翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

常に身に余る仕事を引き受ける

maruさん主催の「双子・射手の会」で、「射手座は、キャパシティ以上のことを引き受けてしまいがち」という話になりました。

うんうん、確かに。射手座の守護星である木星は発展や拡大を司るので、常に広がろうとするのです。現状維持や同じことの繰り返しは退屈だと感じます。

カウチサーフィンを始めた頃、「見も知らぬ外国人を家に泊めるなんて考えられない」と、よく言われました。
でも、プロフィールをちゃんとチェックして慎重に選び、メールのやりとりを重ねることで、素敵なフィンランド人たちとつながることができました。
フィンランド留学記などを読むと「フィンランド人はなかなか打ち解けないので、友人ができたのはかなり時間がたってからだった」などと書いています。カウチサーフィンなら、「日本好きなフィンランド人」とピンポイントで仲良くなれます。

カウチサーフィンのサイトを通して、ある語学学校から「外国人学生をホームステイさせませんか?」という連絡がありました。
期間は最短で2週間。カウチサーフィンは2泊程度ですから、一気に長くなります。我が家は専用の客室があるわけでなく、私の仕事部屋を明け渡してカウチサーファーを泊めるので、2週間以上となるとちょっと大変かも。
うちでは無理だと断ろうとしたのですが、日本語教師養成講座の先生にその語学学校の評判を聞いたら最高の評価。学生の国籍(フィンランド)を選ぶこともできるし、「話をさせていただくだけでも構いませんから」と言われ、学校の見学がてら行ってみようかなという気に。

しかし、話をするのは学校ではありませんでした。担当者がうちまで来るというのです。おそらく、学生を泊める部屋の状態もチェックするのでしょう。

打ち合わせをOKした以上、うちに来るのを断ることもできず、担当者がやって来ました。
話が弾み、気が付いたらフィンランドの18歳男子(ヘンリク君)を3週間受け入れることになっていました。


フィンランド人のアンネは「その若さで日本語を勉強する男の子はディープ・オタクに違いない」と言います。自分だって日本語を勉強しているくせに。映画『かもめ食堂』に登場するガッチャマンの男の子をイメージしました。

メールアドレスを教えてもらい、ヘンリク君とメール交換が始まりました。
サッカーに打ち込み、得意科目は数学と歴史。フィンランドの高校生で大学進学希望というのは、かなりのエリートです。
オタク要素は皆無で、礼儀正しくしっかりと書き込まれたメールでした。メールにはいわゆるリア充写真が添付されていて、アンネの意見はディープ・オタクからオポジット・オタクへ。
聡明でスポーツが得意で、わざわざ日本まで語学留学させるのですから家も裕福でしょう。そんなキラキラした男子とまったく縁のない人生を送ってきた私が、3週間もホストすることになろうとは…。

私の仕事について「おもにFeng-shui(風水)とI-ching(易)が専門」と自己紹介し、「I-chingについてはフィリップ・K・ディックの『高い城の男』を読めばイメージがつかめる」と書き添えました。

なんとヘンリク君、読んだのです。フィンランド語訳ではなく原語(英語)で。「歴史が好きだからとてもおもしろい」との感想。
そして、来日初日にオタクじゃないけれどおもしろがるだろうと中野ブロードウェイに連れて行ったところ、古いおもちゃがけっこうな値段を付けられているのを見て、「あのSFに出てくるお店みたいだね」とヘンリク君。

ヘンリク君に言われるまでそんなこと思いもしなかったのですが、まさにそうです。
第二次大戦が枢軸国側の勝利に終わり日本とドイツの二大国家が世界を支配しているという設定のサンフランシスコ。ロバート・チルダンのアメリカ美術工芸品商会が扱う1938年型のミッキーマウス・ウォッチが「旧合衆国文化の最高の遺物」「過ぎ去りし平穏な時代の香りを残した珍品」とされていました。

文化も年齢もかけ離れたヘンリク君と私が、こんなピンポイントな話ができるようになるとは。

キャパシティを超える依頼を引き受ければ、それに合わせてキャパシティが大きくなる。
Always take a job that is too big for you.(常に身に余る仕事を引き受けなさい)という言葉を思い出しました。


新宿・歌舞伎町でゴジラを撮影中のヘンリク君。