翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

アイルランドの日本庭園を巡る長い物語 Part2

25年ほど前に訪れたアイルランド、キルデアの日本庭園。
明治時代に日本からはるばるイギリスへ渡った飯田三郎氏が造園監督を務め、今では国立庭園となっています。
飯田三郎氏の孫、ブライアン・イイダさんを紹介してもらい、週刊朝日に記事を書いたこともあります。
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20120930/1348932400

ブライアンさんとは、その後も交流が続き、弟のクリストファーさんとサリーさん夫妻が観光で日本を訪れるというメールをもらいました。
添付されていた旅程表を見ると、9泊10日の日程はけっこうハードで、東京から広島へ行き、京都、奈良、高山、箱根と巡ります。東京の2日目の午後に自由時間があるので、宿泊先の京王プラザホテルで会うことになりました。

10月の気持ちのいい日だったので、まず新宿御苑へ。
花園神社、ゴールデン街、歌舞伎町と歩いて回り、夫妻の希望で山手線に乗り渋谷交差点へ。映画「ロスト・イン・トランスレーション」の影響なのか、今や外国人観光客の人気スポットとなり、多くの人が撮影していました。
写真を撮るだけではなく、実際に渡ってみただけで、二人は大興奮。人が多くてごちゃごちゃしている場所というイメージしかなかったのですが、たしかに東京らしい場所です。

マークシティとの連絡通路に上り、上から交差点を見渡していると、外国人女性がサリーさんに話しかけました。
「もう5分もここをうろうろしているけれど、このビルから出られません。出口がわかりますか?」
東京の街はどこも迷路のようで、地図がないと私も迷います。

夕食は個室風居酒屋を予約しました。座敷だけど掘りごたつ式になっていて、足が伸ばせます。外国人にとっては、店の中で靴を脱ぐという体験が新鮮なようです。
そういえば、7月にヘンリク君の一家に食事をご馳走になったのも個室の座敷でしたが、弟のパトリック君が靴を履いたまま座敷に上がってしまったこともありました。

初代の飯田さんも二代目のミノルさんもイギリス人女性と結婚。三代目のクリストファーさんはブライアンさん同様、見た目はイギリス人で日本の血を引くとはとても見えません。でもファミリーネームは「イイダ」です(ミノルさんの代でIidaからEidaと綴りを変えたので、発音はアイダに近くなっています)。
「お父さんのミノルさんは日本語をまったく話さなかったのですか?」と質問すると、日本語だけでなく英語もあまり話さなかった寡黙な人だったとのことです。
父の国である日本が第二次大戦で敵国となり、子供たちには日本人の血を引くことを一切伝えなかったというミノルさん。どんな思いでイギリスで暮らしていたのでしょうか。

ブライアンさんにもクリストファーさんにも、イイダの名を受け継ぐお孫さんがいます。クリストファーさんの娘さんは結婚して別のファミリーネームになってしまいましたが、日本のルーツを忘れないように日本語のセカンドネームを持っているそうです。

先日、愛媛県の大島で祖父のルーツを探した時、「これと似たようなことを昔もやった」と思ったのは、ブライアンさんが来日してイイダさん一家のルーツを一緒に探したからです。
横浜市中区の区役所の方が親切にしてくれましたが、関東大震災第二次世界大戦の空襲で昔の戸籍はすべて焼けてしまい、何もわかりませんでした。

それでも、イイダさん一家と四半世紀にわたって縁が続いているのはうれしい限りです。
大島の自治会長さんが「四代、五代とさかのぼっていけば、みんな親戚」とおっしゃっていましたが、血縁よりも実際に交流することで縁が深くなっていきます。


新宿の和風居酒屋にて。クリストファーさんとサリーさん。改めて写真を見ると、クリストファーさんは日本人に見えなくもない?
今回、クリストファーさんは初来日。自分のルーツである国を訪れるべきだと、元JAL勤務のサリーさんが企画した旅だそうです。