翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

小さな死を受け入れ、最後の死を迎える

2014年の年末に「大掃除も年賀状も、冥途の旅の一里塚」と書きました。
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20141225/1419472100
昨年も数枚の喪中のはがきをいただきました。友人や知人の家族で死者が旅立ち、私からも喪中のはがきを出す年もめぐってくるでしょう。そして、新年を迎えて自分自身も死に一歩近づいたわけです。

天海玉紀先生から「新年会を」とお声がかかり、近所のメキシコ料理店に行くことにしました。


ガイコツを眺めながらコロナビールを飲みました。
Happy Go Luckyという店名も、占い師の新年会にはぴったりです。
ワカモーレにタコス、エンチラーダ…と迷っていると、「いろんな料理を少しずつ盛り合わせたプレートはどうですか?」とマスター。玉紀先生と二人でおいしくいただきました。

メキシコに興味を持ったきっかけは、アキ・カウリスマキの映画「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」です。アメリカでバンド活動で一儲けするはずが、じり貧になり、メキシコに流れ着くというストーリーです。
以来、メキシコはレニングラードカウボーイズのモチーフの一つとなり、テキーラやサボテン、ガイコツがステージデザインに使われていました。

どうしてガイコツなんだろうと調べてみたら、メキシコには「死者の日」というお祭りがあるのです。
11月1日は子供の魂、翌2日は大人の魂が戻る日です。街はマリーゴールドの花でオレンジ色に飾られ、子供用にはお菓子、大人用にはお酒がお供えされます。古代には祖先のガイコツを飾る風習もあったようです。その名残で、ガイコツ人形が飾られ、ガイコツの仮装をして街に繰り出す人もいます。

死を忌むのではなく、陽気に祝う。そして、個人の魂が戻ってくるのなら、大いに交流を楽しもうとメキシコ人は考えるそうです。

生命の死は一生の終わりですが、象徴的な意味での死は何度もあります。永遠に続くと信じていた恋愛が終わったり、老化によって昨日までできていたことが、むずかしくなったりします。
斜陽産業は徐々に死に向かっているわけですが、市場から撤退するビジネスもあれば、ベンチャー企業も生まれます。

小さな死を受け入れながら、すでに亡くなった人やものをたまに思い出して交流する。新しい芽を見つけたら、力を貸せないまでも温かく見守る。そうして少しずつ最後の死を迎える準備が整います。