行を書くために来日するので、協力してほしいとのこと。
"The Sound of Waves"の舞台を訪れるというのは『潮騒』のことか。私は谷崎では『細雪』が好きですが、"light snow"ではなくて"The Makioka Sisters"です。

話を合わせるために『潮騒』を読み返すと、解説に登場人物の名前について書かれていました。
若い二人は終戦後の新しい日本を作り上げるので「新治」と「初江」という名前であり、新しい国を作る、すなわち「国生み」、日本神話、神道へとイメージが広がります。

新治と初江の結婚を許可する初江の父は「宮田照吉」。伊勢神宮の「宮」と天照大神の「照」が入っています。初枝は海女ですから、伊勢湾でアワビを採ります。伊勢神宮ではアワビを神に捧げます。

そして、新治が照吉の船に乗り込み、快挙を成し遂げた場所がが沖縄の運天港。「運を天に任せる」、新治は命を懸けて見事な活躍を果たし、照吉に娘婿として選ばれたのです。

こうしたことをスペイン人作家に説明すると、「すばらしい、そんなことはまったく知らなかった」と言います。翻訳では漢字の意味まで説明していないのでしょう。

スペイン人作家に話しているのか、日本語学校で学生に授業を行っているのか、わからなくなりましたが、私が外国人に伝えたいのは、こういうことなんだと実感しました。
日本語を学ぶ道は険しくて遠いけれど、少しでもおもしろいと思わせるのが目標です。


群馬の四万温泉にて。日本人なら「鳥獣魚供養塔」の漢字からイメージが広がります。